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オウンドメディア運用で悩みがちなポイント3選と改善事例

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オウンドメディアを始めたものの「なかなか記事を読んでもらえない」「KPIをどう設計すればよいのかわからない」「社内で理解が得られない」などのお悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。

オウンドメディアは、開始前の計画が重要ではあるものの、運用開始後も見直せるポイントは数多くあります。

本記事ではさまざまなオウンドメディア運用の悩みのなかから「集客」「KPI」「理解促進」をテーマに、オウンドメディア担当者が取り組んでいる事例をご紹介します。

▼「オウンドメディアの始め方」については別の記事でご紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
オウンドメディアの始め方。立ち上げ時に考えたい「戦略設計と運営のポイント」 - はてなビジネスブログ - はてなビジネスブログ

目次

※ 本記事で引用しているインタビュー内容は記事掲載当時のものになります。

お悩み1:集客を伸ばしたい

オウンドメディアの運用では、良いコンテンツを書くことだけではなく、それを「届ける」ための集客施策が必要です。せっかく書いた記事も、読まれなければターゲットに届けることはできません。

SNS別に期待する反響を考える、ぐるなびオウンドメディア「みんなのごはん」

コンテンツを企画・制作する際、そのコンテンツと相性の良い流入経路は何かを企画に盛り込んでみることで、SNSでの反響獲得につなげることができます。

人気オウンドメディア「みんなのごはん」では、「Twitterユーザーからこんな反応がもらえるのではないか」「はてなブックマークユーザーにこんな風に盛り上がってほしい」など、各プラットフォームからどのような反響が期待できるかの仮説を立て、記事公開後に振り返ることで、ノウハウを蓄積しているそうです。

これから公開予定の記事の目論見や仮説を社内ブログに投稿しています。そして、公開後の振り返りで反省点を洗い出し、チーム内で法則化するようにしています。

たとえば、福岡のうどん店を紹介した記事では、「世間のうどん=讃岐のイメージを何とかしたいと思っている福岡民にとって、良質な福岡うどんアピール記事を作れば、彼らがシェアしてくれるのでは?」という仮説を立てて、良好な結果を得ることができました。

もちろん、うまくいかないケースもありますが、それも含めてしっかりと理由を分析して、蓄積していくことが大切です。

(引用:ぐるなび伊東氏が明かすオウンドメディア立ち上げの極意――新米担当者に贈る“タスクリスト”付き | Web担当者Forum

GoogleDiscoverからの流入

Google Discoverとは、Googleが利用データや過去の検索キーワードなどをもとに、ユーザーが興味のある、あるいはユーザーにとって有益である可能性が高いトピックをアプリやブラウザへ自動的に表示する仕組みです。

はてなブログのオウンドメディア「週刊はてなブログ」では、Google Discoverからの読者が短期間で増えたという事例も紹介されています。

blog.hatenablog.com

Googleのトレンドへの対応は、オウンドメディアの集客において欠かせないポイントになりますので、ぜひチェックしてみてください。

その他さまざまな流入施策

このようなオウンドメディアの集客についての手法やそれぞれのTipsは多数存在しています。はてなスタッフも運営に協力している「オウンドメディア勉強会」のレポート記事では、参加者がまとめたさまざま手法がまとめられているので、自社で取り組めそうなことはないかを確認してみることをおすすめします。

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blog.sixapart.jp


お悩み2:設定したKPIが適切かどうかわからない

オウンドメディアのよくある失敗として、目的があいまいなまま、これといった理由もなくPVをKPIにしてしまうケースです。その結果、目的を達成するための適切なコンテンツを継続的に制作する体制もできず、短期間で「成果が出ていない」と判断され更新停止になってしまうという事例もあるようです。オウンドメディアの目的やKPIは企業によってさまざまですが、成功事例として語られるオウンドメディアは共通して、オウンドメディアの目的や役割が明確であり、その認識が社内できちんとそろっています。

事例:オリックス「MOVE ON!」

オリックスのコーポレートサイト配下にある「MOVE ON!」では、流入・経路・行動の3つをKPIにして確認しているそうです。オウンドメディアの目的を「オリックスグループの理解促進」とし、社内のほかの部署や施策と連動したコンテンツ制作に取り組み、相乗効果によるコーポレートコミュニケーションの効果最大化に貢献しています。

