株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(id:ryuka01)です。
Google Analytics 4(以下、GA4)には2024年11月時点で利用できるディメンションは358個あります(各GA4で設定したカスタムディメンションを除く)。
非常に多くのディメンションが存在しますが、重要なディメンションは限られています。
今回の記事では、ウェブサイトの分析をするときによく使う重要なディメンションについて、その意味や利用シーン、注意点などをまとめて紹介いたします。
意外と分かりづらい仕様だったり、利用時の注意点もありますのでぜひ学んでいってください。
- ディメンションと指標について
- 1. ページタイトルのディメンション
- 2. ページURLのディメンション
- 3. ランディングページのディメンション
- 4.流入に関するディメンション
- 5. ページの参照元 URL
- 6. 「イベント名」と「キーイベントです」
- 利用時に要注意なディメンション
- 最後に
ディメンションと指標について
GA4を利用するときに前提となる用語として「ディメンション」「指標」があります。
ディメンションについて説明する前に、改めてディメンションが何を指すかおさらいしておきましょう。
ディメンションとは、■■ごとに●●を見るといったときの「■■」の部分を指します。通常は文字列で表されることが多く、GA4の表では一番左の列に表示されます。
指標は「●●」の部分を指し、数値(実数・小数点・パーセンテージ・通貨等)で表されます。指標はサイト全体あるいはディメンションとかけあわせて見ることができるものとなります。
「指標」もディメンションと同様、誤解されがちな点があります。正しく理解しておくと安心な「指標」については、以下の記事でも紹介していますので、合わせてご覧ください。
では、改めてウェブサイトの分析をするときによく使うディメンションについて紹介します。
以下のURLとタイトル例を使い、代表的なものを紹介いたします。
対象URLとタイトル例
- URL
- タイトル(title要素で設定しているもの)
- オンライン講座 | 株式会社HAPPY ANALYTICS
1. ページタイトルのディメンション
特定ページのデータを見たいときに使えるディメンションはいくつかあり、ページのタイトルを見たいときに使うディメンションはこちらになります。
ディメンション名 | ディメンションの値として表示される文字列 |
ページ タイトル | オンライン講座|株式会社HAPPY ANALYTICS |
ページ タイトルとスクリーン クラス | オンライン講座|株式会社HAPPY ANALYTICS |
ページ タイトルとスクリーン名 | オンライン講座|株式会社HAPPY ANALYTICS |
ページ タイトルとついている3つのディメンションはウェブサイトの場合はすべて同じ表示になります。「ページ タイトルとスクリーン クラス」「ページ タイトルとスクリーン名」はウェブページのタイトルあるいはアプリのスクリーンクラス名(スクリーン名)が表示されます。
アプリにGA4を導入している場合、ページ タイトルは表示されないため、「ページ タイトルとスクリーン クラス」「ページ タイトルとスクリーン名」を利用しましょう。
ページ タイトルに関しては<title></title>
タグ内の文字列が表示されます。そのため、ブラウザの翻訳機能などでページの中身が翻訳されている、日本語のサイトでも日本語以外の文字列がページ タイトルに記録されます。
なお、ページ タイトルは必ずしもURLと1対1で紐づいているわけではありません。同じタイトルを複数URLで使っている場合は1つにまとまりますし、同じURLでも途中でタイトルを変更した場合は、変更した前と後のタイトルが1つのURLに紐づきます。
また、ページタイトルを設定していない場合は、このディメンションには何の値も入らないのでタイトル設定を忘れないようにしましょう。
【ページタイトルの利用推奨シーン】
- ページタイトルを基本的には変更しておらず、サイト側で正しく命名ルールが決まって設定されている
- URLからどんなページか想定しにくい(例:blog/1342340/)場合にもどのページのことが分かりやすい
2. ページURLのディメンション
見ていたページをURLで確認したい場合は、4種類のディメンションが用意されています。どれも名称に「URL」とついているわけではないので、ディメンションを探すときは「ページ」で検索すると良いでしょう。
ディメンション名 | ディメンションの値として表示される文字列 |
ページ ロケーション | https://happyanalytics.co.jp/onlinecourse?list=1 |
ページパス + クエリ文字列 | /onlinecourse?list=1 |
ページパスとスクリーン クラス | /onlinecourse |
ホスト名 | happyanalytics.co.jp |
ページ ロケーションは、URL全体を表示してくれます。細かい話ですが、「ページ」と「ロケーション」の間に半角スペースがあるので、検索するときには注意してください。複数のドメインを1つのプロパティ内で運用している場合は、基本的にはこのディメンションを利用しましょう。
ドメインなしのディメンションを選んでしまうと、ドメイン以降のURLが一緒の場合、1つにまとまってしまいます。
https://happyanalytics.co.jp/onlinecourse https://ga4.guide/onlinecourse
というようなケースの場合にドメインが入らないディメンションを選ぶと、どちらも「/onlinecourse」となり1行にまとまって表示されます。この表にも出てくる「ホスト名」もディメンションとして追加して切り分けることは可能です。
