オウンドメディア運営において、戦略の策定や運営の指針として重要となってくるのが「ペルソナ」および「カスタマージャーニー」です。
この両要素は密接に関連していますが、カスタマージャーニーを設定するためにも、ペルソナの設定は欠かせません。ペルソナを設定することで立ち返るべき場所ができ、オウンドメディアの目的をぶらさず、一貫した運営姿勢が保てます。
そして、オウンドメディア運営をするにあたり、ペルソナに対して「どんなコンテンツを届けるか」を定めるうえで指針となるカスタマージャーニーを設定することは非常に大切。
コンテンツを届けるときに「ペルソナはどんな状態か」「必要としている情報はなにか」「どんなチャネルで届けるべきか」など、検討すべき要素は多岐にわたります。そんなペルソナの心理状態や行動を想像し、明文化したカスタマージャーニーは検討要素の軸となるコンテンツを届けるときの基本方針となるからです。
本記事では、はてなで公開中のオウンドメディア担当者向けマニュアル「オウンドメディア運用におけるペルソナ&カスタマージャーニー設計マニュアル【カスタマージャーニー設定編】」の内容を一部抜粋・編集し、カスタマージャーニー設定のポイントを紹介します。
こんな人におすすめのマニュアルです
マニュアルは前編・後編にわかれています。本マニュアルでは3ステップ(課題設定、ペルソナ設定、カスタマージャーニー設定)のうちSTEP3の「カスタマージャーニー設定」にフォーカスして紹介しています。
STEP1の「課題設定」、STEP2の「ペルソナ設定」については前編の「オウンドメディアのペルソナ設計マニュアル」と合わせてご覧いただくと、より理解が深まります。
- ペルソナ・カスタマージャーニー設定の3ステップ
- カスタマージャーニーを設定しよう
- カスタマージャーニーの構成要素を知る
- カスタマージャーニーを迷わず設定していくために
- ペルソナとカスタマージャーニーの設定が完了したら
- メディア立ち上げ、運用の起点として活用しよう
ペルソナ・カスタマージャーニー設定の3ステップ
ペルソナ、カスタマージャーニーはいきなり設定できるものではありません。具体的には、以下の3ステップで設定していきます。(★マークはこの記事からダウンロードできるマニュアルで紹介している内容です)
- STEP1:課題設定
- 顧客の課題から自社の課題を発見し、マーケティングゴールを明確にする
- STEP2:ペルソナ設定
- マーケティングゴールを達成に必要な人物像を描き出す
- STEP3:カスタマージャーニー設定 ★
- ペルソナの心理状態や行動を想像し、明文化する
STEP1の「課題設定」、STEP2の「ペルソナ設定」は、以下の記事およびマニュアル前編の「オウンドメディアのペルソナ設計マニュアル」をぜひご覧ください。
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ここから本記事では、「課題設定」「ペルソナ設定」まで完了したあとのステップとなる「カスタマージャーニー」設定のポイントを紹介していきます。
カスタマージャーニーを設定しよう
はてなではペルソナ、カスタマージャーニーを設定するにあたって、必要な情報を記入し、段階的にペルソナ、カスタマージャーニーの解像度を高めていけるよう上記のワークシートを活用しています。
カスタマージャーニーを設定する際には、「段階」から「対策」までの各項目を埋めていきます。まずは項目の意味を把握しましょう。
カスタマージャーニーの構成要素を知る
カスタマージャーニーの項目内には、「状態」から「対策」まで5つの構成要素が記載されています。これらは構成要素であると同時に、ジャーニー設定におけるガイドラインとなります。
- 段階
- 自社(サービスやプロダクト)や自社のオウンドメディアとペルソナの関係がどのような段階にあるか
- 状態
- ペルソナがどのような心理状態にあり、どのような情報を持っているか、必要としているか
- 接点
- ある「段階」「状態」におけるペルソナとの接点として、どのようなコンテンツが適切か、どのようなチャネルで接続できるか
- 感情
- ある「状態」においてペルソナがどのような感情を抱き情報を探しているか、情報に接した後、どのような感情を抱くか
- 対策
- ある「状態」「感情」のペルソナに対して、どのようなコンテンツを提供するか、といったメディアがとるべき対策
カスタマージャーニー設定用のシート
さらに、カスタマージャーニーを設定するときは、以下のようなシートを使うとより作業しやすくなります。
縦軸は先述の構成要素。これら構成要素がマーケティングゴールに向けて、どのように変化をする / 変化を促すのかを右方向(=時間軸)に設定していきます。なお、phaseは必ずしも5段階である必要はありません。
カスタマージャーニーを迷わず設定していくために
カスタマージャーニー設定に必要な項目をどこから埋めていくべきか迷うことも少なくありません。上記のシートに関しても、埋めていく順番に絶対のルールはありませんが、枠が多いとどこから考えるべきか悩んでしまうことも。
まずはペルソナの「状態」から考えよう
迷った場合は「課題」「ペルソナ」の設定を参照し、「状態」の起点と終点から考え、次に起点から終点までどのように変化していくかを考えるといいでしょう。
ペルソナとの「接点」を考えよう
