株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(id:ryuka01)です。
Google Analytlcs 4 (以下、「GA4」)は2022年に正式リリースされてからも継続的にアップデートを重ねています。今回の記事では、2024年1月以降に行われたアップデートをまとめて紹介いたします。
アップデートによって何が変わったのか、どう活用できるのか?そして筆者が考える役立ち度(5段階評価)も紹介いたします。対象が非常に限られているものや、影響が無いものはピックアップしません。それでは時系列で早速みていきましょう。
※リリース日は公式サイトでのアナウンス日を参照していますが、各アカウントへの反映はその前後に行われており一定ではありません
- 2024年2月8日:手動トラフィックソースのディメンションとレポート追加
- 2024年2月24日:「広告」メニュー内のレポートと仕様が更新
- 2024年2月28日:メインのチャネルグループ追加
- 2024年3月20日:ユーザー提供データをハッシュ化して収集
- 2024年3月27日:「コンバージョン」が「キーイベント」に変更
- 2024年5月7日:レポート内の「比較」機能が進化
- 2024年5月20日:レポートのエクスポートがスプレッドシートに対応
- 2024年5月28日:レポートのグラフで日、週、月が選択可能に
- 2024年6月4日:リアルタイムで最新5分の数値も確認可能に
- その他の細かいアップデート
- まとめ
2024年2月8日:手動トラフィックソースのディメンションとレポート追加
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#020824
- 重要度:★★★(チェックしておいた方が良い)
流入元を特定する流入元に「手動」という項目群が増えました。
「手動」とついている流入元は「広告パラメータ(URLの後ろにつけるutm_XXXXのパラメータ)」の値を取得する機能です。手動とついていない流入元に関しては広告パラメータがついている場合は広告パラメータを取得し、そうではない場合は流入元によって自動的に付与したり(例:Googleやt.coなど)空白になります。
会社として広告パラメータをつけた流入元だけを抽出できるので、そういった単位で分析する場合にオススメなディメンションとなります。
2024年2月24日:「広告」メニュー内のレポートと仕様が更新
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#022224
- 重要度:★★(広告連携していなければ重要度低め)
GA4のレポート群の1つである「広告」に変更が加わりました。まず仕様変更としてGoogle広告関連のサービスを利用してGA4と連携している時のみしか見ることができなくなりました。Google広告関連サービスの例は「Google 広告」「AdSense」「AdMob」「Google アドマネージャー」などになります。
コンバージョン数に関するレポート、コンバージョンした人の流入経路分析、広告費用やCPAなどが中心です。
広告連携をしていなくても、コンバージョンした人の経路分析などは便利だったので、使えなくなって困るケースもありそうです(他のレポートでは再現出来ないので)。
2024年2月28日:メインのチャネルグループ追加
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#022228
- 重要度:★(カスタムチャネルグループを作成していない場合は影響なし)
流入元の一番上位の分類である「チャネルグループ」こちらをカスタマイズする機能は以前から用意されていました。
カスタムチャネルで設定したチャネルのうち、どれを「メイン」に選ぶかを決めることができるようになりました。この機能追加により、「メインのチャネルグループ」のディメンションを選んだ場合に、ここで設定したグルーピングでレポートが表示されます。
なお、カスタムチャネルグループを設定していない場合は、「メインのチャネルグループ」と「デフォルトチャネルグループ」は同一になるため気にする必要はありません。
2024年3月20日:ユーザー提供データをハッシュ化して収集
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#032024
- 重要度:★★(一見魅力的ですが、実装・利用には注意が必要)
GA4にメールアドレスや名前などの「個人情報」をハッシュ化(匿名化)して計測するための機能が実装されました。本機能を利用すれば、サイトでのフォーム入力時などに取得した情報を安全にGA4に送り、同一人物であることを特定することができます。
本機能の利用には会員ID(User-ID)の設定は必要なく、ユーザーを識別する新しい識別子として利用することができます。また広告配信の条件として利用することも可能です。
魅力的な機能ではあるのですが、注意点がいくつかあります。
・Google広告との連携が必要
・別途Google Tag Managerなどで実装と設定が必要
・ユーザー提供データの機能に関するポリシーへの準拠が必要(ユーザーに対してのプライバシーポリシーの開示と利用の同意を取得する必要がある)
詳しくは以下のヘルプを熟読したうえで、利用するかを検討してください。
support.google.com
2024年3月27日:「コンバージョン」が「キーイベント」に変更
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#032024
- 重要度:★★★★★(全員が知っておく必要あり)
GA4内における成果として設定する行動を「コンバージョン」と言います。こちらに関して名称が「キーイベント」に変更されました。機能的には今までの「コンバージョン」と一緒で、名称の変更が主です。
変更の経緯としては、Google広告で利用されているコンバージョンと異なる方法で測定されており数値の違いが発生していたため、名称変更を行ったようです。
名称変更に伴い各レポートでの名称やディメンション・指標名なども変わっています。
旧名称 | 新名称 | 意味 |
---|---|---|
コンバージョンです | キーイベントです | キーイベントとして設定しているイベントには「Yes」が付与されます |
