コンテンツマーケティング施策の手段として挙げられることの多い「オウンドメディア」。
オウンドメディアを運営する目的は自社商品やサービスの認知度向上、見込み客の獲得、採用広報や企業ブランディングなど企業によってさまざまですが、適切な構築と運用を行うことで大きな成果が期待できる手法です。
一方で、いざオウンドメディアの立ち上げや運用を行う際には、さまざまな課題が発生します。はてなが主催するオウンドメディアに関するセミナーなどでも、
「オウンドメディアを立ち上げることになったけれど、何から始めればいいんだろう?」
「どういうコンテンツを作ればいいのか分からない」
「運用を開始した後、どんな風に振り返っていけばいい?」
といった相談をいただくことが少なくありません。
実際にオウンドメディアは立ち上げから運用までやるべきことが多く、煩雑で専門的なスキルも求められます。
そこで本記事では、オウンドメディアの立ち上げ・運用までの全体像と合わせ、ステップ毎におさえておきたい要素を解説します。
また、はてなではオウンドメディアの計画から運用・改善までを一気通貫で支援する「はてな MediaSuite」を提供しています。記事ではステップ毎の解説と合わせて、はてな MediaSuiteの支援内容も紹介します。
オウンドメディアの立ち上げ・運用を支援します
はてなでは、ブログサービスやメディア運営のノウハウを活かし多くの企業のオウンドメディア支援を行っています。オウンドメディアの計画から記事制作、システム、集客、分析まですべてをサポートします。オウンドメディア立ち上げをお考えの担当者様や、運営中でお悩みを抱えている担当者様はぜひ一度ご相談ください。
- オウンドメディアの立ち上げ手順
- 【STEP01】オウンドメディアの計画・設計
- 【STEP02】CMS構築・サイトデザイン
- 【STEP03】コンテンツ制作
- 【STEP04】流通・集客
- 【STEP05】分析・レポート
- 立ち上げに必要なことを把握して、成長するオウンドメディア運用を実現しよう
オウンドメディアの立ち上げ手順
以下は、簡単にまとめた「オウンドメディアのタスクリスト」です(※横にスライドするとスクロールします)。もちろんさらに多くのタスクが必要なケースもありますが、おおまかな全体像としてこのような項目について考えていくことになります。
1. 計画
- 市場調査
- 課題設定
- ペルソナ、カスタマージャーニー設定
- メディアコンセプト
- KPI策定
- 媒体名の決定
- メディアロゴ
- チームビルディング
2. 構築
- ドメイン取得
- サーバー契約
- サーバー保守運用
- 閲覧性対策
- セキュリティ対策
- 機能開発
- CMS選定
- SEO設計
- デザイン
- 外部サービス連携
3. 制作
- 編集方針
- 確認フロー
- 著者選定
- 企画立案
- 編集/校正
- 関連部署確認
- OGP設定
- 著者との契約
4. 流通
- SNS運用
- 広告運用
- 入稿素材準備
- 外部配信交渉
- 著者交渉
5. 分析
- 解析ツール選定・設計
- Google Analytics 4
- Google Tag Manager
- 広告分析
- SNS分析
- レポート
それぞれのステップは個別で完結するものではなく、STEP5の「分析」をすることで、新しいコンテンツの制作に生かす……といった形で、STEP3〜STEP5は、PDCAを回しながら運用していくことになります。
また、オウンドメディアの目的に沿ったコンテンツを制作し、適切な振り返りをするためにも、STEP1の「計画」段階でしっかりとオウンドメディアでのゴール、KPIを策定し、関係者間で認識のすり合わせをしていくことが必要です。
ここからは、ステップ別に特におさえておきたいポイントを紹介します。
【STEP01】オウンドメディアの計画・設計
設定したオウンドメディアの目的が曖昧、適切なKPI設定ができていない、社内コンセンサスがないなどの状態で始めてしまうと、短期的な結果を求められ、「オウンドメディア運用しても意味がない」と判断されてしまうケースが多くあります。そのため、立ち上げ時にどこまで詰めきれるかによって、メディアの継続が左右されるとも言えます。
課題を整理し、施策のゴールを明確にしよう
まずは現状の課題を整理し、オウンドメディアの目的をしっかり設定していくことが重要です。顧客の課題、自社の課題の順に探りながら、課題解決に向けた“メディアとしての媒体方針”を決めていきましょう。
この課題設定を行うことで、ペルソナ・カスタマージャーニーを具体的に策定していくことができるようになります。
ペルソナ・カスタマージャーニー設定
課題を整理しオウンドメディアの目的を定めたら、コンテンツを届けるべき具体的なユーザー像はどんな人か? を考えていきましょう。自社のサービスや製品を利用するターゲット層がとるであろう行動、モノや情報のニーズ、感情のパターンなどを反映した典型的なユーザー像(ペルソナ)を定めることで、コンテンツ戦略の指針となるカスタマージャーニーを設定できます。
カスタマージャーニー設定では、ゴールに向けてどのように変化をする / 変化を促すのかという時間軸(フェーズ)に分けてそれぞれ以下の構成要素を考えていきます。
- 段階
- 自社(サービスやプロダクト)や自社のオウンドメディアとペルソナの関係がどのような段階にあるか
- 状態
- ペルソナがどのような心理状態にあり、どのような情報を持っているか、必要としているか
- 接点
