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GA4連載第3回:「オウンドメディアサイト × GA4」で見るべきKPIや分析方法(寄稿:小川卓)

「オウンドメディアサイト × GA4」で見るべきKPIや分析方法

Google アナリティクス(以降「GA」)の利用停止が2023年6月末に迫ってきました。Googleは代替ツールとしてGoogle アナリティクス 4(以降「GA4」)を提供しており、多くの企業がGA4への移行を始めています。

support.google.com

しかし「GA4は難しそう」であったり「今はまだGAが使えるから大丈夫」ということでGA4の移行を行っていないサイトも多いのではないでしょうか。3回シリーズとして、GA4の導入や設計など数多くの案件に携わっている株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)がGA4に関しての連載を寄稿させていただくことになります。

全3回の内容は以下の通りとなります。


そもそも、オウンドメディアのKPIとは?

オウンドメディアの収益構造は以下のような形で表すことができます(広告掲載モデルの場合)。

収益額 = 訪問者数 × 1人あたりの訪問回数 × 訪問あたりの平均ページビュー数 × ページビューあたりの収益

上記が基本方程式で、オウンドメディアの種別によって若干変わってきます。

  • アフィリエイトモデルは「ページあたりの収益」が「クリック率 × クリック後の成約率 × 成約単価」になるでしょう
  • 自社ECサイト誘導による収益は「ページあたりの収益」が「クリック率 × 購入率 × 購入単価」になります
  • 特にオウンドメディア単体で収益を上げることを考えていない場合は、自社他サイトへの遷移数などで見ても良いかもしれません

なお、上記で表した項目群は「KPI」ではありません。KPIとはこの項目群の中から特に重要(= Key)となる施策に対して設定する指標になります。

例えば訪問者数であれば「ソーシャルメディアからの集客数」や「自然検索流入からの集客数」になりますし、1人あたりの訪問回数であれば「2回目の訪問回数」や「10回以上の訪問回数」などターゲットを定める必要があります。訪問あたりの平均ページビューも直帰率が課題なのであればKPIは「直帰率」でしょうし、直帰率に問題がなければ「複数記事閲覧率」などが考えられます。

KPIはどのような施策が自社内で実行出来るかを元に方針を決めてみましょう。そして大切なのはこれらの数値をGA4でしっかりチェックすることです。



「探索」を活用しよう

GA4には大きく分けて「レポート」と「探索」の2つのレポート群があります。前者は前回の記事で紹介したように、特定のメニューを選ぶと、それにあった内容の数値が出てきます。

これらのレポートは健康診断には便利なのですが、KPI設定や分析を行う際には不便です。

レポートの例


そこで「探索」を利用することにより、更にデータを一段と深く活用出来るようになります。しかし「探索」を使い始める前に、改めてオウンドメディアで見るべきKPIについて考えていきましょう。

探索の例

GA4での数値の確認方法

KPI候補となり得る指標の確認方法をまとめました。「探索」での表示方法になります。

指標 *探索で選択する指標
訪問者数 ユーザーの合計数
リピートした人数 リピーター
新規の人数 新しいユーザー
セッション数 セッション
エンゲージセッション数 エンゲージのあったセッション数
(ページごとの)流入数 閲覧開始数
ページビュー数 表示回数
平均閲覧ページ数 セッションあたりのページビュー数
売上 eコマースの収益
購入回数 eコマースの購入数
ユーザーあたりの売上 ユーザーあたりの平均購入収益額
コンバージョン数 コンバージョン
セッション単位のCVR セッションコンバージョン率
ユーザー単位のCVR ユーザーコンバージョン率
エンゲージメント率 エンゲージメント率
直帰率 直帰率(UAの定義とは違い 1-エンゲージメント率です)
離脱数 離脱数
平均滞在時間 セッションあたりの平均エンゲージメント時間


これらの指標を「自由形式」のレポートで追加することで数値が確認出来るようになります。以下のレポートは日ごとの主要指標になります。




推奨探索レポート3選と分析活用方法

様々な項目があるために、どういったレポートを作成すればよいか悩むかもしれません。オウンドメディアならではの気付きや分析に活用出来る3つのレポートを紹介いたします。

1:目標到達プロセス

目標到達プロセスはサイト全体の遷移を見る上で欠かせないレポートです。例えばオウンドメディアを持っていて、そこから商品サイトに案内し、購入をしてもらうというコンバージョンへのルートがあったとします。その際に、どこでユーザーが離脱しているのか?改善ポイントを見つけるために作成して置くことをオススメします。