「状態」の次は、「接点」を考えてみます。この「接点」はペルソナに対して「どのような情報を」「どこで提供し」「どのようにコミュニケーションするか」を定めたもの。コンテンツマーケティングにおける具体的な施策の軸になる、非常に重要な要素となります。
phase1、phase2……と順を追って、それぞれのタイミングで生まれうる接点を整理していきましょう。
ペルソナの「感情」を考えよう
「状態」「接点」を考えたら、ペルソナの各phaseにおける「感情」を考えます。「感情」は、どんな性質のコンテンツが適切か、などを検討する際の参考になります。
コンテンツに触れる前に、ペルソナはどんな心理状態(ポジティブかネガティブか、など)にあるか、コンテンツに触れたペルソナはどんな感情を持つかを考えていきましょう。
感情を考えていく際には、先ほど設定した「状態」を踏まえ検討していくことが大事です。あるいは、ペルソナ設定時に「悩み」と関連性はあるか、といった視点も有効です。
ペルソナと接触するための「対策」を考えよう
カスタマージャーニー設定もいよいよ終盤です。ここではペルソナの「状態」をもとに「対策」を検討していきましょう。
- 各phaseの「状態」にあるペルソナはどんな情報を必要としているか
- その情報はペルソナの「感情」に応えられるか or その「感情」に導けるか
といった視点で、どのようなコンテンツを届けるかを考えていきます。
マニュアルで挙げている例ではペルソナの状態、感情を踏まえ「保険、資金計画、住宅プランなど、ライフプラン設計に関わる基本的な情報やトレンドを幅広く提供」としています。
新たにつくるコンテンツだけでなく、商品資料など「既存のコンテンツをどのように活用するか」も加味して考えるようにしましょう。
「段階」を定め仕上げよう
最後に「段階」を設定します。ペルソナと自社や自社メディア、プロダクトが各phaseでどのような関係にあるかをまとめます。
ペルソナとの関係が「いまどの段階にあるか」を把握しやすくするために、できるだけ簡潔に表現することをおすすめします。
例として挙げている保険会社の例ではphase1の「段階」ではペルソナが「保険商品を認知」するところまでとしています。
ペルソナとカスタマージャーニーの設定が完了したら
ワークシート全体に整合性があるか確認する
課題設定、ペルソナ設定の内容をもとにカスタマージャーニーを設定したあとは、総仕上げとして課題やペルソナ設定の項目も踏まえ、各事柄を俯瞰し、矛盾がないか、整合性がとれているかを確認するようにしましょう。
考えられる検討ポイントは主に以下が挙げられます。
- 「状態」や「感情」はペルソナの抱える課題や悩みにフィットしたものになっているか
- 「接点」はペルソナの行動に適応したものになっているか
- 「対策」はペルソナの課題や悩みを解決するものになっているか
- 各「段階」は適切か。飛躍しすぎていないか
- 最終的な「状態」や「感情」はマーケティングゴール(課題設定時に定めたもの)に適したものになっているか
- 最終的な「対策」はペルソナをマーケティングゴールへと導けるか
ズレがあると感じる場合は、マーケティングゴールを軸に、ペルソナやカスタマージャーニーを修正していきましょう。
「課題設定」「ペルソナ設定」はカスタマージャーニーを設定する前に必要な準備となります。本記事と合わせて「オウンドメディアのペルソナ設計マニュアル」もぜひ参照ください。
ジャーニーをコンテンツ戦略に落とし込む
カスタマージャーニーが整ったら、いよいよ具体的なコンテンツ戦略を定めるフェーズとなります。
カスタマージャーニーを軸に、各段階においてどんなコンテンツが必要か、ペルソナとどこで接触するコンテンツになるか、どんなKPIが必要かといった要素を検討していきます。自社に足りないコンテンツをあぶり出す上でもカスタマージャーニーは有効です。
メディア立ち上げ、運用の起点として活用しよう
オウンドメディアの立ち上げ、運用では他にもやらなければならないことはたくさんありますが、メディアの目的をぶらさず、有意義な情報を提供し続け、コミュニケーションを継続していくなかで、今回設定した要素は非常に重要。
課題、ペルソナ、カスタマージャーニーの設計は自社のマーケティング活動の指針の一部であると同時に、「ユーザーにとっての良質なコンテンツ、体験とはなにか?」を探ることでもあります。
はてなで公開中のマニュアル(前編 / 課題、ペルソナ設定)・後編 / カスタマージャーニー設定)を通して設定した課題、ペルソナ、カスタマージャーニーが、ユーザーとの良質なコミュニケーションを築く助けになれば幸いです。
マニュアルおよびワークシートは無料でダウンロードいただけます。オウンドメディアの運用を考えているはもちろん、すでに運用中の方もぜひ活用してみてください。
前編にあたるオウンドメディアのペルソナ設計マニュアルは以下よりダウンロードいただけます。
他にも、オウンドメディア運営に役立つ資料を多数公開中。詳細は以下の資料ダウンロードページをご覧ください。
オウンドメディアのカスタマージャーニー設定マニュアル
オウンドメディアのカスタマージャーニー設定マニュアルをダウンロードいただけます。
こちらの資料は、オウンドメディアの立ち上げを予定している方や、すでにオウンドメディアを運用している方におすすめの資料となります。
貴社メディアの成功に向けて、ぜひご活用ください。
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