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オウンドメディアのコンバージョン連載 第1回:GA4での設定・確認方法(寄稿:小川卓)

株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)です。

全2回で、オウンドメディアのコンバージョン改善方法について紹介をしていきます。第1回は、オウンドメディアで設定するべきコンバージョンは何か?そしてそれらの数値を最新のアクセス解析ツールであるGoogle Analytics 4でどのように設定し確認するかを紹介いたします。第2回ではGA4を活用した具体的な分析と改善案の出し方や事例を紹介していきます。

そもそもオウンドメディアのコンバージョンとは?

オウンドメディアを運用されている企業様では、コンバージョン(CV)として何を設定していますでしょうか?オウンドメディア経由のお問い合わせ数や購入数、セミナーの申込数
などが上げられるかもしれません。

しかし、こういったコンバージョンを設定しても「どのように数値を把握すればよいかわからない」「数値は取得しているが正しいやり方かわからない」「そもそも、それ以前に成果が出ていない」といった問題を抱えている方も多いのではないでしょうか。

オウンドメディアを見ていきなりコンバージョンにたどり着く人は取り扱っている「商材」によっても変わりますが、少ないことが多いです。例えば月3件しかオウンドメディア経由でお問い合わせを確保出来ていない場合、どのようにオウンドメディアを評価して活用すればよいのか、悩んでしまいますよね。

筆者はオウンドメディアのコンバージョンに関してはステージで見ていく必要があると考えています。大きく分けると「まずは集客を行い」「その後にコンテンツを読んでもらい」「再訪あるいはコンバージョンに繋がるコンテンツに誘導を行い」「最終的に成果」にたどり着くといった形です。

そして、どの部分をコンバージョンとして設定するかは、現在のオウンドメディアのステージによって変わってきます。立ち上げた直後であれば集客を(いったんの)コンバージョンとして、記事をしっかり書く事、検索やソーシャルからの流入数を増やすことを重視しましょう。そして集客が増えてきたら、次に閲覧を分析して改善するといった具合です。

ステージごとに設定するべき指標と目標値

ステップ 見るべきCV 主な施策 次ステップに進むためのしきい値
集客 流入ユーザー数 記事執筆、SEO、ソーシャルでの告知 月10,000人あるいは、本体サイト(CVが行われるサイト)と同規模の人数(*1)
閲覧 読了ユーザー数エンゲージメント率 記事テーマの取捨選択、記事の見せ方などのUI調整 記事読了35%以上
エンゲージメント率50%以上
再訪・誘導 再訪ユーザー数
誘導ユーザー数
再訪に繋がる記事の特定と離脱率の改善 改善前の数値の1.2倍
成果 コンバージョン数 記事からの誘導方法や誘導先の最適化、CVまでのステップやフォーム見直し オウンドメディアを流入元としたCV率がサイトの平均より高くなる

(*1)ただ取り扱っている市場の規模にもよるので、検索回数などを参考に調整を行う

自社の現在の数値を確認の上、どのステージから始めるべきか。まずはそのスタート地点を決めましょう。集客のしきい値を超えているのであれば閲覧からスタートするなど臨機応変に考えてください。

また上記のしきい値を盲目的に信じる必要は無く、自社で使えるリソースや、広告での集客なども関わってくるとまた数値は変わってきます。規模が大きい会社であれば、4つともコンバージョンとして設定し、改善活動に勤しんでも問題ありません。しかし、どのステップを最優先するかだけは決めておきましょう。

数値をGA4で確認するための方法

コンバージョンを設定することが出来たが、それをどのように数値で確認するのか。この時に便利なのがアクセス解析ツールを利用することです。ご存じの方も多いかと思いますが、アクセス解析ツールの代表的なツールであるGoogle Analyticsが6月末に計測を停止します。

support.google.com

そのかわりとして多くの企業が導入を進めているのが次期バージョンであるGoogle Analytics 4 (GA4)になります。

今回はこのGA4を利用して上記の数値を確認する方法を紹介いたします。まだGA4を導入していない場合は、既存のGA計測停止まで残りわずかですので、筆者のGA4ガイドなどを参考に導入を進めておきましょう。

www.ga4.guide

それでは各数値の確認方法を紹介していきます。

流入ユーザー数の確認

GA4の探索レポートを利用してレポートを作成します。

  • 形式:自由形式
  • ディメンション:ランディングページ
  • 指標:アクティブユーザー
  • フィルタ:オウンドメディアのディレクトリに絞り込む

上記の表で記事ごとの流入人数を確認することが出来ます。時系列で確認したい場合は、ディメンションに「日付」を入れて、日付順に並び替えましょう(フィルタや値の設定はそのまま)。