ドメインなしのページの表記はURLパラメータの有無によって名称が変わります(ページパス + クエリ文字列 および ページパスとスクリーン クラス)。
これらは利用頻度が高いディメンションの代表例であり、サイトのURL構造や分析用途によって使い分ける形になります。
URLにUTMパラメータ(utm_sourceやutm_mediumなど)がついている場合もページパス+クエリ文字列では表示され、ページパスとスクリーン クラスではパラメータが入りません。
【ページURL関連ディメンションの使い分け】
- 複数ドメイン利用の場合は「ページ ロケーション」の利用を推奨
- パラメータごとに分けてページを見たいか、ひとまとめで見たいかによって「ページパス + クエリ文字列」と「ページパスとスクリーン クラス」を使い分ける
- ページURLのディメンションは複数URLで同じページタイトルを使っている際に、その内訳をみる用途としても利用
ページURL関連のディメンションが空白になるケースとして考えられるのは、「page_viewイベントが正しく動作していない(Google タグが動作していない)」「カスタムイベント作成時にページロケーションが記録されていない」などが考えられます。
3. ランディングページのディメンション
ランディングページは訪問時一番最初に見たページを表示するディメンションとなり、2種類用意されています。
ディメンション名 | ディメンションの値として表示される文字列 |
ランディング ページ | /onlinecourse |
ランディング ページ + クエリ文字列 | /onlinecourse?list=1 |
特徴として、ランディングページにはドメイン部分が含まれていません。前述のように複数ドメインを計測しており、ドメイン以降が一緒のURLの場合は1行にまとまってしまいます。
ドメインつきのランディングページを見たい場合は、探索レポートで
- ディメンション:「ページ ロケーション」
- 指標:「閲覧開始数」
を入れた自由形式のレポートを作成しましょう。
探索レポートで設定した様子
もう1つおさえておきたいポイントは「ランディング ページ」は探索レポート内で利用できないということです。
探索で選べるディメンション一覧でランディングページ絡みのものは「ランディング ページ + クエリ文字列」しかありません。
レポートメニュー内にある「ランディング ページ」のレポートではパラメータなしのものが利用されており、レポートのカスタマイズで「クエリ文字列」ありのディメンションも合わせて選ぶことができます。
【ランディングページの利用シーン】
サイト訪問時の第一印象を決める重要なページを洗い出すことができます。
パラメータやドメインあり/なしはどの単位でデータを見たいかをもとに取捨選択できるようにしましょう。ウェブサイト内を改善するのであれば、流入が多く、エンゲージメント率が低いページが改善優先順位が高いページになります。
4.流入に関するディメンション
流入に関するディメンションは241個と全体の67%(トラフィックソースとアトリビューション配下のディメンションの合計)を占めます。
正しく理解し適切な流入元を選ぶためには、ディメンションの命名ルールを知っておく必要があります。
たくさん存在する流入関連のディメンション
流入に関するディメンションは主に3つのパートに分かれています。
例)セッションのCM360 メディア
- 接頭……流入のスコープ(単位)を表しています。「セッション」「ユーザーの最初の(あるいは最初のユーザー:)」「(値なし)」の3つが存在します。
- 掲載方法……どの仕組みを使って掲載されているかを表しています。「Google 広告」「ディスプレイ&ビデオ 360」「SA360」「CM 360」「(値なし)」などが存在します。
- 接尾……流入の分類名を表しています。「デフォルト チャネル グループ」「手動の参照元」「参照元」「メディア」「コンテンツ」「キャンペーン」「広告アカウント名」「クリエイティブ タイプ」などが存在します。
このルールを理解しておいた上で、主に使う内容は以下の通りとなります。
ディメンション名 | 意味 | ディメンションの値として表示される文字列 |
セッションの参照元/メディア | セッションの流入の参照元とメディアを「/」でつなげたもの | google / organic など |
セッションの手動参照元 / メディア | セッションの流入の参照元パラメータ(utm_source)とメディアパラメータ(utm_medium)を「/」でつなげたもの | (例)newssite / banner |
セッションのデフォルト チャネルグループ | セッションの流入の一番大きな分類。分類ルールはこちら(公式ヘルプ) | Organic Search Paid Social Direct など |
セッションのキャンペーン | セッションの流入のキャンペーン名。utm_campaignのパラメータについている値、あるいは広告配信ツールで付与された名称 | (例)summersale |
セッションの手動広告コンテンツ | セッションの流入の広告コンテンツパラメータ(utm_content)の値を取得 | (例)blogpost |
セッションの手動キーワード | セッションの流入の広告コンテンツパラメータ(utm_term)の値を取得 | (例)賃貸 |
接頭がセッションのディメンションを紹介しましたが、「ユーザーの最初の」とついている場合は、そのユーザーが初回流入した時の流入元を取得し、それ以後同ユーザーが違う流入元で訪れた場合も、ユーザーの最初の流入元は同じになります。
例)1回目:検索エンジンで流入⇒2回目:ソーシャル流入⇒3回目:他サイトから流入してコンバージョン
セッションのメディア | ユーザーの最初のメディア | |
