株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(id:ryuka01)です。
Google Analytlcs 4 (以下、「GA4」)には「オーディエンス」という機能があります。
筆者がGA4で一番好きな機能なのですが、セミナーなどでお話しているとあまり使われていない機能だなと感じております。
そこで今回はオーディエンス機能とはどういう機能なのかを紹介し、その活用方法についても触れていきます。
オーディエンス機能とは?
オーディエンスとは「観客」や「顧客」を意味します。GA4では特定の条件を満たしたユーザー群をグルーピングするために利用する機能で、オーディエンスの一覧から、条件を満たすユーザー数を簡単にチェックすることができます。
例えば「3回以上購入した」「月に10回以上訪れている」「資料請求とセミナー申し込みどちらも行った」といった具合です。
また、作成したオーディエンスを活用して様々なレポートを見ることができるため「3回以上購入者の購入商品」や「資料請求とセミナー申し込みどちらも行った人の流入元や閲覧ページ」などを把握できます。
このようにサイト全体のデータを見るのではなく、ポテンシャルがある層や、お得意様などターゲットを絞ることで、よりサイト利用者の特徴がわかるようになります。
オーディエンスの設定方法
それでは早速オーディエンスの設定方法を確認していきましょう。
管理>データの表示>オーディエンス 内にあるオーティエンス(青いボタン)を押すと、新規作成画面が表示されます。
ここで「ゼロから作成」内にある「カスタムオーディエンスを作成する」を選択してください。
オーディエンスの作成画面が出てきます。設定箇所は主に4箇所です。
1. オーディエンス名を設定する
①部分の入力ボックスにオーディエンスの名称を入力します。その下の「簡単な説明を入力」部分では任意でオーディエンスの概要を入れることができます。
2. 条件を設定する
②ではオーディエンスとして分類されるための条件を設定します。AND条件、OR条件、除外条件、シーケンス(条件の順番指定)など多種多様な設定が可能です。
上記の例では
・「新規またはリピーター」 を「new」を含む
・「ページローケーション(URL)」を「/blog/」含む
という2つの条件をANDで繋げています。
3. オーディエンスの有効期間を設定する
③の「その他のオーディエンス設定」で有効期間を設定します。
有効期間とは、その条件を満たした後にオーディエンスに属する日数を設定できます。初期設定は30日となっています。日付を入力するか、上限設定(永続。ただしCookieが削除される、CookieIDが変わった場合などを除く)を選んでください。
この有効期間、一見わかりにくいので例を出して説明します。例えば資料請求完了がオーディエンスの登録条件とし、30日間に設定した場合の例を見てみましょう。
3月1日にある人が資料請求を行いました。この時点でオーディエンスに登録されます。この人は、30日間、オーディエンスに属する形になります。そして30日経過後の3月31日にオーディエンスから外れます。
ただし、この人がオーディエンス分類期間中に、再度オーディエンス登録条件を満たした場合はその日から更に30日間延長されます。
4. オーディエンスのイベント名を設定する
④の「オーディエンス トリガー」で、設定したオーディエンスに対してイベント名を設定できます。設定は任意ですが、イベント名として登録をしておくと、集計や分析上便利かつ必要に応じてコンバージョン(キーイベント)としても設定できるので設定しておくことをおすすめします。
5. 保存する
最後に画像右上の「保存」(青いボタン)を押すとオーディエンス作成の完了です。注意点として、オーディエンスは設定したタイミングから分類を開始し、過去に遡って反映されるわけではないことを理解しておきましょう。
オーディエンスを活用した分析方法
オーディエンスを分析ではどのように活用するのか? についても紹介します。
おすすめはユーザーの検討度などを元にグルーピングすることです。
ECサイトであれば「来てすぐに帰ってしまった人」「商品一覧まで来た人」「商品を複数みて検討した人」「カートには入れているけど未購入の人」「はじめて購入した人」「複数回購入している人」といった形です。
メディアサイトであれば「コンテンツ接触(1記事見た人)」「情報収集(複数記事を見た人)」「絞り込み検討(サービスコンテンツを閲覧した人)」「最後の後押し(フォームまで来たけど未送信の人)」などが考えられます。
それぞれの母数や傾向をまずは見るのが良いでしょう。
また、集客施策と掛け合わせることで、同じ1,000人の流入でも、どういったオーディエンスを連れてきているのかを評価できます。
このようにオーディエンスをカスタマージャーニーのような形で検討度設定すると、サイト改善にも役立ちます。
