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リクルートライフスタイル執行役員 塩見直輔さんに聞く「コンテンツマーケティングへの取り組み、はてなブックマークとの関わり」

じゃらん、ホットペッパー、ケイコとマナブなど日々の生活に密着したサービスを数多く運営するリクルートライフスタイル様。Webメディア事業も手掛けられ、はてなブログMediaやはてなの広告をご利用いただいています。

35以上のサイト・アプリ・サービス(取材時点)の集客責任者としてメンバーや予算のマネジメントをするのが、Webマーケティング分野の執行役員である塩見直輔様です。リクルートライフスタイルにおけるWebマーケティングの取り組みについてお話を伺いました。

■ Webサービス運営を一通り学ぶためにリクルートへ

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株式会社リクルートライフスタイル 執行役員 ネットビジネス本部ウェブマーケティングユニット長
タブルーム プロデューサー
塩見直輔様

――塩見様が担当されている業務について教えていただけますか。

塩見様 大きく3つの仕事があります。まずリクルートライフスタイルにおける集客担当の執行役員。そして、リクルートホールディングスに「ネットマーケティング戦略統括部」という部署ができまして、そこでリクルートグループとしての対外的なアライアンスや、グループ横断でのマーケティング推進などをやっています。もう1つは、新規事業である「TABROOM(タブルーム)」のプロデューサーです。

――それら3ついっぺんに、という状態を想像するのが難しいのですが、どのように日々過ごされているのでしょうか……

塩見様 比重としては、80%はリクルートライフスタイルの執行役員の仕事です。18%くらいがリクルートホールディングスで、あとの2~3%がTABROOMの運営ですね。

――リクルートに入社されてから手掛けられた仕事について教えてください。

塩見様 Webサービス運営にかかわる業務を一通り全部身に着けたいと思い、2007年にリクルート(当時)に入りました。リクナビNEXT を担当して、機能開発やカスタマーサポートなど、いろいろとやらせてもらいました。

 リーマンショックのタイミングで、いったん開発やマーケティングなどが停まりまして。その時点で、マーケティングだけがやっていないこととして残っていたんですね。大規模なマーケティングを経験したかったけれど、当時のリクナビNEXTでは難しかったので、社内制度を利用して ホットペッパー に異動しました。異動した後にマネージャーに任用されまして、そこからマーケティング畑がメインになって、今に至ります。

――プロデューサーとして関わっていらっしゃるTABROOMは、どのように運営されているのでしょうか。

tabroom.jp

塩見様 昔から、自分の好きなインテリアやデザインに関わるメディアを手掛けたいと思っていました。そのジャンルでフリーライターをやったり、個人サイトを作ったりもしていて。

 その経験がニュースサイト「 TABROOM NEWS 」にも活きているという気がします。記事は全部僕のところに上がってくるので、それをチェックしてアップして……みたいな。

――直接やっていらっしゃるんですか!

塩見様 これまで通算で1,500本くらい記事が出ているんですけど、全部僕の目が入っていますね。

――えっ、他の業務もある中ですごいですね……。開始当初からずっとその体制ですか?

塩見様 はい。自分がやってきた活動を応用しているんです。オンラインストア「 TABROOM STORE 」も、Webで家具を買いたい方、売ってみたい方がいらっしゃって、僕らはECサイトを作れる、ならば組み合わせてやってみよう、という考え方です。

■ 「自分の方向性は自分で決める」リクルートライフスタイルのWebマーケティングとは

――Webマーケティングと一口に言ってもさまざまなジャンルがあり、リクルートライフスタイル様の手掛けるサービスも非常に多岐にわたっています。どのようにWebマーケティングに取り組んでいらっしゃるか教えてください。

塩見様 おっしゃる通りWebマーケティングには、SEO、広告、提携交渉などさまざまな分野がありますが、とにかく各分野の専門家を揃えることを目指しています。詳しい1人には詳しくない10人で挑んでも勝てない世界だと思っているので、とにかく詳しい人を集める。もしくは、詳しくなるようチャレンジしてもらうようにしています。

 サービスが多岐にわたる点はWebマーケティングの組織としては強みだと思っています。サービス特性が違えば同じ施策でも効いたり効かなかったりしますし、外部環境の変化による影響の出方も違う。同時多発的に成功と失敗の情報が溜まっていくので、ノウハウの蓄積が早い。1サイトを実験台にすることもある(笑)。溜まったものをできるだけ効率よく集約して横展開するよう、頑張っています。

