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NHK番組のようなネット媒体を作りたい 「一次情報の方が面白い」と語るジモコロの成長と変化

地元メディア「ジモコロ」の目的や成果、媒体を伸ばすための考え方を伺うインタビュー。前編では「ジモコロを始めた目的と見えてきた成果」を紹介しました。

後編では「ジモコロ」のこれまでを振り返りながら、質の高い記事を作り続けるために必要な「広告主と作り手の考え方」をお伺いします。

■「ジモコロ」が目指す次のステージは“地元の再発見”

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(上写真、左より):株式会社アイデム 東日本事業本部 伊志嶺彩様、岡安伸悟様


__「ジモコロ」はここまで順調に成長していると思うのですが、これまでを振り返っていかがでしょうか。数あるオウンドメディアのなかでもユニークな媒体として、認知が広がってきたのではないかと思いますが。

岡安様 今年に入ってようやくユニークな媒体だと言えるようになりました。去年の「ジモコロ」は記事の中身というよりは、企業同士の組み方がユニークなだけだったと感じています。

__組み方がユニークなだけとはどういう意味でしょうか。

岡安様 「ジモコロ」の立ち上げから今までを整理すると、これまでにいくつかの波がありました。まずは「まさかアイデムがバーグハンバーグバーグ(以下、バーグ)と一緒にオウンドメディアをやるとは」というのが最初の波。コンテンツの中身よりも、企業同士の組み方がユニークという意味です。

次に「バーグが企業と組んだタイアップ記事も面白いんだ」というのが2つ目の波です。これは組み方が面白いだけではなく、コンテンツの中身も面白いという意味です。ここまできてようやくユニークな媒体になったと思います。そして、いま私たちは3つ目の波に向かっています

__何が3つ目の波になるのでしょうか。

岡安様 それは「バーグの記事は面白いよね」から「バーグの紹介する地元の記事はもっと面白いよね」と感じてもらうことです。これは弊社の事業にもつながっています。

弊社はもともと新聞折込の求人紙から事業をはじめたので、いまでも全国各地の小さなお店とつながりが強いんです。私たちは、こうした全国の地元を応援するために”地元を再発見する”意味を込めたメッセージとして「地元ルネサンス」を掲げています。

地元と仕事のルネサンス - ワクワク・ライフ・バランス

いま地方消滅が叫ばれていますが、その地方に若いひとが入ればひとつの仕事が若返りますよね。そのきっかけとなる記事をつくることが「ジモコロ」にとって3つ目の波になると思っています。

■面白ネタだけではない、読者を惹きつける新しい方程式をつくる

__「ジモコロ」は立ち上げ当初から、日本各地の取材をしていますよね。地元の職人さんを丁寧に取材した記事は、ほかの媒体にはない魅力だと思います。こうした記事は最初から意識していたのでしょうか。

伊志嶺様 職人さんの取材記事を増やしたのは途中からですね。仕事寄りの記事が増えたことで、より多くのひとが楽しめる媒体になったと思います。最初は、地元の仕事を真面目に取材するだけでは読んでもらえないのではと不安もありましたが、「ジモコロ」のライターさんなら大丈夫だろうと信頼してお願いしました。

岡安様 仕事寄りの記事を増やしてから、媒体の方向性やコンテンツとの向き合い方が変わりましたね。私たちもなのですが、編集長の柿次郎さんの考え方も去年の今頃から大分変わっていると思います。

__どういう変化があったのでしょうか。

岡安様 柿次郎さんのブログにもあるのですが、地方の職人さんに取材をするためには事前準備が必要なんです。職人さんの仕事を知ることは、その街の歴史を知ることです。職人さんはその街の文化と一体になっているので、外から「面白いネタを探しにきました」と取材にきても何も答えてくれないんですよ。

そうなると取材する側もしっかりとした知識が必要なので、事前に勉強していきます。これまでは記事がどれだけバズるかを重視した事前準備だったものが、いまは取材した街の文化をどう伝えるかなど記事の深さも重視した準備まで行っています。そうすると企画の質が全然違ってくるんですよね。

__WEBでバズるかではなく、街の魅力をどう伝えるかにシフトしていったんですね。

岡安様 そうですね。去年の3月頃に「ジモコロ」の立ち上げに向けて柿次郎さんと会議をしていたのですが、その時は「いろんな地元に行ってみた」や「地元に帰って別れた彼女に会ってみた」のような、いわゆるWEBの面白ネタが中心でした