それでは作成例をみてみましょう。



目標到達プロセスデータ探索を使い、4つのステップを追加しました。「記事閲覧」「商品ページ」「カート追加」「購入」になります。

作成方法としては、各ステップで条件を追加していく形になります。「ステップ」の横にある鉛筆アイコンを押すと編集画面が出てきますので、各ステップの条件を追加しましょう。



自社サイトのURLにあわせて適切な条件を設定しましょう。


活用方法

コンテンツが成果にどれくらい貢献しているかを簡単に把握できます。またそれぞれのボリュームや次ステップの遷移率を見ることが出来るので、サイト内改善を行った際に、どの数値が改善されたかを確認することができます。

また本レポートでは、内訳機能を利用することが出来るので、例えばデバイスごとや流入元ごとの遷移率、時系列でのデータも簡単に見られるので、深掘りが可能です。これらの数値をKPIとしてオウンドメディアの評価をしても良いでしょう。



表現方法を「使用する目標到達プロセスのグラフ」に変更し、日ごとの推移をチェックします。



2:ランディングページレポート

記事単体の評価を行うために活用するレポートになります。


  • ディメンション:ランディングページ + クエリ文字列
  • 指標:セッション、エンゲージメント率、離脱数、セッションあたりの平均エンゲージメント時間、コンバージョン、セッションのコンバージョン率


活用方法

どの記事の閲覧多いか(セッション)ということもそうですが、その後しっかり読んでくれたのかを把握する(エンゲージメント率 及び セッションあたりの平均エンゲージメント時間)、他ページへの誘導が出来ていないページは(離脱数)、成果につながっているかを把握します(コンバージョン、セッションのコンバージョン率)。

活用をする際には、記事の「タイプ」によって重要視するべき指標によって変わってきます。集客目的の記事であればセッションが重要になりますし、コンバージョンへの貢献を重視した記事ではコンバージョンやセッションコンバージョン率が大切となります。なお、セッション中でのコンバージョンが難しいような記事(主に集客系)はセッションコンバージョン率ではなく、ユーザーコンバージョン率を指標に追加することで記事の間接効果を見ることが出来るようになります。



3:新規集客レポート

新規集客レポートでは、新規ユーザーをどの流入元で獲得出来たのか?そしてその後のユーザーの動きを見るためのレポートです。


  • ディメンション:最初のユーザーのデフォルトチャネルグループ(更に細かく見たい場合は最初のユーザーの参照元/メディアを利用)
  • 指標:アクティブユーザー数、リピーター、ユーザーあたりの平均セッション、エンゲージメント率、コンバージョン、ユーザーコンバージョン率
  • セグメント:ブログ流入ユーザーなど必要に応じて絞り込む


活用方法

まずは新規ユーザーがどこから獲得出来ているのかをアクティブユーザー数をみてチェックしましょう。その上で大切になるのが、その隣りにある「リピーター」です。この数値は新規訪問があったうち、何人がリピーターとなって再度サイトに訪れてくれたかがわかります。このリピーターあるいはリピート率(リピーター ÷ アクティブユーザー数)を見ることで再訪に貢献している流入元がわかります。

更に継続して訪れているかを見るための「ユーザーあたりの平均セッション数」、そして成果につながっているのかのコンバージョン数、ユーザーコンバージョン率を見ることで、回遊や成果につながっているかもわかります。

このレポートひとつで集客の効果を可視化出来るので作成をオススメしたいレポートです。



まとめ

Google アナリティクス 4をオウンドメディアサイトで見る際に必要な探索機能の紹介と、その中で特に重要な3つのレポートを紹介いたしました。どういった数値を見るか迷った方は、まずはこの3つのレポートを作っておけば数値を見ながら運用や改善活動が開始できます。ぜひ、作成にチャレンジしてみてください!書いてあるとおりに設定することで、10分もあれば作成可能です。


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今回、寄稿いただいた小川卓氏によるGoogleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポート記事もあわせてご覧ください。
business.hatenastaff.com

本勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報をおまとめいただいておりますので、ご希望の方は必要情報をお送りください。(はてなからオウンドメディアに関するセミナーや商品のご連絡をさせていただきますので、あらかじめご了承ください。)

【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード

GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
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著者名:小川卓 株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。