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オウンドメディアサイトの評価に役立つGoogle Analytics 4のカスタムレポート作成ガイド(寄稿:小川卓)

株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)です。

Google Analytics 4には多様なレポートや機能が備わっており、どれを利用すれば良いか迷うことが少なくありません。複数のレポートを行き来しながら見るのも手間ですし、改善に直接役立ちにくいレポートや指標もあります。

そこで今回は、オウンドメディア向けのGA4カスタムレポートの作成方法と見方について紹介いたします。まずはこのカスタムレポートを見ておけば、各記事の評価が適切に行えるようになります。

カスタムレポートとは?

GA4のレポート内にある機能で、任意のディメンションと指標を選んで表を作成することができます。必要な項目だけを表示することができるため、必要なデータに絞り込むことが可能です。

カスタムレポートを作成するには「レポート」内にある「ライブラリ」から「+新しいレポートを作成」を押すことで行えます。

今回のオウンドメディア用のレポートも、こちらから作成しますが、まずは先にカスタムレポートのアウトプットを見ておきましょう。


作成するカスタムレポート

こちらが完成形のレポートになります。

本レポートでは1つのディメンション(ランディングページ)と8つの指標(新規ユーザー数 から セッションのコンバージョン率)を利用しています。

それぞれの項目を見てみましょう。


【ディメンション】

  • ランディングページ:訪問時に一番最初に見たページ


【集客関連の指標】

  • 新規ユーザー数:サイトを初めて訪れた人が、このランディングページだった数(このページを初めてみた数ではないことに注意)
  • セッション:該当ページを訪れた訪問回数


【閲覧関連の指標】

  • 平均エンゲージメント時間:ページがユーザーの前面に表示されていた時間。別タブや別アプリなどを閲覧していた場合はカウントしません
  • finished_read:読了数。はてなブログを利用してGA4を設定している場合は読了を見ることが出来ます。詳しい設定方法は、筆者の記事をご覧ください。(https://analytics.hatenadiary.com/entry/2022/04/28/091213

設定を行っていない、あるいははてなブログを利用していない場合は、GA4で計測されている代わりの指標を利用します(作成方法にて後述)。


【誘導関連の指標】

  • エンゲージメントのあったセッション数:ランディングページに流入し、以下3つのいずれかを満たした場合にエンゲージメント(関係性を持てた)セッションとしてカウントされます。
  • 1)10秒以上の滞在(初期設定は10秒。変更可能)
  • 2)2ページ以上の閲覧
  • 3)コンバージョンの発生

オウンドメディアのように記事が一定量の長さがある場合は初期設定の10秒ではなく、最大の60秒に変更しても良いかと思います。

変更を行いたい場合は管理画面から「プロパティ」内の「データストリーム」から該当のストリームを選択。「タグ設定を行う」を選ぶ。


設定の中にある「セッションのタイムアウトを調整する」を選び、


エンゲージメントセッションの時間調整から「60秒」などを選択して保存しましょう。

  • エンゲージメント率:エンゲージメントのあったセッション数 ÷ セッション数 で%が高いほど良い数値になります。以前、利用されていた「直帰率」を置き換える指標になります

【成果関連の指標】

  • コンバージョン:GA4で設定したコンバージョンがランディングページ経由で発生した回数。プルダウンで特定のコンバージョンに絞り込むことが可能です
  • セッションのコンバージョン率:ランディングページ経由でコンバージョンしたセッション数 ÷ ランディングページのセッション数 で計算されます。

カスタムレポートを見る上でのポイント

最初の2つの指標は流入に関する情報を表しており、集客が出来ている記事、そしてその中でも新規訪問者をよぶことが出来ている記事を評価することが可能です。特にオウンドメディアは、サイトに触れる最初のきっかけになることが多いので、どの記事が貢献しているかを把握するのは大切です。