同席していたところ、突然登場した はてな高野 最初は全国のゴリを探しにいく企画とかありましたよね。

全員 (笑)

岡安様 全国のゴリを探す記事は「地元ルネサンス」にならないんですよ(笑)。確かに面白いですしシェアされると思いますが、もともとの主旨とずれちゃうんです。「ジモコロ」を続けるほど、面白ネタだけでは広がりがないと思うようになりました。いまは「ジモコロ」を通じて読者を惹きつける新しい方程式をつくっている段階です。

■一次情報を追い求める 「ジモコロ」を通じて芽生えた変化

はてな高野 私も営業担当として立ち上げから「ジモコロ」を見ていますが、「ジモコロ」はアイデムさんとバーグさんの話し合いによって成長してきたと感じています。

「ジモコロ」のように広告主と作り手が協力して媒体を成長させた経験は、ほかのオウンドメディア運営者にも役立つ話だと思います。このあたりをもう少し伺っても良いでしょうか。

岡安様 「ジモコロ」の成長は、ひとえに編集長である柿次郎さんの熱量や気付きに支えられていますね。柿次郎さんも最初は「いやいや難しい話じゃなくて面白いことをやりましょうよ」という想いがあったと思うんです。ただ「ジモコロ」を続けるうちに、誰も見たことないような一次情報を追うことの面白さを感じはじめたんだと思います。

大きな転機は、クワガタでフェラーリを買った風岡さんの記事でした。あの記事をきっかけに表面的な内容を書くのではなく、一次情報を深掘りしていく姿勢に変わっていったように思えます。

__記事の中身についても、両社で意見を出し合っているのでしょうか。

岡安様 最初は、記事の一文字一文字、漢字を変える変えないというところまで話し合っていました。立ち上げ当初はお互いの価値観がわからなかったので、ほぼ毎日やり取りしていましたね。企画が面白くても倫理的に掲載できない記事もあるので、そこは都度話し合いながらやってきました。

__具体的にはどういう部分が議論になるのでしょうか。

岡安様 最初は掲載基準についての議論が多かったですね。WEBの面白ネタは、何かを否定したり何かを蹴落として面白さをもってくる構造が多いんです。「ジモコロ」ではそれをやらないでほしいと伝えていました。なので、記事の構造や話の流れについて相談し続けていましたね。

伊志嶺様 バーグさん側からすると「うちに依頼してるんだから、うちのやり方をださないと」という想いもあったと思います。なので最初は、バーグさんに頼んでいるのに内容にストップをかけるのもどうなのかと悩んでいました。それこそ高野さんに「この表現はNGだと思うのですが、普通はどうなんですかね?」と相談したこともありました(笑)

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■「最初に妥協しないことが大事」 媒体を成長させるためのコミュニケーション

__企業が運営するオウンドメディアにとって面白さとビジネスをどう両立させるかは難しい課題だと思います。両立させるためには、広告主と作り手がどのようなコミュニケーションを取れば良いと思いますか?

伊志嶺様 弊社のように外部の方と一緒にやる体制では、最初のうちに妥協しないことが大事だと思います。1回・2回の大きなプロモーションをする場合は、むしろ制作側にお任せする方が良いケースもあると思います。ですがオウンドメディアのように長いお付き合いになる場合は、最初に言うべきことを我慢してしまうと媒体の方向性などが上手く伝わりません

「ジモコロ」も最初の頃は、コンテンツに対して明確な判断基準を持っていなかったんです。情報発信の方向性や掲載基準などは、やりながらルール化していったので最初はこまめなやり取りが必要でした。ただ途中からは「ここまでは良いんだな」とお互いの判断基準がわかってきたので、バーグさんも面白さをなくさずに色々な記事に挑戦してくれました。

岡安様 あと私たちは最初の段階で、PVをいくつにして欲しいとか言ってないんですよ。なので最初から記事の中身に集中できたのは大きかったと思います。

__PV目標を設定せずにオウンドメディアを始めたんですか?

岡安様 PVだけを追ってしまうと、記事の中身よりも数字至上主義の面白さに流れてしまいます。例えばPVだけをKPIにしてしまうと、コンテンツの中身をこうしてくださいと制作側に伝えても「でもPVは稼げましたよね」と言われたら終わりです。なのでPV数は別にいいので良い記事をつくってくださいと言い続けました。