これで集客の推移をチェックできます。

エンゲージメント率と読了ユーザーの確認

エンゲージメント率という単語に耳慣れない方も多いかと思いますが、GA4で導入された直帰率の置き換わる新しい指標になります。訪問単位でエンゲージメントがあったか(1)なかったか(0)が判定され、エンゲージメント数 ÷ セッション数 = エンゲージメント率となります。

エンゲージメントの定義は以下の3つのいずれかを満たした場合にカウントされます。

  1. 10秒以上の滞在(管理画面で変更可能)
  2. 2ページ以上閲覧した
  3. コンバージョンした

となります。ユーザーがサイト理解に繋がる行動がエンゲージメントとなるため、エンゲージメント数やエンゲージメント率が高いほうが良いという点は直帰率と逆になります。

エンゲージメント率を確認するためには、先程の表にエンゲージメント率を追加しましょう。

1位の記事は流入は多いですが、エンゲージメント率が平均より低いことがわかり改善の余地がありそうです。

読了率は、記事を最後まで読んだ人数 ÷ 記事閲覧人数 で計算がされます。読了率の計測に関しては、スクロールで取得しても良いのですが、記事の終わる高さ(パーセンテージ)が記事の長さによって変わってしまうため推奨はしません。

そこで記事における最後の要素(通常はソーシャルブックマークボタンなど)が表示されたら、そこで読了とするという方法を取ると良いでしょう。

実装方法に関しては本記事では詳しくは触れませんが、筆者が書いた以下の記事を参考にしていただければ幸いです(Googel Tag Managerでの設定が必要になります)。

www.ga4.guide

設定が完了したら、探索で別のレポートを作成します。

  • ディメンション:ランディングページ、イベント
  • 指標:イベント数
  • フィルタ:オウンドメディアの記事に絞るためのフィルタ 及び イベント名:読了表示ように作成したイベント名 含む

これで各ページの読了数を見ることができます。読了率を出す場合は(面倒ですが)それぞれのレポートをダウンロードして、GoogleシートやExcelで割り算して計算する必要があります。

再訪ユーザーと離脱ユーザーの確認

次に再訪と離脱に関しても見ていきましょう。再訪を見るためにはエンゲージメント率を追加した表に対して更に「新規ユーザー数」と「リピーター数」を追加します。

この2つの指標の追加により、新規獲得につながっている記事、そしてリピーターが見ている記事がわかります。特に大切なのはリピーターが見ている記事となります。これらが高い記事は複数回訪問者が見ている事になり、多くのサイトでは複数の訪問が最終的なコンバージョン率アップに繋がります。

離脱ユーザーに関しても見ていきましょう。上記の表に更に指標を追加していきます。追加するのは表示回数と離脱率です。こちらも一手間ですが、データをダウンロードして、離脱数÷表示回数を利用すると離脱率を計算できますので、離脱率が高い記事と低い記事を確認しましょう。離脱率が低い記事は、他の記事やページを見に行ったという動きになり、今後成果に貢献しやすいページとなります。

コンバージョン数と率

最後にCVについて確認をしていきましょう。まずはGA4側でのCVを登録していない場合は登録が必要となります。未設定の場合は以下の記事を参考にしてみましょう。

www.ga4.guide

CVの設定が完了しましたらレポートを更に拡張していきます。「コンバージョン」と「ユーザーコンバージョン率」の2つの指標を追加しましょう。

コンバージョンは、該当ランディングページから入ってきた人が合計で「何回」コンバージョンしたかがわかります。複数回コンバージョンした場合はその回数分だけカウントされます(コンバージョンの初期設定ルールでは)。

ユーザーコンバージョン率は 該当ランディングページ経由でコンバージョンした人数 ÷ アクティブユーザー数で計算されています。セッションのコンバージョン率という指標もあるのですが、オウンドメディアの場合はその訪問時にいきなり最終CVするとは限らないため、ユーザーコンバージョン率を利用しています。

こちらの方法ですと、初回でオウンドメディアの記事を閲覧、2回目に検索とサイトのTopに入ってきてコンバージョンした場合も初回のオウンドメディア記事が貢献としてカウントされます。

まとめ

今回はオウンドメディアで見るべきコンバージョンをステージで考えるということと、それぞれの数値をGA4で確認する方法を紹介いたしました。次回はこれらデータを元に分析を行い、具体的な改善案や事例について触れていきますので、お楽しみに!

* *

今回、寄稿いただいた小川卓氏によるGA4移行に関する連載記事もあわせてご覧ください。

business.hatenastaff.com

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また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

business.hatenastaff.com

本勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報をおまとめいただいておりますので、ご希望の方は必要情報をお送りください。(はてなからオウンドメディアに関するセミナーや商品のご連絡をさせていただきますので、あらかじめご了承ください。)

【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード

GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
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著者名:小川卓 株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。