例えば検討度「低」の人と、検討度「中」の人の行動の違いを見ることで、サイト内でどのようなコンテンツや行動を誘発すれば、検討度が上がるかを判断できます。
以下の表とグラフは、検討度低のままの人と、検討度低から中に変わった人が閲覧したページを表したものです。
ページごとのユーザー数および、それぞれのオーディエンスのうち、何割が該当ページを見たかを計算しました。
右側のグラフを見ると、遷移ユーザーと未遷移ユーザーで閲覧しているページの割合が違い、遷移するユーザーが閲覧している割合が高いページ(青い棒の高さ>赤い棒の高さ)が重要なページと言えるかもしれません。
このようにオーディエンスごとの違いを分析し、サイト改善にも役立てましょう。
セグメント機能との違いについて
GA4をある程度利用している方であれば「セグメント」を利用している場合も多いのではないでしょうか。
(セグメント機能そのものについてまず知りたい、という場合は筆者のサイトをあわせてご覧ください)
www.ga4.guide
この2つは似た機能ですが、いくつかの差があります。以下にまとめましたので、特徴を確認してみましょう。
項目 | セグメント | オーディエンス |
利用目的 | 一時的な分析用途としての利用 | 分析のみならず、広告配信にも利用可能 |
設定範囲 | ユーザー・セッション・イベント単位 | ユーザー単位のみ |
過去データへの反映 | 可能 | 不可 |
有効期間の設定 | 不可(レポートで設定した期間内のみのデータを利用) | 可能 |
利用できる場所 | 探索レポートのみ | レポート、探索、Looker Studio |
Google広告でのターゲティング利用 | 不可 | 可能(GA4とGoogle広告連携時) |
更新頻度 | 探索レポートで設定するたびに都度抽出 | リアルタイムで更新される |
共有 | 不可。探索レポート作成時に作成者のみが利用 | 可能。管理画面での追加・変更・削除ができる |
作成可能数 | プロパティあたり100個(1つの探索レポート内では10個) | プロパティあたり100個 |
すでに説明した内容以外で特徴的なのは「利用できる場所」と「Google広告でのターゲティング利用」。
利用できる場所はオーディエンスのほうが広いです。
GA4のレポート画面でフィルタ条件に利用したり、Looker Studioでもディメンションとして利用可能です。
特にLooker Studioに関してはUniversal Analytics時代はセグメントを利用することができたのですが、GA4ではセグメントが利用できなくなってしまったので、重宝するかと思います。
オーディエンスを配信ターゲットとして活用する
作成したオーディエンスに対して十分な母数があれば「Google広告」で配信ターゲットとして利用することができます。例えばカートに入れたけど商品を購入していない人に広告を配信することが可能といった具合です。
GA4の管理画面からGoogle広告を連携しておくと、Google広告の「オーディエンスマネージャー」内にGA4で作成したオーディエンスが自動で登録されます。
サイトの分析のみならず、広告配信にも利用できるのはオーディエンスならではの特徴です。
最後に
この記事でオーディエンス機能を初めて知った方もいるかもしれません。便利な機能で、サイトを訪れるユーザーの理解にも役立ちます。
しかし、やみくもにオーディエンスを作成することは意味ありませんし、どのようなオーディエンスを作成すればよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでまずおすすめしたいのはサイトにとっての「良いユーザー」と「惜しいユーザー」のオーディエンスを作成してみることです。自社サイトならどういう条件が該当するのか、ぜひ想像を働かせてみて設定してみてください。
これらユーザー群の特徴を理解することで、思わぬ流入元やページが重要だと気づくかもしれません。
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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事もあわせてご覧ください。また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
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資料サマリ
・Google Analytics 4の概要
・オウンドメディアで計測すべき5つの指標と設定方法
・ユニバーサルアナリティクスと同様の設定をGA4で実現する方法
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