オウンドメディア、ネイティブ広告、コンテンツマーケティングに関する話題をお届け。株式会社はてなが運営しています。

社内広報や採用支援から見たオウンドメディアとは 社内へ与えた影響を3社にインタビューしました 




はてなの営業部長の高野です。今年になってから、オウンドメディアのKPIとは?成果はあるのか?が話題になっています。

はてなでは、コンテンツマーケティングサービスを通して、企業のオウンドメディア担当者様にお話を聞く機会が増えました。
悩んでいらっしゃるお話も聞きますし、数字として成果が出ているお話も聞きます。
その中で副次的に社内広報や採用支援にも良い影響があったとおっしゃる方もおりました。

WEBマーケティング施策・SEO施策として日々数字を追いかけていると、社内広報や採用支援につながったという効果や影響は見過ごしてしまうかもしれません。そもそもマーケティング担当者様からすると、採用に影響があっても人事部の方から共有がなされないと気づきにくいでしょう。企業のPRやブランド創出にオウンドメディアが一役買っていても可視化されにくい側面もありそうです。
良い影響が出ているのにそれが見えづらいため、オウンドメディアの成果の一部にはならないというのは残念です。

そこで今回、社内広報や採用支援といった観点からどのような成果があったのか、オウンドメディアを運用する3社にインタビューさせて頂きました。



■外からの反応を見て社内が変わっていく(株式会社サイボウズ様)

答えてくださった人

サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部 サイボウズ式 編集長 藤村能光氏 id:saicolobe 

藤村能光氏

Webメディアの編集記者としてキャリアをスタート。その後、サイボウズ株式会社で無料グループウェア「サイボウズLive」のマーケティングを担当。自社メディア「サイボウズ式」の立ち上げに参画し、2015年1月より編集長を務める。
現在、「ハーバード・ビジネス・レビューの読者と考える「働きたくなる会社」とは?」を立ち上げ、「働くこと」の可能性を模索中。


__ではいくつかお伺いさせていただきたいと思います!まず、サイボウズ式の目的とは何でしょう?

藤村様 一番の目的は認知度の向上です。サイボウズ式開設以前のマーケティング施策は企業ユーザー向けの訴求を中心としていましたが、企業ユーザー以外にもサイボウズを認知してもらいたいと思い、メディアを開設しました。

採用に効いた、社内で理解が得られた、といった成果も出てまいりましたが、これは立ち上げ当初の狙いにはなく、結果としてついてきた成果でした。


__採用支援にも効果があったんですね。

藤村様 採用支援はうれしい誤算で、新卒採用が終わった後にアンケートをとってみたら、「サイボウズ式を見て選考に来た」と答えてくれた方が一定の割合でいらっしゃいました。

私も新卒採用の面接で、入社を希望した経緯を聞くことがあります。サイボウズ式を見て応募してくれたという方に何人も出会いました。


__社内にも影響はありますか?

藤村様 社内のモチベーションアップやコミュニケーションのきっかけになっていますね。コンテンツがきっかけになって他の部署同士でつながりができ、出来上がった企画もあります。進行中の企画もありますよ。


__それは嬉しいですね。社内報ではなく、オウンドメディアだからこそできたと思われるポイントはありますか?

藤村様 サイボウズの働き方の改革や、人事制度拡充といった取り組みをサイボウズ式の編集力でコンテンツ化して公開すると、これまでサイボウズに興味を持っていなかった方々からも反響が出てきます。

社内にいると自分たちのやっていることにどれだけの価値があるかはなかなかわかりません。ですが、ソーシャルメディア上での反響という第三者の声によって、自社の取り組みが「いいものだ」と客観的に理解できるようになります。その客観視が、結果社内広報(インナーブランディング)につながっていったのかと思います。

__なるほど。どの記事が社内で反響がありました?


藤村様:男性学の記事は話題になりましたね。いろんな部署の方から「あの記事おもしろかったよ」と言ってもらえました。

少子化が止まらない理由は「オッサン」にある?-「男性学」の視点から「働き方」を考える-

この記事も反響が大きかったです。

子連れ出勤しています!──「小1の壁」に直面した社員発、新しいワークスタイルの試み

サイボウズ式は「自社が言いたいこと」ではなく、「世間の人が関心があること」を企画の切り口にしています。今振り返ると、この企画の立て方で間違っていないんだという成功体験になったと感じます。


__一般的に考えたら、「マーケ部は『自社が言いたいこと』を伝えて営業や売上の後押しをしてくれよ」と、他の部署の人は思いそうじゃないですか。それが「世間の人が関心があること」を企画にしたら、社内でも反響が大きかったというのは面白いですね。


藤村様 私の解釈ですが、社長の青野が矢面に立って等身大のコメントを出しているところがよかったのかな、とも感じます。

会社あってのオウンドメディアですが、サイボウズ式というオウンドメディアを通じて、会社や社長の考えていることが、広く社内外に伝わったという逆説的な面もあると思います。