――人員の割り振りなどはどう決めているのでしょう。

塩見様 各メンバーの意思を最優先しています。とにかく1分野を極めたいタイプの人もいれば、ある程度理解したら別の分野にも関わって幅を出したい人もいます。それはその人の志向次第だと思っています。

 僕はもともといろいろなことがやりたかった。僕のような人間は、たぶん1~2年サイクルでくるくる回っていくし、1つの分野でスペシャリストになりたい人は長く時間をかけていくでしょう。そこについては各個人に「どうする?」と聞いて、決めています。

――個人の志向を尊重しすぎると、組織として不都合が出ることもありませんか?

塩見様 ある分野を極めたい人が複数人いると、切磋琢磨できていい。一方、どこかの分野に人が偏ると、他の分野のポジションが空くんですよね。空いているということは権限や裁量が落ちているということなので、じゃあそっちに行こう、と考える人もいるんです。若手が狙って勝ち取ることもある。

 これって人生を通じてのキャリアの考え方、キャリア戦略の描き方と、基本的に同じだと思っています。市場性があるというか。

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塩見様 幸いにも扱うサービスや予算が多い環境なので、Webマーケティングにおける一通りのチャンスやポジションが用意できます。むしろ人の方が足りないくらい。僕が今マネジメントをしている範囲では、自分の方向性は自由に決めてもらっていいと思っています。そこに不自由があると、できる人間は社外を目指しますしね。

――Webマーケティングを担当されている方は全体で何人いるのでしょうか。

塩見様 リクルートライフスタイルの社員でいうと20~30人くらいですね。ほかに業務委託で常駐されている方やパートナー企業さんなど、いろいろな形で関わっている方がいます。

――各チームの人員はどれくらいでしょうか?

塩見様 ばらばらです。サービスの売上、事業規模にも関係します。大規模なプロダクトで予算も開発人員も潤沢な中でやりたいという人もいれば、規模は小さいけれどいくつもの役割を兼務してなるべく広い範囲でやりたいという人もいます。どのサービスを担当するかについても、スキルを伸ばす考え方と同じで、各個人がキャリアとしてどうしたいかによって選べるようにしています。

■ コンテンツマーケティングは「いろいろやってみよう期」

――リクルートライフスタイル様は、「 メシ通 」「 ギャザリー 」など多くのWebメディアを立ち上げています。Webメディア運営やコンテンツマーケティングへのお考えをお聞かせください。

塩見様 戦略は明確にあります。ただ戦術は、今は「いろいろやってみよう期」だと思っています。コンテンツマーケティングの流れの中に登場するメディアは、バイラルメディアと呼ばれたり、オウンドメディアと呼ばれたり、キュレーションメディアと呼ばれたり……そのうちどれがうちにとってのコンテンツマーケティングの正解なのかは、正直まだ分かっていません。分かるまで考えてからやるというのでは遅きに失することがあるので、分からないうちは全部やってみるしかないなあと。

――例えばTABROOM NEWSはニュースサイトで、ギャザリーはユーザーによるキュレーションと、それぞれ全く違うアプローチとなっています。

塩見様 TABROOM NEWSではインテリアのメーカーさんやショップさんからいただける一次情報に価値があるのではないかという仮説でニュースとして配信しています。ギャザリーの場合は、キュレーションメディアとして成功している事例が他社さんにあるので、ちょっとアレンジして「こうするとさらにうまくいくかも?」という仮説を持ってやってみる。じゃらんにしても、ホットペッパーにしても、いまはなるべく多くの、別のパターンの仮説を立てながら、試してみているところです。

――他のサービスに対する横展開もお考えなのでしょうか。ギャザリーで得た手法をTABROOMでやってみよう!など……

塩見様 どの手法がいいのかという正解探しは正解探しとして取り組んでいきますが、例えばニュースという手法が正解だとしても、ポンパレの領域でニュースってあるのか?といわれると、結構難しい。

