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【わかりやすく解説】オウンドメディアとは?定義とメリットやその役割

オウンドメディアに力を入れる企業が増え、これから始めようと検討している人も多いと思います。

ここでは、実際に始めるにあたって、オウンドメディアとは何かという前提知識から、具体的にどのようなことを知っておく必要があるのかまで、事例を交えながら初めての方にもわかりやすく解説します。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、自社で所有、管理しているメディア(媒体)のことです。自社で所有、管理しているメディアであれば、オンライン、オフライン問わず、オウンドメディアに分類されます。

広義のオウンドメディアには、以下のようなものが含まれます。

オンラインの例 オフラインの例
自社メディア 自社発行の月刊誌・季刊誌
コーポレートサイト、Webサイト カタログ・パンフレット
ブログ 自社主催のセミナー、イベント
メールマガジン  
メールスマホアプリ  

上記を見れば、どの会社でもすでにいずれかのオウンドメディアを持っていることがわかります。

オウンドメディアが注目される理由

では、なぜオウンドメディアが注目されているのでしょうか。それを理解するために、ポイント毎に解説していきます。

理由1:ユーザー行動の変化

従来、企業のメッセージを届けるには、広告が主要な手段でした。新聞・雑誌、テレビ、ラジオなどのマスメディアは視聴者、読者が多いため、大勢の人に情報を伝えるのに最適な手段です。しかし、近年ユーザーのメディア接触時間が大きく変化しており、この前提が変わりつつあります。

次の図は、2018年の情報通信メディアの利用時間の調査データです。10代、20代では、テレビのリアルタイム視聴の時間は、ネット行為の時間よりも少なくなっています。

また10代〜40代までの世代で、テレビのリアルタイム視聴行為者率よりもネット行為者率のほうが高くなっていることがわかります。特に若い世代のテレビ離れがうかがえ、情報の届け方の手段としてテレビは徐々に影響力が弱まっていることがうかがえます。


出典:平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(PDF)

人々がオンラインの情報に長く接触するようになったことで、オウンドメディアの中でも特にオンラインのオウンドメディアでの情報発信が企業にとって大きなチャンスになっています。

企業による一方的な宣伝では、人々の関心をつかむことは難しいですが、ターゲットとするユーザーに関心のある情報、価値のある情報を継続的にオウンドメディアで発信することで、ユーザーとのエンゲージメントを高めることができるのです。

理由2:広告予算の最適化

広告は費用を支払うことが前提なので、配信し続ける限り費用がかかります。テレビ、新聞などは、一度に多くの人に情報を届けられる分、1回あたりの広告費用は高額です。テレビCMは繰り返し放送することで、認知度を上げることに大きな効果がありますが、広告予算に大きな投資ができない企業にとっては、ハードルが高い施策です。

一方、オンラインの利用時間が長くなったことで、オンライン広告の存在感が増しています。オンライン広告は、マスメディアの広告に比べて格段に価格が安いですし、一度に大量の人に情報を届けるマスメディアの広告と異なり、ユーザーの行動や属性に応じてターゲティングできるなどの特徴があります。しかし、それでも継続的に広告を配信するには、費用がかさみます。

オウンドメディアの場合は、継続的にコンテンツを制作すれば、その情報がどんどん蓄積されていくので、自社でしっかりとコンテンツが書ける場合は費用をかけなくても、ユーザーの方から検索エンジン経由、SNS経由などで見に来てくれる可能性があります。しかも自社が発信するコンテンツに関心を持つユーザーを集められるため、取り組みを強化する企業が増えているのです。

オウンドメディアを運用することによるメリット・デメリット

企業とユーザーとの接点をつくるのに有効なオウンドメディアですが、運用することによるメリット・デメリットをそれぞれ整理して解説していきます。

オウンドメディアのメリット

一般的な運用のメリットは売上やブランディング、リード獲得、脱広告依存などがあげられます。

ブランディング
オウンドメディアで、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを配信することで、ユーザーの関心を高め、自社やブランドを認知してもらったり、好感を持ってもらうことができます。

リード獲得
オウンドメディアの情報に日頃から触れてもらうことによって、中長期的にコンテンツを通してユーザーとのエンゲージメントを高め、見込客を獲得することができます。この手法は、コンテンツマーケティングとも呼ばれています。

広告依存の軽減
広告は配信し続ける限りは集客が期待できますが、当然その分の費用がかかり続けますし、集まったユーザーが自社のブランドや商品に高い関心を示しているかというと、必ずしもそうとは限りません。オウンドメディアで、ユーザーに有益な情報を配信し続けることで、商品やサービスに興味を持つユーザーと長期的な関係を築くことができます。