サイボウズ社員からすると当たり前だったことが、サイボウズ式を通じてわかりやすく社外に伝わり、その反響を見た社内がさらに少しずつ変わっていく、という感じです。だから、ソーシャルで反響が可視化できるというのは、とても意義があります。



■オウンドメディアを通して人を惹きつけるコンテンツ作りを学ぶ(株式会社アイデム様)

答えてくださった人

株式会社アイデム 東日本事業本部 マネージャー 岡安伸悟氏 id:sokayasu

岡安伸悟氏

1978年、神奈川生まれ。
日本、イタリアにて、考古学を学び2007年に株式会社アイデム入社。
「イーアイデム」「JOBRASS新卒」などWeb事業をメインに、各種媒体の広告プランニング・ディレクションを担当。
目下「アイデム演劇プロジェクト」「ジモコロ」のコンテンツ・マーケティングに日々奮闘中。


__まず、ジモコロの目的とは何でしょう?

岡安様 大別すると2つあります。
1つはオンラインプレゼンスがまだまだ低い「イーアイデム」「アイデム」という存在をオンラインに広げることです。

もう1つはM1と言われる若年男性へのリーチを広げ、新規流入を増加させることです。それぞれに指標があり、順調に拡大しております。


__社内にジモコロファンはいますか?

岡安様 はい。予想外に多くおりました。
例えばネット上で自然とジモコロを見つけてファンになり、それから「これアイデムじゃん」と気づいたという人もいました。

またライターさん毎にファンがおりまして、「今日は○○さんが上がってる!」とか、社内SNSで「ジモコロ面白いから見てみて!」と投稿されていたりと、社内でも自然にその存在が拡散されております。


__社内のジモコロファンのみなさんは何とおっしゃっていますか?また、どの記事の反響が大きかったでしょうか?

岡安様 ジモコロを始める前からバーグハンバーグバーグさんの取組みやオモコロのファンがおりましたので、まさか社内でそういった取組ができると思いもしなかったようです。
記事別では、やはりヨッピーさんの記事は人気が高いですが、風岡さんの記事もジモコロらしくとても人気ですね。

【伝説】クワガタとタケノコで大稼ぎ! 謎の農家「風岡直宏」はなぜフェラーリを買えたのか?


営業時のネタとしても活用しているようで、お客様との打合せの際に都道府県マスター潤の記事で毎回盛り上がるという話も聞いています。

都道府県マスター潤 記事一覧

アイデムは人材サービスの会社であり、各企業の人事担当者様と定期的に打合せしています。ある企業の人事担当者様との打合せ中に弊社営業担当が「都道府県マスター潤」の紹介をした所、次の打合せで「マスター潤、今回は○○県でしたね!」と話題をふられたそうです。


__ジモコロをきっかけに、他部署との交流や連携が始まった事例はありますでしょうか?

岡安様 具体的にまだ動いているわけではありませんが、「ジモコロ」のコンテンツを本業である求人広告(紙媒体)でも活用したいという話が出てきたり、若年層向けの企画を立てる際には、「ジモコロ」の記事と連動させてより読者を楽しませたい、という相談がくるようになりました。

他にも社内コミュニケーションの題材として、良いネタになっているかと思います。そういう意味では、社外的なプレゼンスもそうですが社内的な影響も大きいです。


__「『アイデムでもこういった取組ができるんですね』と良く言われます。」とのことですが、ジモコロを始める前と後で会社の雰囲気が多少なりとも変わった、などありますでしょうか?

岡安様 提案の導入部分で、オウンドメディアやコンテンツマーケティングの事例としてジモコロが引き合いに出されるようです。そういう意味ではジモコロをお客様と一緒に楽しめる様になったのは大きいかと思います。

一口にWEBマーケティングで集客するといっても、アドテクは他部署から見ると何をやっているかわかりにくかったと思います。ただジモコロではソーシャルメディアのシェア数など、内容はもちろんのこと拡散力といった数値もわかりやすくなっています。

そういったフィードバックが求人原稿の作り方にも少なからず影響を与えているかと思います。WEB上で人を惹きつけるようなコンテンツの作り方を、ジモコロを通して社内でも学んでいますね。


__ジモコロのコンテンツを通じて社内でも学びを得ている、という関係性は素敵ですね。

岡安様 そうですね。ジモコロを通して、改めて地元を題材に取組む姿勢や、仕事への向き合い方、それこそ働き方を考えない日はありません。

編集長を担っているバーグハンバーグバーグの徳谷柿次郎さんの存在が大きいですね。様々な「地元×仕事」という切り口で記事が作られる中で、人材サービスに携わる身として私も逆に学ぶことばかりです。



■自分たちの強みを再確認(ベルリッツ・ジャパン株式会社様)

答えてくださった人

ベルリッツ・ジャパン株式会社 マーケティング部 コンテンツクリエイター 胡喬太氏 

胡喬太氏

2005年に教師としてベルリッツに入社。日本人と台湾人のハーフ。日本最大手アパレルメーカーや東京工業大学においてのカリキュラム・教材開発を経て現在はベルリッツのカリキュラム部に所属。 教材やプログラム開発を含むコンテンツの制作を担当。
ベルリッツブログ」「ベルリッツグローバルブログ」の運営を行う。



