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クマベイス登壇:「オウンドメディアにおけるメール活用・AI活用」 - はてなブログMedia導入企業向け勉強会レポート

はてなでは、オウンドメディアのトータル支援「はてな MediaSuite」やオウンドメディアCMS「はてなブログMedia」の導入企業様にご案内するためのクローズドイベントを定期開催しています。

本記事では、先日開催したクローズド勉強会にて株式会社クマベイス様にご登壇いただいた内容の一部をご紹介します。お話いただいたテーマは、オウンドメディアにおける「メールマーケティング」と「AI」の活用についてです。

オウンドメディアとメールマーケティングの接続(株式会社クマベイス 代表取締役CEO 田中森士氏)

クマベイス 田中氏には、23年9月に三友直樹氏との共著で出版した書籍「メールマーケティング 嫌われないメルマガのすべて」に関連し、「オウンドメディアとメールマーケティングの接続」というテーマでご登壇いただきました。具体的な実践方法は当日ご来場いただいた方々に向けてお話いただきましたので、本レポートではメールが注目されている背景やクマベイス社の事例の一部をご紹介します。

books.mdn.co.jp

いま「メールマーケティング」が注目されている背景

株式会社クマベイス 代表取締役CEO 田中森士氏

個人情報保護の観点から、自社が保有する顧客データであるファーストパーティーデータの重要性が高まっています。そのなかで「メール」は、1to1コミュニケーションを実現するビジネスコミュニケーションのチャネルとして、改めてその価値が見直されている、と田中氏は説明します。

サブスクライバーの重要度はチャネルによって異なる

コンテンツマーケティング・インスティテュート創設者であるジョー・ピュリッジ氏が書籍で紹介している「サブスクライバーヒエラルキー」という概念があります。「定期的に情報を受け取ることに同意した人」である「サブスクライバー」のコントロールのしやすさを図示したもので、書籍「メールマーケティング 嫌われないメルマガのすべて」の中で田中氏が要約しています。

「サブスクライバーヒエラルキー」でも示されているとおり、Xなどのプラットフォームはコンテンツの受け手との関係性をコントロールしづらく、コミュニケーションチャネルとして依存することのリスクは高いと言えます。その点、受け手と直接つながることのできるメンバーシップやEメールにはそうしたリスクがなく、かつ「閉じられた」空間であることから深い関係構築を可能にすると言います。

メールマーケティング実施時の注意点

実際にメールマーケティングを実施するにあたって、企業の担当者が最も気を付けるべきことは「受信者の同意」だと田中氏は説明します。

これは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」でも定められています。

www.soumu.go.jp

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(総務省) より引用
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(総務省) より引用
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(総務省) より引用
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(総務省) より引用

田中氏は「メール受信を望む人のみを対象とし、名刺交換したことがあるだけの相手にメールを送るようなことはしないように」と注意喚起します。また、Googleがメールの一括送信者(1日当たり5000件以上のメールを送信するユーザー)に向けて24年2月までの対応完了を求めている「メール送信者のガイドライン」についても紹介しました。

support.google.com

その他、2回送信エラーになった宛先は削除するなど、リストのメンテナンスを行うことも重要だと説明しました。

登録者の流入経路と自社サービスへの接続

クマベイスのメールマガジン「週刊クマベイス」の登録者の流入経路と自社サービスへの接続についても説明がありました。

  • 流入経路
    • クマベイスの企業Webサイト
    • 口頭
    • 口コミ
    • (以前は)メールの署名
    • 寄稿している外部媒体

複数の流入経路のなかで、オウンドメディアからのメールマガジンの登録は計測がしやすく効果が可視化しやすいとのこと。クマベイス社の場合は、メールマガジンを購読し始めてから、最低でも半年、時に2年以上の期間を経て、自社サービス問い合わせ等につながるそうです。

一方で、メールマガジンの購読や購読の継続、CVには、ブランドへの信頼という土台が必須だと言います。田中氏は「ブランドを構築するために、さまざまな活動を行う必要がありますが、その際にソートリーダーシップを意識することが重要です。特定の分野において、革新的なアイデアや解決策を発見し、示すことでその分野の先導者(ソートリーダー)になることを意識しながら、オウンドメディア運営や発信活動を行っていくことでブランド価値が上がっていくと考えます」と説明しました。

コンテンツ制作におけるAI活用(株式会社クマベイス ディレクター 野口優帆氏)

クマベイス 野口氏には、クマベイスのメールマガジン「週刊クマベイス」でも頻繁に発信している「コンテンツ制作におけるAI活用」をテーマにご登壇いただきました。

コンテンツ制作におけるAI活用の現状

株式会社クマベイス ディレクター 野口優帆氏

野口氏はSalesforse社による調査をベースに、マーケティング担当者のAI活用状況、活用時のポイントについて紹介しました。一部をご紹介します。

www.salesforce.com

  • 生成AIを使うマーケターはコンテンツ制作やコピーライティングに使用
  • 懸念事項は精度や品質、信頼性、スキル、職を失わないか
  • AIを使う際には元となるデータの質が重要。「悪いとゴミからゴミが完成する」(AI部門CEOの発言より引用
  • AIをメンバーの代わりとしてはいけない
  • 法的、倫理的、品質への影響を見落とさないようにする

また、国内に関しては、Content Markeketing Academyによる調査を紹介し、コンテンツマーケティングに取り組むBtoB企業の約1/3がAIを活用していること、具体的な活用例として「アイデア出し」「記事構成案作成」「草稿作成」であることに触れました。

lp.contentmarketinglab.jp

実際にChatGPT(GPT-4)を使ってわかったメリットや注意点、プロンプトのコツなどを共有し、整理したうえで、コンテンツマーケティングの現場における具体的な活用方法を提案しました。

野口氏は、コンテンツ制作の流れのいくつかのステップのなかで、赤字になっている「企画制作」「構成案作成」「執筆」における「アイデア出し」にGPT-4が活用できるのではと言います。

データの質に注意しつつ、うまく活用することで工数削減につながりうると説明しました。

おわりに

クマベイス様の登壇内容の一部をご紹介しました。

はてなでは今後も、どなたでもご参加いただけるセミナーに加えて、顧客向けのクローズドイベントも定期開催してまいります。本ビジネスブログでも、紹介してまいりますので、ぜひご覧ください。