2016年5月25日(水)に「ネイティブ広告の本質を理解し効果的なブランディングに活かすには はてなネイティブ広告セミナー」を開催しました。
第6回目となる今回のセミナーでは、「ネイティブ広告」に携わる3名が登壇。バズワード化しているネイティブ広告を正しく理解するポイントや、効果的な広告出稿の方法について話していただきました。その様子をピックアップして紹介します。会場はTwitterさんのセミナールーム(東京都中央区)をお借りしました。
【第一部】Sharethrough日本代表が語る、ネイティブ広告を理解する正しい考え方
第一部では、Sharethrough Inc. 日本代表の高広伯彦氏が登壇。「ネイティブ広告の本当のところ」というテーマで、誤解を招きやすい“ネイティブ(native)”の意味や従来のネット広告との違いを紹介いただきました。
* *
ネイティブ広告を理解するために「native」と「alien」の関係を考える
ネイティブ広告を正しく理解するためには「まず“ネイティブ(native)”の意味を考えることが重要」と高広氏は説明。"native"という言葉の意味がわかりにくいことがネイティブ広告の誤解につながっているとし、「nativeの意味を理解するには、nativeの対義語である"alien"について考えることが重要になる」と話しました。
nativeとalienの関係について高広氏は「ある土地に元からいる生物(在来種)を英語で"native species"、外からきた外来種を"alien species"と呼びます」と紹介。「在来種と外来種の関係をメディアプラットフォームと広告に置き換えると、従来の広告は外からきた邪魔者(alien)になる。ネイティブ広告は邪魔者(alien)になった広告をいかにして自然なもの(native)にするかを試みている」と語りました。
従来メディアだけでなく、伝統的なオンライン広告も壊れつつある
いまネイティブ広告が注目を集める背景には、ネット広告業界の変化があると高広氏はいいます。1996年に2.1%だったバナー広告のCTRは、2012年には0.04%まで低下しており、さらにはモバイル向けのディスプレイ広告で発生した全クリックのうち、50%はユーザーが意図しないクリックだったとするデータを紹介。こうしたデータを基に「多くのユーザーが広告を邪魔だと思っていることを前提に、広告が好かれる存在になる方法を考えることが大きなポイントになる」と説明しました。
ネイティブ広告のリンク先は編集コンテンツが中心になる
「よくある勘違いとして、ネイティブ広告を記事広告の話だと考えている方がいますが、ネイティブ広告は基本的にコンテンツに誘導するための”見出し”の体裁をとった”広告枠”の話だと考えると分かりやすい」と高広氏は紹介。ネイティブ広告を理解する上で押さえておきたい共通要素として、「広告枠と編集コンテンツ枠のデザインがほぼ同じであること」「ユーザー体験を重視していること」の2つを挙げました。
ネイティブ広告の飛び先は主に「スポンサードコンテンツ」と「ブランドコンテンツ」の2種類に分かれます。スポンサードコンテンツは、広告主の依頼で媒体社が制作したコンテンツのこと。ブランドコンテンツは、企業側が自社で作ったコンテンツのことです。
「広告枠のデザインが編集コンテンツと同じでも、飛び先がユーザー体験を邪魔するページではネイティブ広告とはいえません。ユーザーのメディア体験と広告体験が同じになるように、ネイティブ広告の飛び先は編集コンテンツが中心になる」と高広氏は説明しました。
従来のネット広告との大きな違いは“態度変容”を促せること
高広氏によれば、ネイティブ広告と従来のネット広告の大きな違いは、ユーザーの態度変容を促せるということ。現在のネット広告の多くは、オーディエンスターゲティングが進んだ結果、すでに購買意向の高い人をターゲットにして商品購買ページや資料請求ページなどに直接誘導することを目的としています。これは広告が態度変容を促したのではなく、「すでに態度変容が起きた人にアプローチしている」と従来のネット広告の特徴を解説しました。
一方でネイティブ広告は「これまで商品に関心がなかった人をも対象にできる」と説明。「購買までの間にコンテンツが入ることで、ユーザーとブランドの距離を縮め、購買意向を高めるのがネイティブ広告の効果ですが、そこから態度変容を促すには、誘導先がユーザーにとって有益なコンテンツである必要がある。そのため、ネイティブ広告の効果を考えるときにはコンテンツの存在を加味する必要がある」とネイティブ広告におけるコンテンツの重要性を語りました。
企業が届けたいコンテンツの入り口を作るのが“ネイティブ広告”
高広氏はコンテンツマーケティングの難しさを、「SEOに頼った“待ちの姿勢”になりがちなこと」だと指摘。「態度変容を促すコンテンツを作れたとしても、その記事が読まれるとは限りません。逆にバズるコンテンツを作ったとしても、企業のマーケティングに結びつかない場合もあります。そのなかで企業が届けたいコンテンツをユーザーに届ける入り口になるのが、ネイティブ広告」だと話しました。
「Sharethrough」の問い合わせはこちら