__前回、ベルリッツブログを更新していったことで、コーポレートメッセージを再認識し、改めて全社に浸透させるお仕事にも携わることになった、とおっしゃっていました。もう少し詳しくお伺いさせて頂けますでしょうか。

business.hatenastaff.com


胡様 はい。ブログを更新していた結果として、会社について考える機会が増え、外部にどうメッセージを発信していくかを考える癖がつきました。

「教材にもある内容を出し過ぎでは」と言われることがありましたが、メディアの運営に携わったりそれがきっかけで多くの社員と接したりする中で「自分たちは単なる英語のフレーズを教えているんじゃない」と確信しました。より自分たちの価値や強みがわかるようになりましたね。


__競合とは違う、自分たちの強みに気づかれたということですか。

胡様 そうですね。手軽に学べる英会話コンテンツを展開する戦略の競合もありますが、自分達はそれとは全く異なるサービスを展開しているのだと改めて感じました。私たちは言語などのコミュニケーションツールをつかってお客様が目標達成するためのお手伝いをしているのだと思っています。

自分たちの言いたいことが人に伝わるようにするということは、自らメッセージをまとめないといけないですし、誰よりも自分の提供する価値を理解していないといけない。会社として何を発信するかを、会社の中で誰よりも考えるようになった、と自負しております。


__ありがとうございます。他にも、採用支援や社内広報に繋がった例などはありますか。

胡様 ベルリッツブログに採用情報ページへのバナーを設置したところ、ここから応募して面接につながった例がありました。

記事を見てベルリッツのことを理解した上で、働きたいと考えてくれる。そういう人が応募してくれるのはミスマッチを減らし、採用の活性化にもつながると思います。


__しっかりしたコンテンツを作られることで、会社のメッセージ策定から採用支援にまで広がるというのはすごいですね。

胡様 ありがとうございます。他にも、企業様向けにマインド研修を行う際に、「ベルリッツグローバルブログ」でまとめられているコンテンツをベースに内容を設計することができています。

また、ブログの記事が考えるきっかけになったり共通の話題になったりするので、社内のコラボレーションを助けた例もあります。営業同行する際の、社内や社外への営業ツールになり、企業としての名刺代わりにもなります。


__具体的にどのような例がありましたか。

胡様 グローバルブログを読んだ大阪のランゲージセンターのマネージャーが、大阪の学校の校長と商談するために、私を営業同行に呼んでくれました。それは、校長の思想とグローバルブログに書かれている思想が合っていると感じてくれたからです。社員がブログを通じて、社内にあるソリューションに出会えたという例です。



■まとめ

インタビューに答えてくださったみなさんのお話をまとめると、以下のような副次的な効果があったとわかりました。

  • オウンドメディアを見た人が「入社したい」と応募してくれるようになった。会社のことをよく理解した人たちが応募してくれることで、採用・マッチングの活性化につながった
  • 自分たちの会社を客観視できるきっかけになった。SNSで外部から得られる反響が、社内のメンバーや体制に影響を与えるようになった
  • 記事がきっかけとなって他部署とのつながりを得たりコラボレーションをする機会が生まれた
  • WEB上でのコンテンツ作りに対する新たな知見を得られたので、本体サービスにも活かすことができる
  • メッセージを発信し続けることによって、競合他社と比較した時の自分たちの強みや立ち位置を再確認できた
  • セミナーなどにも流用できるコンテンツのストックを作ることができた


また、みなさんのオウンドメディアの運営体制も様々だと感じました。
社内で他部署としっかり連携を図り、広報や人事部が持つネタもオウンドメディアに活用して情報を伝えていくケースや、オウンドメディアから出て行く情報を通じて社内にオピニオンを伝えていくケースなど。


ちなみにはてなはどうしているかと言いますと、このビジネスブログの編集会議には広報メンバーも参加しております。
企画においても記事の質においても広報が意見を言える体制になっているだけでなく、広報が把握している全社的な動きや他部署の方針などを、記事にフィードバックしてもらえるようになっています。弊社でも問い合わせ増加だけでなく、社内広報や採用支援に効果があったことを実感しておりますが、それはこのような体制によってできたことだと思っています。


この記事でご紹介した効果は問い合わせ件数の増加といったコンバージョンとは違い、なかなか定量的には語れません。
さらに、他部署と連携したり、コンテンツを通じてオピニオンを示すことは、手間も労力もかかります。
ただ、記事が出る前と出た後で、多くの人達からフィードバックをもらうことができますので、いずれ記事の品質にも良い影響を及ぼすようにも思いました。
何よりも、オウンドメディアを担当するチームだけで業務を閉じるのではなく、他部署とも連携して会社の良いところを客観的に認識し発信することは、大きな成果への一歩になるのではないかと感じました。