- ある「段階」「状態」におけるペルソナとの接点として、どのようなコンテンツが適切か、どのようなチャネルで接続できるか
- 感情
- ある「状態」においてペルソナがどのような感情を抱き情報を探しているか、情報に接した後、どのような感情を抱くか
- 対策
- ある「状態」「感情」のペルソナに対して、どのようなコンテンツを提供するか、といったメディアがとるべき対策
課題の整理、ペルソナ・カスタマージャーニー設定を行うことで、「どんなコンテンツが必要か」「どのチャネルで接触するか」「どんなKPIが必要か」が見えてきます。
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戦略の可視化
オウンドメディアの目的やコンテンツ方針、KPIなどを定めた上で、具体的な運用スケジュールや費用、体制を策定します。このとき重要なのは、社内外の関係者とオウンドメディアの目的や戦略について可視化して共有し、合意形成ができる状態にしておくこと。コンテンツマーケティングアカデミーの調査データでは、「戦略に関する書面化を実行しているところは、成果を上げている割合が高い」という結果も出ています。
また、計画書のような形でまとめておくと急な担当者変更や新メンバーが入ったときにも役立ちます。
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はてな MediaSuiteでは、計画をしていく上でヒアリングを行い、課題や要望の整理を行います。その後、外部・内部の環境分析からオウンドメディア戦略を立案し実行のスケジュールやKPIなどをまとめた「実施計画書」を作成し、メディアの立ち上げを行っていきます。
【STEP02】CMS構築・サイトデザイン
オウンドメディアの目的が整理できたら、サイト構築を進めていきます。新規でオウンドメディアを立ち上げる場合は、ドメインやサーバー、サイトの運営や管理を行うCMS*1などを準備する必要があります。その際、コンテンツの管理や編集のしやすさ、セキュリティ上のリスクについても考える必要があります。
オウンドメディアの運用ではWebサイトを構成するテキスト、画像、デザイン、機能などを一元的に管理できるCMSを利用するのが主流です。CMSを使わず制作することもできますが、プログラミングスキルが必須となってきます。更新作業の手軽さや管理のしやすさなどを考慮してもCMSの活用がおすすめです。
CMS選定とサイトデザイン
CMSは、Webサーバーにインストールして使うタイプと、SaaS(クラウド型)として提供されているタイプの大きく2つに分けられます。それぞれメリット・デメリットがあるため、予算や運用方法に応じて検討していきます。
WebサーバーにインストールするCMS*2で代表的なものには、WordPressが挙げられます。他にもDrupal、Joomla!、XOOPS、concrete5などがあります。また日本ではシックス・アパート社が開発・提供するMovable Typeも人気です。
SaaS型のサービスには、はてなが提供するはてなブログMediaを始め、Ameba Ownd、ferretOneなどがあります。
サイトデザインの際には、ワイヤーフレーム(ページレイアウトの設計図)を作成し、各ページの要件定義を行っていきます。オウンドメディアの目的に応じてコンテンツをどのように表示させるか、サイト構成をどうするのかを決めていきます。実装まで自社で対応することもできますが、専門知識が必要になってくるため、要件定義から実装までは制作会社に依頼するケースも多いです。
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はてな MediaSuiteでは、オウンドメディア運用に最適化されたSaaS型(クラウド型)のコンテンツ管理システム「はてなブログMedia」を用意しています。個人向けサービスの「はてなブログ」の使いやすさはそのままに、オウンドメディアの成長をサポートする機能を搭載。
自然検索での流入を最大化するための最適化施策(SEO)を含めて、はてなは常に最新版への自動アップデートを行っています。最適なマークアップ、サイト構造を維持することで、最新のトレンドに合わせた対策を随時実施しています。SaaS型のためメンテナンスや改善もはてなにお任せいただけます。
また、コンテンツ特性に合わせたデザインテンプレートを活用いただくことで、制作会社にデザインを依頼しなくてもオウンドメディアを始められます。カスタマイズははてなで請け負うことも可能。体制や予算感、目指すメディアの内容によって柔軟に対応しています。
はてなブログMediaの詳細は、以下の記事もご確認ください。
【STEP03】コンテンツ制作
STEP01で設定したカスタマージャーニーを踏まえ、コンテンツを制作していきます。掲載する記事コンテンツの種類は多岐にわたりますが、戦略に基づき選択していく必要があります。
ユーザーの検索ニーズに応える記事(SEOを意識した記事コンテンツ)やエンゲージメント強化を目的にした企画性の高い記事、自社サービスやプロダクトの理解促進につなげる事例紹介や社員インタビュー記事など、目的と役割に応じてバランスを考えつつ制作していきましょう。
はてな MediaSuiteはコンテンツ制作ももちろん対応可能。オウンドメディアに特化した専門の編集チームが、戦略に基づき「ネットで話題になるコンテンツ」や「検索チャネルを意識したコンテンツ」など、目的に応じた企画の立案から著者探し、取材から編集までを対応します。