アメリカの調査・教育機関であるコンテンツマーケティングインスティテュートによる北米企業を対象とした調査レポートでは、過去12ヶ月でコンテンツマーケティングで達成したゴールについて、B2Bでは86%、B2Cでは84%が「ブランド認知向上」と答えました。続いて「読者の啓蒙」「信用、信頼の構築」「リード、案件の創出」などが上位にあげられています。

出典:B2C Content Marketing 2020 - Benchmarks, Budgets and Trends | PPT (P.31)
出典:2020 Content Marketing Benchmarks, Budgets, and Trends - North America | PPT(P.33)

オウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングは、このような目的を達成できることがデータからもわかります。

成功事例の紹介

多くの企業が注目しているオウンドメディアですが、成功している企業の多くが、課題に対して目的やKPIなどを明確にしています。他社のオウンドメディアの情報は、自社のオウンドメディア戦略を考えるにあたって、大いに参考になります。オウンドメディアの成功事例11選の記事も、合わせてご覧ください。
business.hatenastaff.com

デメリット

成功できれば様々なメリットを享受できるオウンドメディアですが、一方でデメリットもあります。

成果を出すまでに時間がかかる
オウンドメディアは中長期的に継続していくことで効果が得られる手法です。始めたばかりの頃はユーザーにコンテンツが届いている実感が得られにくいかもしれません。

どのくらいの期間がかかるかはメディアの種類や内容によってさまざまですが、コンテンツマーケティング戦略の第一人者であるピュリッジ,ジョー氏の著書である「エピックコンテンツマーケティング」では「パイロット版からはじめて半年は投資する」ことが推奨されていますので、オウンドメディアを開始するにあたって、継続的な運用体制を整えておくことが重要といえます。

社内の合意形成が難しい
オウンドメディアに限らず、ブランディングや好意醸成を目指した取組は費用対効果が測りづらいものです。とくにオウンドメディアを知らない決裁者に話を通す際は、理解してもらうための工夫が必要です。社内の課題やビジョンといった与件の整理をし、オウンドメディアの立ち位置やその目的をしっかりと考えておきましょう。

オウンドメディアは立ち上げ時の戦略設計が非常に重要です。

良質なコンテンツを作るハードルが高い
オウンドメディアにとって、コンテンツの内容がユーザーの興味を惹くものであることは非常に重要です。しかし、良質なコンテンツをつくるためには、ライティング力や編集力など、専門的な知識が必要になるため、全ての運用を自社内で行うのはハードルが高いかもしれません。

自社内のリソースを考えると同時に、パートナー企業の選定も視野に入れると良いでしょう。

オウンドメディアが閉鎖している例の紹介

オウンドメディアのブームもあり、取り組みを始める企業が増えている一方で、閉鎖していくサイトもあります。その中には、睡眠情報メディア「フミナーズ」やアサヒビールの「カンパネラ」など、オウンドメディアの成功事例として取り上げられていたメディアも含まれています。

オウンドメディア閉鎖の理由はメディア毎にさまざまですが、競合が増えて差別化を測るコンテンツを生産し続けることが難しくなったことが要因のひとつとして挙げられます。

そんな中で、2019年6月に多くのファンに惜しまれながら更新停止をした「みんなのごはん」は、2020年4月のコロナ禍に復活を遂げました。短期的な成果に捉われない目的やゴールをしっかりと持ち、「なぜ、オウンドメディアを運用しているのか?」「オウンドメディアの持つ価値は何なのか」の答えを持つことが、オウンドメディアを継続する上で重要なキーとなるのかもしれません。
www.hatena.ne.jp

どうやって始めるべきか

オウンドメディアの定義、メリットやデメリットについて、事例を交えて解説しました。オウンドメディアは、手軽に始めることもできる一方で、始める前の戦略設計が重要です。

中長期的な施策になるため、検討期間が長いような商品は、その分オウンドメディアとの接触回数が増えるため、相性が良いといえるかもしれません。

オウンドメディアの目的は企業によってさまざまであり、その達成に必要なものもそれぞれ異なります。オウンドメディアを始める際のポイントは以下記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

・設計・運用を考える(概要・全体像)
business.hatenastaff.com
・目的を考える(何を決めるのかの考え方)
business.hatenastaff.com
・制作を考える(具体的な準備)
business.hatenastaff.com


はてなでは、オウンドメディアの立ち上げに関する基礎的な考え方から設計の具体化までを可能にする各種セミナーを定期開催しています。こちらも合わせてご参考ください。
business.hatenastaff.com



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はてなのオウンドメディア支援について

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オウンドメディア立ち上げをお考えの担当者様や、運営中でお悩みを抱えている担当者様は是非一度ご相談ください。

著者名:深谷歩 株式会社 深谷歩事務所 代表取締役。
ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、オウンドメディア制作、運用支援も行う。