「MOVE ON!」については、どのコンテンツが多くクリックされ、どこから流入したのかという、アクセスの量と経路がひとつ。その後の滞在時間を見て、全PVのうち一定時間以上滞在してくれた人の割合がひとつ。そして、そのコンテンツを見た後にお客さまエリアへ飛んだのか、IRへ飛んだのか、といった行動の3つを指標にしています。1つ1つのコンテンツでこのトラフィック・エンゲージメント・アクションのデータを振り返りながらコンテンツを企画しています。

(引用:オウンドメディアはコーポレートコミュニケーションのハブになる、オリックス「MOVE ON!」の運用で見えてきた可能性 - はてなのコンテンツマーケティング支援総合サービス

事例:アルク「GOTHA!」

「GOTHA!」(現在は「ENGLISH JOURNAL ONLINE」にリニューアル)では、PVをKPIにするものの、「PVの出やすさ」だけで企画を考えないよう、スタッフの育成や知見のストックがされるようなKPIの置き方に取り組んでいます。

メディアとしては、PVを目標に設定していますが、設定の仕方はいろいろです。「3ヶ月の間に何PV以上のヒットをいくつ出す」とか、「ソーシャルメディアから何PV誘導する」などです。例えば、Instagramで盛り上がることを狙った記事と、はてなブックマークによる拡散を狙った記事では、選ぶテーマや書き方が全然違いますよね。スタッフはWebメディアに特化した編集の経験がほとんどない状態から頑張っているので、「PV」とか「ソーシャルからの流入」などの目標の持ち方を変えていくことで、いろんな経験や知見が得られるとも考えています

(引用:オウンドメディアの編集作業効率が2.7倍速くなった。アルクのコンテンツマーケティングインタビュー - はてなのコンテンツマーケティング支援総合サービス

事例:DeNA「フルスイング」

採用目的のオウンドメディア「フルスイング」では、採用候補者にとってオウンドメディアコンテンツがどのように貢献したかをきちんと計測する仕組みを整えているそうです。

Q: メディアの効果測定に悩んでいる企業も多いのですが、決め手率をKPIにした理由は?

A: 「フルスイング」が応募や入社にどれだけ貢献しているか知りたかったからです。アンケートは定量的な設問だけでなく、何が参考になったのかを自由記入で書いてもらうなど、定性的なデータも収集しています。

(引用:入社者の認知率100%を達成! DeNA採用オウンドメディア担当者が明かした、意外なアナログPR施策とは? | はてなが訊く「オウンドメディア成功の法則」 | Web担当者Forum


このように、各社の方針やKPIはさまざまです。大切なのは、きちんとした目標とKPI設計に加え、それをきちんと社内で共有すること。共有のためには効果の可視化なども重要になります。

お悩み3:社内で存在価値が理解されない

「オウンドメディアはマラソンだ」と言われるように、KPIによっては成果を獲得するまでに一定の時間を要するケースも多くあります。そのため、短期的な視点で「効果がない」と判断されたり、可視化できない効果についての理解が得られにくいといった課題があります。

効果の可視化については、ROI計測ツール「Trendemon」など、さまざまなサービスや調査方法が存在しますので自社のメディアに合うものを実施してみると良いかもしれません。また定性的な声やコメントなどをきちんと集めて共有する、そのような声がきちんと編集チームに収集されるような仕組みを作るなどの工夫も有効です。

事例:楽天「ソレドコ」が実施したブランドリフト調査

楽天市場のオウンドメディア「ソレドコ」では、可視化できないブランド好意度の変動を確認するため、ブランドリフト調査を実施。その結果は、オウンドメディアに触れているユーザーは、楽天市場への好意度が高いというものでした。オウンドメディアによってブランド好意度が改善された結果は、社内でのオウンドメディアの貢献の共有に役立ちます。

さらに、フェーズ3の目的に設定した「ブランド認知」については、ブランドリフト調査を実施。
「楽天市場をおすすめしたいか?」という質問に対して、「ソレドコ」の記事非接触者より記事接触ユーザー、さらにはてなブックマークやTwitterなどのソーシャルメディアでアクションしたユーザーの方がおすすめしたい度が高くなった成果を紹介。