「+」ボタンを押して流入元と掛け合わせることも可能なので、その内訳も確認し、どこから人を集めることが出来ているかもあわせて確認しておきましょう。



次の2つの指標はコンテンツをしっかり読んでくれているかを把握するための項目です。finished_readは読了を表しているため、「記事の途中にリンクがありそちらに移動してもらいたい」というケース以外は読了数が高いほうが良いということになります。

データをエクスポートしてfinished_read÷セッション数で読了率を見ることも可能です。

単純にページを開いていた時間(GAの場合は開いていた時間で計測されていた)ではなく、前面に表示されていた時間なので、今までより正確な閲覧時間を補足することができます。記事の長さに対して極端に低いものが無いかをチェックしてみましょう。



次に誘導関連の指標2つですが、エンゲージメント数と率を見ています。滞在時間や複数ページ閲覧などを考慮してカウントされる指標なので、閲覧者がしっかり読んでいる、あるいは別ページにも移動しているということがわかります。

エンゲージメント率の適正値は何%か?と言われると難しいのですが、50%未満の場合は改善の余地があるかなと考えます。特にファーストビューで離脱している可能性が高いので、タイトルや見出しの文章、広告流入などの場合はコンテンツとのマッチング度合いを確認する形になります。




最後にコンバージョン関連の指標です。オウンドメディアの目的は集客・認知だけではなく、そこからサイトのビジネスゴールに繋げたいというケースが多いので、これらの数値はとても大切になります。

セッションのコンバージョン率は、訪問時にコンバージョンした場合にのみカウントされます。もし間接効果(例えば記事を見て、その後に別の訪問でトップページから流入しコンバージョンした)という場合に、記事を評価したい場合は「ユーザーのコンバージョン率」の指標を利用しましょう。

経験上、2つの数値はほぼ差が無いので(若干ユーザーコンバージョン率のほうが高くなる)、確認したうえでどちらを利用するかを決めましょう。



カスタムレポートの作成方法

1)レポート内の「ライブラリ」を選択し、「+新しいレポートを作成」を押す。「詳細レポートを作成」を選択。



2)新規作成画面で「ランディングページ」のテンプレートを選択する



3)レポートのカスタマイズ内にある「指標」を選択



4)以下の指標をプルダウンから追加していく



【注意点】

  • finished_readを設定していない場合は「イベント数」を選択し、レポート利用時にプルダウンで「scroll」を選択する。ただこのスクロールはページの高さの90%まで来た時に計測するので、読了位置とはずれます。
  • ユーザー単位でのコンバージョン率を見たい場合は「セッションのコンバージョン率」のかわりに「ユーザーコンバージョン率」を追加する
  • ECサイトで売上を取得している場合は「eコマースの購入数」「購入による収益」などを追加する


5)指標を追加後、右市にある「適用」ボタンを押す



6)レポートを特定のURLで絞り込みたい場合は「フィルタを追加」を押して「ランディングページ」を選択して条件を指定する



7)保存ボタンを押し、レポート名をつけて保存する



8)作成したレポートはライブラリ内のReportsからアクセスできます。レポート名をクリックして確認をしましょう。




最後に

今回はGA4のレポート機能内でカスタムレポートを作成しましたが、「探索」機能でも作成することができます。「自由形式」を選び、同様のディメンションや指標を追加しましょう。

探索を利用すればセグメントなども反映できるので、深堀りを行いたい場合は探索を利用していただくのも良いかなと。ただ今回は、探索機能を利用しなくても、オウンドメディア改善に必要なデータをぱっと見ることができるというメリットからカスタムレポートでの作成方法を紹介いたしました。

各サイトの独自のニーズに応じて、さらなる項目の追加や不要な項目の省略を検討しましょう。


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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事もあわせてご覧ください。

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Google Analytics 4 でミスされやすい・誤解されやすい「設定」7選 - はてなビジネスブログ

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また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

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本勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報をおまとめいただいておりますので、ご希望の方は必要情報をお送りください。(はてなからオウンドメディアに関するセミナーや商品のご連絡をさせていただきますので、あらかじめご了承ください。)

【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード

GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
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著者名:小川卓 株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。