2018年1月30日(火)にWebマーケティング・広告・宣伝・広報ご担当者様を対象とした無料セミナー「はてな ネイティブ広告セミナー」を開催しました。
セミナーでは、アウトブレイン ジャパン株式会社 社長の嶋瀬宏氏 と オムロン株式会社 グローバルIRコーポレートコミュニケーション本部デジタルコミュニケーション部の内田孝裕氏をゲストスピーカーとしてお招きし、オウンドメディアを中心とした全体的なデジタルメディア戦略の考え方についてお話するとともに、最新のネイティブ広告トレンドやコンテンツを活用したナーチャリング戦略、また、注目を集めるデータドリブンなコンテンツ制作メソッドについてなど、登壇と座談会を通じてご紹介しました。
本レポートでは、その模様を一部お届けします。
グローバルでのネイティブ広告最新トレンド - データドリブンのコンテンツ制作 -
アウトブレイン ジャパン株式会社 社長の嶋瀬宏氏にご登壇いただき、カスタマージャーニーにおけるコンテンツマーケティングの理想的な活用方法や、最新トレンドであるデータを活用したコンテンツ制作の方法についてご紹介いただきました。
コンテンツの分析について「カスタマージャーニー全体で見たときに、どういったコンテンツがコンバージョンに寄与しているのかを理解したうえで、コンテンツ制作のPDCAサイクルを構築することが重要」と話す嶋瀬氏。
アウトブレインのパートナーである「TrenDemon」を使って行った調査では、「コンテンツの7割がKPI/KGIに貢献していなかった」といったデータも出たそうです。
「PVが低くてもコンバージョンには貢献するコンテンツというものも存在します。まずはそうしたコンテンツの特徴を知り、別のコンテンツ制作に活用することで、効率を上げることができます。アウトブレインやネイティブ広告を活用する場合も、コンバージョンの高いコンテンツが複数あることで、その効果を最大化できます」(嶋瀬氏)
また、海外の事例を紹介し「カスタマージャーニー全体を検証すると、実はオウンドメディアではなくタイアップ記事のほうがコンバージョンが高かった、ということや、PVの高いノウハウ記事よりも、地味なブランディング記事のほうがコンバージョンに貢献していたなどといったこともわかるようになります」と紹介。
そのほか、NetFlixがオリジナルコンテンツへの投資をする際に行ったという既存コンテンツから得たマーケティングデータの活用事例や、海外メディアで増えている「アーンドメディアの活用」など、最新トレンドについてお話いただきました。
ブランド形成のためのデジタルメディア戦略
続いて、オムロン株式会社 グローバルIRコーポレートコミュニケーション本部デジタルコミュニケーション部の内田孝裕氏にご登壇いただき、のちの座談会に向け、オムロンが現在取り組むブランド形成のための戦略設計について、現在どういった取り組みをされているかを事例を交えてご紹介いただきました
コア技術を多様な事業に展開するオムロン。個人向けの健康機器メーカーというイメージを持つ方が多い同社ですが、実際は、制御機器や車載事業など、最新の技術を駆使したBtoB向けの事業も多数展開しています。
「オムロンのブランドイメージを正しく伝え、知ってもらうためにオウンドメディアを活用しています。中期経営計画の達成に向け、ステークホルダーとの協創を強化するためのコミュニケーション戦略のひとつです。」(内田氏)
現在は、オムロンのファンを形成するための発信基地として、事業と人を伝える「EDGE&LINK」と、技術と未来を伝える「イノベーションサイト」を運営しています。
www.edge-link.omron.co.jp
www.omron.co.jp
それぞれのメディアでターゲットや狙いを分けるとともに、複数のメディアやツールを活用した集客施策を実施しているそうです。ネイティブ広告の活用事例や、新聞広告とオウンドメディアコンテンツの連動活用事例についてもご紹介いただきました。
はてなブックマーク ネイティブ広告 実施事例
- 入稿コンテンツ:オウンドメディアで掲載したインタビュー企画記事
- 掲載期間:1日
- 広告枠経由のクリック数:3,437
- 広告枠経由のはてなブックマーク数:63Users
- 記事全体のはてなブックマーク数:132Users
- 記事ページビュー:9,151
この事例では、はてなブックマークのネイティブ広告枠から3,437クリックされ、62Usersにブックマークされました。広告経由以外も含めると全体で132Usersだったことから、広告枠経由で半数のブックマークがつき、そこから波及したことで全体のPVにも貢献したことがわかります。
「はてなブックマークは拡散への貢献だけでなく、ユーザーさんからのコメントが可視化されるという特徴があります。コメントによって記事に対する反響がわかるので、記事の定性的な評価もできるようになりました。」とお話いただきました。
座談会
座談会では、はてな 営業部長 兼 事業開発部長 大久保亮太を加えた3名で、来場者から事前にお寄せいただいた質問テーマに沿ってディスカッションしました
座談会では、事前に寄せられた質問のなかから「トレンド」「KPI/KGI」「効果計測」「コンテンツ」「予算・リソース」「成功事例・失敗事例」「エンゲージメント」といったテーマに分けてお話しました。ここではその一部をご紹介します。
はてな大久保 コンテンツマーケティングが日本より進んでいると言われるアメリカでは、読者獲得やコンバージョンについて、どのように考えている企業が増えているのでしょうか。
アウトブレイン嶋瀬氏 これまでもBtoBの商材については、コンバージョンをシビアに見ている企業は多かったのですが、最近はBtoC商材でもその傾向が強まっています。例えば実店舗への来店のようなものをコンバージョンに設定するなど、一度オンラインでの計測データが切れてしまうとしても、リアルと紐づけて獲得系と同じような指標でシビアに成果を見始める企業が増えています。
はてな大久保 オムロン内田さんはオウンドメディアの費用対効果について、社内でどのようなコンセンサスを取ってらっしゃいますか?