コンバージョン | キーイベント | キーイベントの発生回数 |
セッション コンバージョン率 | セッション キーイベントレート | キーイベントが発生したセッション数÷セッション数 |
ユーザー コンバージョン率 | ユーザー キーイベントレート | キーイベントが発生したユーザー数÷ユーザー数 |
また今までレポート>エンゲージメント>コンバージョン内にあったレポートはこの変更に伴いなくなりました。「レポート>エンゲージメント>イベント」内でキーイベントとして登録したイベントを確認するか、レポートをカスタマイズして「キーイベント」の指標を追加する必要があります。
以下の画像のように、イベントのレポートを編集し「キーイベント」を指標として追加しましょう。0ではないイベントがキーイベントに該当します。
2024年5月7日:レポート内の「比較」機能が進化
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#050724
- 重要度:★★★★(比較機能を使ったことがある方は要チェック)
GA4の「レポート」メニュー内に用意されている「比較」機能は、特定の流入やデバイスカテゴリだけのユーザーに絞ってデータを見るなど便利な機能でした。
しかし、この比較機能に関しては「名称をつけることが出来ない」「保存出来ない」「テンプレートが最初から用意されていない」など使いづらい要素が沢山ありました。
これらが改善されてより「比較」機能が使いやすくなりました。各レポートの右上にある「比較」アイコンを押すと、新たなメニュー画面が開くようになりました。
またこの画面から新たに比較を作成することができます。以下はデスクトップで/contactを閲覧したという条件設定になります。
保存ボタンを押すと名称がつけられるようになり、GA4にログインできる他の方も見ることが出来ます。なお保存機能は「管理者」あるいは「編集者」の権限を持っている人しか利用できません(適用して一時的に利用することは他の権限でも可能)。
保存した比較が反映されるように、以下のような形でレポートを見ることができます。
ちょっとしたデータの絞り込みや特定の条件を満たした人数などを見たい時に便利なので積極的に活用してみましょう。
2024年5月20日:レポートのエクスポートがスプレッドシートに対応
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#050724
- 重要度:★★★(今まで文字化けに苦労していた方へ)
GA4の探索機能ではスプレッドシートへの出力が可能だったのですが、レポートでもようやく対応されました。
CSV形式でダウンロードしてExcelで開くと日本語が文字化けして困る問題が発生していたのですが、このお陰で課題解決されました。ようやく対応されて助かる人も多いのではないでしょうか。
2024年5月28日:レポートのグラフで日、週、月が選択可能に
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#052824
- 重要度:★★★★(今まで勝手に期間によって最適化されていました)
各レポートで表示される折れ線グラフは今まで、粒度(データの細かさ)を選ぶことができず、選んだ期間によって勝手に日とか週が選ばれていました。自分が見たい単位でデータが見られず不便だと感じた方も多いのではないでしょうか。
今までは探索レポートを作成して自分で用意する必要がありましたが、画面上で簡単にチェックできるようになりました。
数値の時系列での変化を見るうえでは欠かせない機能なので実装されて良かったです。
2024年6月4日:リアルタイムで最新5分の数値も確認可能に
- https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja#060424
- 重要度:★★(普段からどれくらいリアルタイムレポート見ているかによる)
リアルタイムレポートでは直近30分のユーザー数しか見ることが出来なかったのですが、こちらに新たに5分間のユーザー数が増えました。
棒グラフでは1分単位でのデータも確認可能です。リアルタイムレポートは会社によって大きく利用頻度が変わります。アプリ(ゲーム)やニュースサイトなどではすごく重要なこともあれば、小規模のBtoBサイトなどでは全く見る必要がありません。
その他の細かいアップデート
その他のアップデートです。影響を受ける人は少ないかと思いますが、気になる方は公式ヘルプなどで詳細を確認してみましょう。
- ヘルプ機能の充実
- 有償版のGA4でのイベントパラメータの文字列が上限100⇒500に増加
- 中長期でのトレンド変化を表示するインサイトが登場
- Salesforceのデータ連携
- ユーザーデータインポートの機能進化(オーディエンスを即時反映)
- 有償版でレポート群単位での権限付与が可能に
- レピーとのメール即時配信(今まではメール配信スケジュール設定しかなかった)
まとめ
Google Analytlcs 4はアップデートが多いサービスです。把握するためには、まずは公式アップデートのページをチェックいただければ(英語版のほうが更新早いです)
ただ、ここに掲載されないような変化もあるので、その際には筆者のXでも随時紹介していますので、ご覧ください。
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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事もあわせてご覧ください。Google Analytics 4 でミスされやすい・誤解されやすい「設定」7選 - はてなビジネスブログ
また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
本勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報をおまとめいただいておりますので、ご希望の方は必要情報をお送りください。(はてなからオウンドメディアに関するセミナーや商品のご連絡をさせていただきますので、あらかじめご了承ください。)
【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード
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