1回目の流入 | organic | organic |
2回目の流入 | social | organic |
3回目の流入 | referral | organic |
また接頭がついていない場合は、「アトリビューション」用のディメンションとなっており、分母がサイト全体の流入ではなく、コンバージョン(キーイベント)したユーザーのみの流入となります。
ディメンション名 | ディメンションの値 | ユーザー |
ユーザーの最初のメディア | organic | 50 |
メディア | organic | 5 |
そのため、上記のような数値が出た場合、意味としてはユーザーの検索エンジンからの初回流入が50回あり、5回のユーザーが検索エンジンを経由してコンバージョンしたということになります。
接頭語がない流入元のディメンションを利用するときは、流入数ではないことに注意をして利用しましょう。
【流入に関するディメンションの利用シーン】
接頭・掲載方法・接尾の、どの組み合わせで利用したいかを明確にしましょう。正しく選ばないと何かしらの数値が出てきてしまい、それを違う意味として理解してしまう可能性があります。
値が入ってこないケースとしては、「パラメータ名などの間違い」「見たいディメンションと違うものを選んでいる(SA360を利用していないのにそのディメンションを選んでいる)」などが考えられます。
5. ページの参照元 URL
見たページの1つ前のページのURLを表示してくれるディメンションです。1つ前のページが自社サイト内あるいは外部サイト、どちらでも計測されます。
サイト内(同ドメイン)が1つ前のURLの場合は、ページ ロケーション(URL全体)が表示されます。
サイト外の場合はドメイン部分のみしか表示されません。基本的にはページ ロケーションと合わせて利用することで、特定ページの1つ前のページの一覧を見ることができます。
【ページの参照元URL 利用シーン】
あるページの1つ前のページをチェックすることができ、サイト外とサイト内の内訳も確認できます。サイト内の遷移だけを見たい場合は、ページの参照元URLでフィルタを行うとよいでしょう。
ページの参照元URLが空白の場合は、流入元がDirect(アドレスバーにURL直接入力、ブックマークやアプリからのアクセス)などになります。
6. 「イベント名」と「キーイベントです」
イベント関連のディメンションは2つ用意されています。
「イベント名」では計測されたイベント名が表示されます(イベントごとの名称がディメンションに1つずつ表示されるわけではありません)。
該当イベントをキーイベントとして登録している場合は「キーイベントです」を利用することになります。
「キーイベントです」に関しては値が「true」「(not set)」のいずれかになるので、「キーイベントです」だけを利用しても、複数キーイベントを設定している場合は内訳をみることができません。
そのため、「キーイベントです」はイベント名およびフィルタ機能とセットで利用することがほとんどです。
【イベント名とキーイベントです の利用シーン】
イベントやキーイベントに関する指標を細かくイベント単位で確認することができます。流入元などもかけ合わせることで、流入元の評価に利用することも可能です。
利用時に要注意なディメンション
最後に間違いやすいディメンションについても紹介しておきます。
新規/既存
「初回訪問」と「リピート訪問」ではありません。初回訪問から7日以内の訪問が「新規」、7日以降の訪問が「既存」として記録されています。
新規訪問者数を利用したい場合は指標で新規ユーザー数を利用し、本来の意味での新規とリピートの訪問数などを見たい場合は、セグメント機能を利用する形になります。
検索キーワード
サイト内の検索キーワードが取得されています(拡張機能でONにしている場合)。
検索エンジンの流入キーワードではありませんので混同しないようにしましょう。検索エンジンの流入キーワードを確認したい場合は、Google Search ConsoleとGA4を連携してレポート内で確認する形になります。
「リンク先URL」「リンクテキスト」などのリンク関連のディメンション
サイト外(計測対象ドメイン外) 及び ファイルダウンロード時のクリックURLやテキスト名が記録されます。ページ内の遷移は記録されないので注意しましょう。
表示
ページの表示などではなく、サイト内に埋め込まれたYouTube動画が表示されたときに「true」がつくディメンションになります。
最後に
今回はGA4でよく利用するディメンションと利用時の注意点、使い分け方などについて紹介してきました。
似た名称なども多く間違って利用していたというケースもあるのではないでしょうか? ぜひ改めて自分が作った探索レポートを確認し、新たに作成する際には本記事を参考にしていただければと思います。
* *
今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
▼関連記事
勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。
参考資料なども含めてGA4の理解や移行に役立つ情報がまとまっています。ご希望の方は必要情報を記載の上お申し込みください。
Google Analytics 4解説資料ダウンロード
【資料サマリ】Google Analytics 4の概要/オウンドメディアで計測すべき5つの指標と設定方法/ユニバーサルアナリティクスと同様の設定をGA4で実現する方法(全66ページ)
【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード
GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
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