――ポンパレ はチケット共同購入サイトで、確かに想像しにくいですね。

塩見様 各サービスがどんな資産を持っているかによって、最終的にやるべきことが変わってくると思います。「どれが正解か」「どれが合っているのか」の2軸で考えながらやらないといけない。あくまでたとえ話ですが、リクルートのサイトの多くは日本全国にスタッフがいる。雑誌やフリーペーパーを持っていたりする。このネットワークをコンテンツに活かせないか?とか。単純に他の真似をすればいいというものではないと思うので、独自の強みを考えながら取り組んでいます。

■ はてなブックマークはWebの着火点

――Webマーケティングという視点から、弊社の「はてなブックマーク」に関するお考えをお聞かせいただけますか。

塩見様 考えというか、高野さん(株式会社はてな 営業部長 高野政法)といろいろ一緒にやらせてもらった思い出があります、実は。

――そうなんですか! どのような……

塩見様 TwitterとかFacebookとか、ソーシャルメディアで話題になると、ソーシャルメディア上でも広がった上にそれがニュースサイトなどで記事として取り上げられて……と二次的な効果があって一石二鳥だと思うんです。

 はてなブックマークはもう1つ上流といいますか、はてなブックマークで火がつくとソーシャルで拡散され、記事になり、と、二段ロケット、三段ロケットが発射するようなイメージが当時ありまして。Webの話題の着火点だな、なんて思っていました。そんな話をはてなの人としてみたくて、コンタクトしてみたことがあったんです。

同席していたところ、突然登場したはてな高野 思い出しました! お問い合わせ用メールアドレス宛てに直接塩見様からお問い合わせをいただいたんです。

――はてなに対してはどんなイメージをお持ちだったんでしょうか。

塩見様 結構昔の話なんですが、僕が前職でいた出版社の編集部でも、よくはてなさんを取り上げさせていただきました。はてなブックマークについては初期の頃から、個人的にも好きでよく利用していました。

 で、高野さんにお会いして、そこではてなにいろいろな広告があることを初めて知りました。あとは、膨大なWebコンテンツのデータ資産を持つはてなさんの「テキスト解析・自動カテゴライズに関する技術」などをコンテンツマーケティングに活用させてもらえないかとか、できることできないこと含めていろいろ相談しました。

 その後3日くらいで「こういう感じでどうですか」って返ってきたり、エンジニアさんが一緒に来てくれてアイデア出しをしたり、はてなさんはすごく柔軟にいろいろ対応してくださるというイメージを持ちました。

はてな高野 私たち営業部では、はてなの広告で良質なサイトやアプリ、キャンペーンなどを応援したいという思いを持っています。クライアント様とともに思い描く形を実現できるよう、試行錯誤することが多いですね。

塩見様 それ以来、相談すれば何かしてくれそうな感じがしたので、まず相談してみるという感じですね。広告も試してみようということになったのですが、いざやるとなると、これはすごく怖い商品だなと。下手するとコメントで叩かれまくる(笑)。

 なので、とても慎重に内容を選び、いち“はてな民”である自分の胸に手を当てながら「これははてなに載せる広告として適切か」というのを考えて、広告を出してみたり。

はてな高野 広告掲載に際してはとにかく考えて調整しました。もちろん塩見様とも意見交換して、ユーザーの皆さまに受け入れられることを目指しました。

――リクルートライフスタイル様のお取り組みとはてなブックマークの関わりで印象的なことがあれば、教えてください。

塩見様 Webメディアの数値面でさまざまな振り返りをしています。拡散された記事からどれくらいの収益効果が生み出されたのか、ブランドの指標は上がったかなどですね。社内で持つ指標との相関性を見ていると、はてなブックマークはその相関がほかのソーシャルメディアよりかなり強く出ます。当初からそれを狙ったわけではないんですが、結果として先ほどの三段ロケットの話のように、はてなブックマークのユーザーさんに評価されることは副次的な効果を生みやすいのかな、という感覚は持っています。

――最後に、はてなブックマークに期待することをお聞かせください。

塩見様 はてなのユーザーさんの目は厳しい。それはとても良いことだと思っていて。僕らがコンテンツや広告を世に出していくとき、ちゃんとユーザーに受け入れられるかどうかというのは最も大事な基準です。ですが、収益性に目が行き過ぎてわれわれ都合が強すぎるものを世に出してしまうことがあったりもします。いろいろなタイプのメディアや広告が増える中、ちゃんとユーザーさんの視点があることで極めて健全にコンテンツやネイティブ広告が機能する媒体だと思っています。

――どうもありがとうございました!

写真:小高 雅也