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BtoBオウンドメディアの事例と立ち上げのポイント

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オウンドメディアと言うとBtoCのイメージが強いかもしれませんが、BtoBの業種でもオウンドメディアを展開している企業は多くあります。この記事では、BtoBとBtoCのオウンドメディアの違いを踏まえた上でBtoB業種のオウンドメディアの事例を紹介します。オウンドメディア立ち上げの際の参考にしてください。

目次


オウンドメディアはBtoBでも有効な施策

BtoBでもオウンドメディアを運用して、新規顧客の獲得や売上につなげている企業があり、有効なマーケティング施策です。

ただし、オウンドメディアは長期的な施策であり、成果が出るまでに時間がかかります。継続できる運用体制を整えることは、BtoCでもBtoBでも変わりありません。顧客の信頼獲得につながるような品質の高いコンテンツを継続的に発信していくことができるのかどうか、ライターを確保できるか、コンテンツのレビューを誰が行うかは、あらかじめ検討しておいてください。コンテンツが蓄積されていけば、サイトへの集客力が強くなり、コンテンツを使って事業や社員のブランディングができますし、人材採用にも効果を発揮できます。

なお、オウンドメディアの基本的な知識については、以下の記事を参照してください。

business.hatenastaff.com



BtoBとBtoCのオウンドメディアの違い

BtoBとBtoCのオウンドメディアは、企画、制作、公開、分析などの基本的な運用に関わる作業は同じですが、戦略面において違いがあります。違いとして次のような点があげられます。


ターゲットの違い

BtoCが消費者を対象にしているのに対し、BtoBは法人を対象にしています。意思決定までのプロセスや購買に関わるプレイヤー、決定要因、組織の特徴などを考慮する必要があります。それを踏まえて、オウンドメディアのコンテンツをどのように活用するのか、どのようなタッチポイントでどのような役割を果たすのかを考えていく必要があります。

BtoBの場合、商材やサービスのターゲットとなる業種や職種などがあらかじめ明確にしぼられていることがあります。マーケティング部や営業部などの関係部署とも相談し、どういった発信が有効かを考えるとよいでしょう。


目的の違い

BtoC、BtoBで共通する目的もありますが、BtoBならではの目的もあります。例えば、認知度向上、信頼性向上、ブランディング、集客などは、共通の目的になります。

BtoBならではの目的として、営業につなげるためのリード獲得があります。資料ダウンロード、問い合わせ、見積もり依頼などでリード獲得し、その後のインサイドセールスを含む営業活動によって、顧客にアプローチしていきます。リード獲得をするならば、その後のフォローアップの体制づくりも重要で、メールや電話などにより相手のニーズを把握しながら適切な提案につなげられるようにします。


検索シーンの違い

オウンドメディアの集客方法の一つが検索で、これはBtoB、BtoCどちらにとっても重要な流入経路です。しかしターゲットやペルソナの違いにも関連しますが、検索するシーンが異なります。BtoBのオウンドメディアには、業務課題に対して解決方法を探している人、新しい業務を担当することになって関連情報を調べている人、導入する製品やサービスを検討している人、すでに製品やサービスを利用していて追加で導入を検討している人などがアクセスします。

BtoCの場合は、思い立ったときにすぐにスマートフォンから検索という行動が増えていますが、BtoBの場合は最新情報を調査したい、他社の動向を知りたい、ソリューションを検討したい、導入候補を絞り込むために情報を調べたいなどの何らかの目的をもって時間をとって調べていることがあります。ペルソナの違いにも関係しますが、どういう情報ニーズに対してコンテンツを用意するのか、整理して考えていく必要があります。


コンバージョンの違い

BtoCの場合、オウンドメディアのコンバージョンは、業種や形態によっても異なりますが、購入や申し込み、来店予約、あるいはECサイトへの流入などがあります。

BtoBの場合、これも業種によりけりではありますが、オウンドメディアから直接購入、申込みで完結するわけではなく、リード獲得をしてから最終的な成約まで時間がかかることが多いと思います。目的の違いでも解説しましたが、BtoBのオウンドメディアはそれだけで完結するのではなく、その後のアプローチができるようにしておく必要があります。

リード獲得をするならばMA(Marketing Automation)ツールが有効で、ユーザーのアクセスや閲覧コンテンツに応じて、コミュニケーションをすることができます。



BtoBオウンドメディアの事例

BtoBオウンドメディアの事例を紹介します。

「商船三井(MOL)サービスサイト」(株式会社商船三井・海運業)

www.mol-service.com


株式会社商船三井のオウンドメディアでは、サービスの紹介、事例集、用語集、よくある質問などのコンテンツに加え、海運会社の視点で考察する経済情報などをブログで発信しています。企業サイトとは独立して運用しており、サービスを利用・検討する顧客に向けて、それぞれの検討ステージやニーズに沿った内容を掲載・発信しています。