編集方針・ガイドラインの決定
関係者が複数いる場合、共通認識を持つためにも共有できる編集方針を示しておくことをおすすめします。また、自社のプロダクトやサービスを紹介するコンテンツを制作する場合、オウンドメディア担当者の所属部署だけでなく、別部署の確認を必要とするケースもあります。基本的な確認フローをはじめとしたガイドラインを用意しておくことで、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
また、コンテンツ制作を外部のパートナーに依頼するケースも少なくありません。コンテンツの企画案・制作を自社内で行う場合もあれば、パートナーに提案してもらうこともあるはずです。その際、編集方針・ガイドラインを準備しておくことで、認識のすり合わせもしやすくなります。
コンテンツ制作に外部パートナーを起用を検討中・活用中の方へ
はてな MediaSuiteでコンテンツ制作を担う編集チームの知見を盛り込んだ「オウンドメディア制作パートナーとの付き合い方マニュアル」を無料で公開中です。円滑なコンテンツ制作を行うためのチェックシートも用意しており、こちらは社内の制作時にもご活用いただけます。合わせてチェックしてみてください。
【STEP04】流通・集客
短期的な拡散、中長期的な集客をしていくために、コンテンツをどうユーザーに届けていくかの流通施策は欠かせません。オウンドメディアの流入経路は主に以下があります。
- 検索
- SNS(自社アカウント、広告運用)
- 広告
- 外部配信(SmartNewsなど)
- 既存顧客向け媒体(メルマガ、LINEアカウントなど)
- Google Discover
前提として、公開するコンテンツがどのようなチャネルで接点を持つか? をSTEP01で考えておくことで、コンテンツ毎にメインで流入するであろうチャネルでの露出を高めるための流通施策が考えやすくなります。
はてな MediaSuiteは、公開したコンテンツの効果を最大化させるための流通もセットで提供しています。自社の広告誘導枠(はてなブックマークのネイティブ広告)をはじめ、コンテンツに応じて最適な流通チャネルを提案します。
広告媒体としてのはてなブックマーク
はてなブックマークは、ユーザーのブックマーク情報を元に、独自のアルゴリズムでネットで話題のコンテンツが自動抽出されるソーシャルブックマークサービス。情報感度の高いユーザーが集まるソーシャル拡散の起点となっています。
はてなブックマークの広告は、サービスのユーザー体験を妨げず、自然な形で情報を届けます。ユーザーはストレス無く情報に触れることができるので、誘導先に対する信頼性は高まり、積極的なソーシャル拡散やブランド価値の向上が期待できます。
【STEP05】分析・レポート
コンテンツは「公開して終わり」ではなく、KPI設計に基づいた振り返りを行うことが重要です。はてな MediaSuiteでも、導入いただいてる企業様毎に、分析ツールを用いたレポートの作成・共有*3と改善案の提案・実施を定期的に行っています。
オウンドメディアの成果は定性・定量で可視化できるよう準備しておくことが大切。想定していた反響が得られたのか、当初の見立てと異なる傾向が見られた場合、次の制作に生かせる部分はないか、などの検討材料にもなります。
Google Analytics 4や分析ツールなどを活用するほか、Googleが無料で提供するLooker Studioなどの可視化ツールを取り入れるとオウンドメディアの状況が把握しやすくなります。
また、コンテンツ毎の振り返りと合わせサイト全体の数値状況やユーザー行動の傾向、どんなキーワードでオウンドメディアに来訪しているか、コンバージョンポイントを設定している場合はどこからCVされているのか? も見ていくようにしましょう。振り返り次第では、設定したKPIを達成するために「メディアの導線設計を見直す」「記事中に設定しているCTAボタンの配置やデザインの変更」といった改善案も見えてきます。
▼関連記事
立ち上げに必要なことを把握して、成長するオウンドメディア運用を実現しよう
はてなMediaSuiteは新規メディアの立ち上げ時だけでなく、利用中のCMSから移行の利用も可能です。運用中のオウンドメディアの「困った!」がある方も、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ
ご不明な点はお気軽にご相談ください
オウンドメディアの記事制作やコンテンツ流通についてもご相談いただけます
*1:Content Management Systemの略称で、コンテンツ管理システムと訳される
*2:WordPress、MovableTypeでは、SaaS型のサービスも提供しています
*3:Google Analytics 4、Search Console等の外部ツールのアカウント共有をいただける場合に限ります
【事例付き】オウンドメディア設計シートをダウンロード
オウンドメディアの立ち上げ時や運用中の見直しに役立つ「オウンドメディア設計シート」を無料でダウンロードしていただけます。
設計シートを活用して企業課題やペルソナ、コンテンツの方針などを整理して成功するオウンドメディアを目指しましょう。
空欄のシートの他、はてなビジネスブログの事例も載っておりますので参考にしてください。
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