定性面においても、楽天市場に対してのポジティブなコメントが増加し、オウンドメディア「ソレドコ」の記事が楽天市場のブランディングやファン獲得にプラスの効果を上げていることを証明した。

(引用:【対談レポート】楽天市場「ソレドコ」から学ぶオウンドメディア戦略とブランディング | CONTENT MARKETING LAB(コンテンツマーケティングラボ)

事例:AIRDO「Yorimichi AIRDO」への反響の声を集めて社内に共有

AIRDOのオウンドメディア「Yorimichi AIRDO」では、その効果や運用コストが高いことから、更新を一時停止するという判断をしました。その後、メディアに寄せられた好意的な声を集めたところ、社内でも再開の動きにつながったそうです。

__そこからどんな経緯で再開されることになったのでしょうか?

私たちの場合は、外部からの声が無視できないほど大きくなったことが一番の理由だったと思います。休止している期間、営業先を訪問すると「最近どうして更新してないの?」と声をかけていただいたり、旅行会社では担当の方が記事を読んで実際にその日程表で北海道から神戸を訪れてみたと話してくださったり。そうした声をみんな記録して会社に報告するようにしていました。

(引用:一時休止から再開へこぎつけた「Yorimichi AIRDO」、会社を動かしたのは更新を望む周囲の声 - はてなのコンテンツマーケティング支援総合サービス

こうしてオウンドメディアの存在を社内にしっかりアピールしていくことはとても大切です。社内共有について、これまで当社がインタビューなどで伺ったことのある各社の工夫は以下のようなものがあります。

  • オウンドメディアの目的や会社全体の中の役割についての資料を作成して配布
  • オウンドメディアの効果についても定性/定量ともに定期的に全社に発信
  • 記事を更新した際は社内のMLやSlackチャンネルで毎回必ずアピール
  • 記事の反響を共有。特に社内スタッフに協力してもらった記事の反響は本人だけでなくその上司にも必ず伝える
  • 「オウンドメディアに協力するといいことがある」と思ってもらえるような仕組みや制度を整える

社外からの集客も重要ですが、社内にオウンドメディアのファンになってもらうことで、社外に拡散していくケースもあります。自社のブログや採用オウンドメディアなどでは、社内から社外への広がりで読者を獲得するケースが多いようです。ぜひ社内アピールにもチャレンジしてみてください。

お悩みをぜひご相談ください。

オウンドメディア担当者は、孤独で悩みがちというお話をよく伺います。

はてなも運営に参加する、Six Apart ブログ主催の「オウンドメディア勉強会」をはじめ、オウンドメディアの担当者が集まるコミュニティや勉強会に参加し、同じような課題を持つ担当者同士でコミュニケーションすることも自社のメディア運営に有効だと思いますので、ぜひ参加してみてください。

オウンドメディアCMS「はてなブログMedia」をはじめ、企業のコンテンツ制作支援、ネイティブ広告提供による集客施策を提供する当社でも、「はてなブログMedia」導入企業様を集めたクローズドな懇親会や勉強会を定期的に開催しています。

また、この「はてなビジネスブログ」だけでなく、はてなのコンテンツマーケティングサービスサイトや外部メディア、自社開催のセミナーなどで、オウンドメディアの課題解決や成功事例の紹介など、オウンドメディア担当者の方に向けたさまざまな情報を発信しておりますので、ぜひご注目ください。

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当社では、企業のオウンドメディアマーケティングを成功に導くためのさまざまなサービスを提供しております。これらのサービス提供によるノウハウや成功事例についても多数ご紹介が可能ですので、オウンドメディア運営にお悩みの際は、ご相談ください。

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はてなでは、ブログサービスやメディア運営のノウハウを活かし多くの企業のオウンドメディア支援を行っております。オウンドメディアの計画から記事制作、システム、集客、分析まですべてをサポートいたします。
オウンドメディア立ち上げをお考えの担当者様や、運営中でお悩みを抱えている担当者様は是非一度ご相談ください。