資料ダウンロード、ニュースレター登録、相談など複数のコンバージョンが用意されています。

コンテンツは、英語、中国語でも配信しており、グローバルな情報発信をしています。


「日通総研ろじたんHbf」(株式会社日通総合研究所・物流コンサルティング)

blog.nittsu-soken.co.jp


日通総合研究所の運営する「日通総研ろじたんHbf」の「ろじたん」は「ロジスティクスを探究する」を略した造語、「Hbf」は「ハウプト・バーン・ホフ(Hauptbahnhof)」の略語で、ドイツ語で鉄道の「中央駅」を意味しています。ロジスティクスに関する様々な情報が集まってくることをイメージしているそうで、同社が最先端物流技術を持つドイツとの親交が深いことから、ドイツ語での表現を選んだとのこと。

このオウンドメディアでは、サービス全般の情報提供、コンサルタントからの最新情報、紙のニュースレター「ろじたす」のデジタル版記事などが公開されており、特に物流のデジタル化(デジタル・サプライチェーン、IoT、AIなど)、海外情報、事例紹介に力を入れています。コンサルタントによる専門的な記事は、業界関係者の情報収集に役立っていそうです。コンバージョンはお問い合わせが用意されています。

「クボタプレス」(株式会社クボタ・産業機械)

www.kubota.co.jp


農業用機械、水環境機器、産業用エンジン、建設機械、精密機器、素形材などの製品・ソリューションを提供しているクボタ。同社が運営する「クボタプレス」では人と食料・水・環境をつなぐ情報を発信しています。農業におけるAI活用やDX推進の記事、カーボンニュートラルや災害時のインフラなど生活に関わる記事、エンジニアや同社に所属するラグビー選手にフォーカスした記事などがあり、同社の幅広い活動を発信しています。

なお、同社では他にも田んぼに関する情報を発信する「クボタのたんぼ」(https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/)、グローバルな事業について紹介する「GLOBAL INDEX」(https://www.kubota.co.jp/globalindex/)なども運営しており、非常にコンテンツが豊富で充実しています。サイトはコーポレートサイト内にあり、お問い合わせがコンバージョンとなっています。


「カオナビ人事用語集」(株式会社カオナビ・人事系ソリューション)

www.kaonavi.jp


カオナビ人事用語集は、カオナビが運営しており、人事関連用語の辞書の体裁をとっています。人事の業務で必要な書類作成方法などの実務に加え、組織戦略、人事戦略に関わる概念、人事制度、法律、労務管理などについても取り上げています。一つ一つの記事が丁寧に書かれており、最新情報へのアップデートもこまめに行われていることがうかがえます。

企業サイトと同一ドメインですが、サイトのグローバルメニューとは異なるメニューを設定しており、記事にランディングした人でも、製品紹介ページに誘導できるような構成になっています。資料ダウンロードがコンバージョンになっています。


「業務用ポータルサイト」(キッコーマン株式会・食料品製造・販売)

www.kikkoman.co.jp


キッコーマンは、一般消費者向けの商品だけでなく、飲食店向けの業務用調味料なども販売しており、主力事業となっています。「業務用ポータルサイト」は、キッコーマン業務用の商品情報やレシピを掲載している飲食店・プロの料理人向けサイトです。 特集記事では飲食業のお悩み解決のヒントになるお役立ち情報を発信しています。

サイト内では、業務用商品を使ったレシピも紹介されており、商品紹介ページにリンクさせています。デリバリー需要にあわせたメニュー提案や、飲食店がUber Eatsを上手に活用するコツなど、時流にあわせたコンテンツも充実しています。

メルマガ会員を募集しており、リード獲得の一つとなっています。



まとめ:BtoBのオウンドメディアは自社ならではの情報を発信しよう

今回の記事では、BtoBのオウンドメディアとBtoCのオウンドメディアの違いや事例について紹介しました。BtoBのオウンドメディアの場合、PVやUUはそれほど重要な指標ではありません。ピンポイントで情報を必要としている人に見つけてもらい、さらにメルマガ登録や資料ダウンロードなどでリード獲得して、その後の営業につなげることが重要です。見込み顧客としてマッチする人のリードを獲得できているかどうかで成果を評価するケースもあります。

記事で専門知識があることをアピールして信頼を獲得すれば、その後の営業のフローでも話を聞いてもらいやすくなります。出し惜しみせずに、自社だからこそ発信できる内容で見込み客に訴えていく必要があります。

はてなでは、BtoBのオウンドメディアの支援も行っていますので、ぜひお問い合わせください。

はてなのオウンドメディア支援について

はてなでは、ブログサービスやメディア運営のノウハウを活かし多くの企業のオウンドメディア支援を行っております。オウンドメディアの計画から記事制作、システム、集客、分析まですべてをサポートいたします。
オウンドメディア立ち上げをお考えの担当者様や、運営中でお悩みを抱えている担当者様は是非一度ご相談ください。

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設計シートを活用して企業課題やペルソナ、コンテンツの方針などを整理して成功するオウンドメディアを目指しましょう。
空欄のシートの他、はてなビジネスブログの事例も載っておりますので参考にしてください。

著者名:深谷歩 株式会社 深谷歩事務所 代表取締役。
ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、オウンドメディア制作、運用支援も行う。