オムロン内田氏 オウンドメディアの目的が、経営計画の達成に向けた手段であるという前提ですので、本部全体で連携しながら、それぞれが実施する施策とのシナジーをしっかり出して行こうという共通認識があります。いまはまだ投資フェーズですが、問い合わせ獲得や採用への貢献など、さまざまなKPIを設定し、成果はきちんと分析・検証しています。
アウトブレイン嶋瀬氏 オムロンさんの取り組みで素晴らしいなと思うのは、プロモーションを担当する複数の部署がきちんと連携していることですよね。オウンドメディアの担当者がいかに頑張っても、広告やPRの部隊との連携ができていなくてカスタマージャーニーがきちんと設計できずに困っているというお話を伺うことがありますが、それはとてももったいないですよね。
はてな大久保 内田さんのお話に、コンテンツ制作のコストだけでなく、読者獲得についても予算を取っているとありました。アウトブレインさんだったり、はてなブックマークのネイティブ広告を活用いただいたりしていますが、そういった読者獲得についての予算を確保していないクライアントさんは多いですよね。良いコンテンツを作れば読者がつくのは理想的だとは思いますが、そのあたりお二方はどのようにお考えでしょうか。
アウトブレイン嶋瀬氏 オウンドメディアの一番の成功企業ともいえるレッドブルさんでさえ、コンテンツの流通戦略にFacebook広告だったりアウトブレインだったりを活用されています。あれだけ品質の高いコンテンツを継続している企業さんでも、コンテンツの流通・集客に関して予算を投下しているということ。トータルのコストのなかに、コンテンツの制作だけでなく、流通だったり分析だったりといったコストも考えておくほうが効率的だとは思います。
オムロン内田氏 いまも試行錯誤ではありますが、最初はコンテンツを作ることがコスト的にも工数的にも手一杯といった状況でした。そのうち、これはしっかりと計測したり読者獲得したりといった施策も打つ必要があると判断して、コンテンツの制作費と同じくらいの費用を確保するようにしています。
はてな大久保 コンテンツの制作のコストやリソース確保に困っているという声も届いていますが、オムロンさんの運用体制について教えてください。
オムロン内田氏 コンテンツの企画はすべて自分たちです。コンテンツが決まったら、社内の担当1名がライターさんだったり編集プロダクションさんだったりの担当の方1名と組んで進めていきます。余裕があるわけではないですが、いまはこの体制で、他部署と連携しながら運用しています。
はてな大久保 PVやコンバージョンのほかにも、反響みたいなものはチェックされますか?
オムロン内田氏 Tweetで拡散されるときにどういう人たちにどういうコメントで反応してもらえたかな?とか、はてなブックマークではどういうコメントがついているかな?というのは必ず見ています。そのコンテンツがどう受け取られたかがわかりますし、次のコンテンツの参考に活かすこともできます。」
会場からの質問 「せっかく頑張ってコンテンツを制作しても、一時的な盛り上がりで終わってしまって、なかなか効果が継続できないという課題があります。何か良い方法があれば教えてください。」
オムロン内田氏 オムロンの場合、取り上げるテーマが最新技術だったりするので、その技術が社会的に盛り上がったりだとか、オムロン自体で何か大きな発表や報道があった際に検索で再度読まれたりすることは多いです。そのあたりは、本部全体でさまざまな情報共有をしていることによって、事前に何らかの施策が打てることもあります。
アウトブレイン嶋瀬氏 某オンラインコスメメーカーさんでは、最もコンバージョンが高いのは3年前に公開した競合をほめる記事だった、という事例もあります。まずはどのコンテンツが効いているのかを理解して、それに対して集客施策を打つことが大事かと思います。
はてな大久保 はてなのネイティブ広告のクライアントさんでも、外部環境やシーズナリティのようなものを考えて、過去の記事を入稿いただくケースがあります。長く読むことのできる類の記事であれば、その記事に合った良いタイミングで再度盛り上がりを作ることは可能だと思います。オムロンさんのように、PRなどの部隊と連携して、テレビでの紹介や新聞での掲載とタイミングを合わせていくという手法もありますし、季節性や他社の動きなどを細かく見て、適切なタイミングを計っていくことで過去のコンテンツの価値を長持ちするのではないでしょうか。
40分の座談会では20を超える質問に対して3名でお答えしていきました。
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はてな営業部では引き続き、ゲストをお招きした無料セミナー、ビジネスブログを活用した情報発信、「導入企業同士の情報交換の場」「コミュニティの育成」を通じて、オウンドメディアに携わる担当者の負担を軽減し、効果向上に貢献するお手伝いをしていきます。
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