__PV目標を設定しないからこそ、記事の質にこだわれるということですね。では何を指標にしているのでしょうか。

岡安様 以前のセミナーでもお伝えしましたが、新規流入を軸にしています。バーグさんにはPV数は気にせずに、新しい読者を「ジモコロ」に連れてくる記事を作ってくださいとお伝えしています。リピーターばかりではなく、読者層が広がるように新しいライターさんにも参加してもらいながら新規流入を増やしている状況です。

■デジタルなのに手作り感 「ジモコロ」は繰り返し読まれる媒体を目指す

__以前の記事でも少しお伺いしましたが、「ジモコロ」がアイデムさんの社内に与えた影響について教えていただけますでしょうか。

岡安様 大きくは発想の仕方ですね。私たちも求人原稿で仕事の紹介をしていますが、どうしても「仕事」というテーマをまじめに捉えがちです。「ジモコロ」の記事を読んでいると、視点を変えると仕事はこんなにおもしろいテーマになるんだなと感じます。

例えば「ジモコロ」にヨッピーさんが下町のタクシー会社を紹介した記事があるのですが、働いている人の視点になって仕事を紹介するヨッピーさん特有の内容でとても参考になりました。

求人原稿でタクシー運転手の仕事を紹介する時は、タクシーの側に運転手を立たせて外から撮影するのが普通なんです。ヨッピーさんの記事では運転席のとなりに座って、横からタクシー運転手の視点を撮っていました。求人原稿とはまったく違う切り口だったので、そんな発想の仕方があるんだなと勉強になりましたね。

__WEBコンテンツの表現が求人原稿にも影響を与えているんですね。

岡安様 あとは細かい所なのですが、GIF画像などライターさんの細かい工夫が参考になります。ライターさんが記事を掲載して「今回は数字が伸びなかったね」となると次はこうやってみようとか工夫がすごいんですよ。吹き出しアイコンがGIFになってたり、文中の写真がちょっと揺れたりと本当に細かいんです。

私もはてなブログを書いているのでわかるのですが、画像の配置などは本当に手間をかけて作っているなと思います。記事自体はデジタルなのですが、受け手として見た時にコンテンツの大切さとか手作り感が伝わってきますね。

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出典:「観光地にある「龍が剣に巻きついたキーホルダー」の魅力を聞いてくれ


__確かに「ジモコロ」の記事にはすごいこだわりを感じます。

岡安様 あとは社内のWEBマーケティングに対する意識が変わってきたと思います。もともとアイデムはWEBマーケティングに弱いイメージが社内外であったんです。なのでWEBマーケティングの成功例をひとつ形にしたかった。

私たちも求人原稿を作っている会社なので「WEBで読まれるコンテンツを作るには、ここまで工夫しないと駄目なんだ」と思うような記事を「ジモコロ」では掲載していきたいですね。それが求人原稿の作り方にも良い影響を与えたら良いなと思っています。

__最後に「ジモコロ」で今後やりたいことなど展望を教えてください。

岡安様 柿次郎さんも年末にブログで書いていたのですが、若者が楽しめるNHKの番組のような媒体にしていきたいです。NHKスペシャルって80年代のものを今でも再放送したりしますよね。「ジモコロ」も何度も読み返されるような記事を出していきたいです。

あとは去年やってきたなかで、良いライターさんに「ジモコロ」の記事を書いてもらえば数字は出るとわかりました。でもライターさんに依存しすぎる媒体は他の媒体に真似されたら終わりですよね。「ジモコロ」の人気ライターさんが色々な競合媒体にでてきたりする。こうした状況のなかでも媒体の色が出せるように、しっかりとコンセプトを決めて良いコンテンツを作り続けていきたいです。

伊志嶺様 「ジモコロ」で書きたいと言ってくれるライターさんがどんどん増えたらいいなと思っています。これからも色々なライターさんが登場するメディアとして、成長させていきたいです。

__ありがとうございました!


全体を通してコンテンツへのこだわりと、オウンドメディアによって達成したいビジョンを感じるインタビューでした。

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■ ジモコロインタビュー前編はこちら

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■ 祝ジモコロ一周年!編集長が振り返るジモコロ一年の歩みはこちら

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