高広氏が日本代表をつとめる「Sharethrough」は、ネイティブ広告プラットフォームを提供しています。最大の特徴は、ネット上のコンテンツを何でもネット広告にできる仕組みです。企業が運営するオウンドメディアのコンテンツや自社SNSの投稿、YouTubeにアップロードした動画などを、簡単にネイティブ広告として配信できます。
【第ニ部】良いコンテンツを拡散するための「はてなブックマーク」活用法
第ニ部では、株式会社はてな ビジネス開発本部 事業開発部長の大久保亮太が登壇。はてなブックマークにおけるネイティブ広告の考え方について話しました。
* *
ネットで旬な情報が集まる はてなブックマークを活用したネイティブ広告
はてなブックマークは、「ツール」「コミュニティ」「メディア」という3つの側面を持ったサービス。インターネット上のコンテンツをブックマーク(保存)する機能がツールの役割です。はてなブックマークを使うことで、インターネット上の気になるコンテンツを保存し、デバイスを横断して閲覧できます。またブックマークと同時にコメントを付ける機能により、コンテンツに対して議論が起こるコミュニティとしての側面もあります。
さまざまなユーザーのブックマークが集まることで生まれるのが、はてなブックマークのメディアとしての側面です。大久保は「情報発信力の高いユーザーと共創したメディア面には、いまネットで旬な情報が掲載されるため、面白い情報をシェアしたいユーザーが集まります。このメディア面を活用して、コンテンツを拡散させるのがはてなブックマークのネイティブ広告です」と説明しました。
ユーザー体験を妨げないための工夫
はてなブックマークがユーザーに提供する価値は、情報発信力の高いユーザーが集めた価値のあるコンテンツを掲載することだと大久保は説明。そのためネイティブ広告でもユーザー体験を妨げないように、遷移先を記事コンテンツに限定しているとし、「毎日サービスを利用するユーザーの体験に合うように、毎日原稿を更新するなどの工夫をしている」と話しました。
はてなブックマークに出稿する際には、遷移先へのCTRだけではなくBTR(Bookmark through rateの略で、ブックマーク数を広告impで割った数値)を意識することが大切になります。CTRが高い記事タイトルだとしても、ブックマークが多いとは限りません。ユーザーは記事の中身を見ており、例えCTRが低くても、「コメントしたくなる」「保存して読み返したい」「議論が生まれる」などの要素が含まれる記事の方がブックマーク数が多い傾向にあるとのことです。
良いコンテンツを、良いユーザーに届ける
大久保は締めくくりとして、「ネイティブ広告を効果的に活用するためには、質の高いコンテンツが大事になります。ただし質の高いコンテンツを作るだけでは、コンテンツを広げることはできません。良いコンテンツを、情報発信力の高い良いユーザーへ届けることが必要」と説明しました。
「はてなネイティブ広告」の媒体資料はこちら
【第三部】Twitterのビジネス活用術
第三部では、Twitter Japan株式会社の森田謙太郎氏が登壇。「Twitterのビジネス活用術」というテーマでTwitterユーザーの属性と、Twitter広告について紹介いただきました。
日本国内のTwitterユーザーは月間3500万人
Twitterは全世界で3億2000万人のユーザーが利用するインターネットサービス。日本国内の月間ユーザー数(MAU)は3500万人で、ユーザーの約半数が30代以上になります。日本ではテレビを見ながらTwitterを利用するユーザーが多く、テレビコンテンツとの相性が高いそうです。
Twitterユーザーは商品購入にポジティブ
Twitterは、情報発信だけではなく情報収集にも使われています。あるアンケートでは、約30%の人が最近検索によく使うサービスとしてTwitterを挙げています。「なぜTwitterで検索をするのかを調べたところ、電車の遅延情報などのリアルタイムな情報や、商品・サービスに対するユーザーの評価などを知りたいときに検索するとの声があった」と森田氏は紹介しました。
Twitterには商品購入に対してポジティブなユーザーが多くいます。Twitter利用者と非利用者を比較した調査では、モバイルEC購買率についてTwitter利用者の方が非利用者より2.5倍高い結果が出たそうです。森田氏は、「Twitterをきっかけに購入したものを調べたデータによると、食品・飲料、ホビー系アイテム、エンタメコンテンツ、ゲーム、テクノロジー製品などがよく購入される結果になった」と解説しました。
興味関心の合うユーザーに情報を届ける
森田氏はTwitter広告の特徴について、「フォロワー以外の狙った層に対して情報を拡散できること」だと説明。Twitter広告の強みを「自社アカウントで行う通常のツイートでも情報発信はできますが、拡散先はどう広がるのかわかりません。Twitter広告ではエリアや検索ワード、フォロー先などを組み合わせ、興味関心の合うユーザーにアプローチできます」と伝えました。
「Twitter広告」の詳細はこちら
* *
ネイティブ広告とは何か、そして各社が販売するネイティブ広告について、3社の視点から話していただきました。
はてなでは、今後もこのようなセミナーを企画していく予定です。はてなブックマークのネイティブ広告や、オウンドメディア構築について興味がある企業様は、お気軽にお問い合わせください。