株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(id:ryuka01)です。
全2回で、オウンドメディアのコンバージョン改善方法について紹介をしていきます。前回は、オウンドメディアで設定するべきコンバージョンは何か?そしてそれらの数値を最新のアクセス解析ツールであるGoogle Analytics 4でどのように設定し確認するかを紹介いたしました。まだ見ていない方は、ぜひ記事をご覧の上、今回の内容を見ていただけるとより理解が深まるかと思います。
さて第2回の記事では、データを取得しレポートを作成した上で、どのように改善案を考えていくのか?その具体的な方法を紹介していきます。
オウンドメディアには3種類の役割がある
まずひとつ理解しないといけないのが、「すべての記事がコンバージョンに繋がるわけではない」ということです。
オウンドメディアを執筆する上で意識してほしいポイントが1つあります。それは「該当する記事の役割」を明確に決めて書くことです。私はオウンドメディアには3種類の記事があると考えています。
その3つとは「集客を目的とした記事」「ニーズを具現化し不安解消する記事」そして「成果に繋がる記事」です。
例えば旅行会社のオウンドメディアを例に考えてみましょう。「集客を目的とした記事」というのは、検索回数が多い、ニーズが高い記事です。例えばこんなタイトルになるかと思います。
「台湾旅行必見!絶対外せない人気観光スポット10選」
「台湾の隠れた絶景スポットを発掘!穴場観光地5選」
「台湾グルメ&カルチャーを楽しむ旅へ!おすすめスポット&体験10選」
(Chat GPT 3.5 May 12 Versionにて作成)
つまり、まずは自社のサービスを案内するというよりは旅行に行きたいなと思わせるためのコンテンツです。しっかりとしたコンテンツを作ることができれば、集客に繋がります。
しかし、この記事を読んだだけで、いきなり旅行会社で申し込んでくれるとは限りません。あくまでもまずは人を集めて興味をもってもらうことが役割です。実際に行こうとなると、色々と考えたり決めたりしなければいけません。
どれくらいの予算がかかるのか?コロナ禍は大丈夫なのか?主要なスポットを見るには何日間かかるのか?事前に準備しなければいけないことは?といった疑問が出てきます。
これを解決するのが2つ目の記事である「ニーズを具現化し不安を解消する記事」になります。たとえばこんなタイトルになるかと思います。
「台湾旅行の隠れたトラブルに備えよう!事前準備と注意点」
「台湾旅行で知っておきたい!お金や通信、交通に関する情報まとめ」
「台湾旅行の楽しみ方!地元民から学ぶマナーやおすすめグルメ」
(Chat GPT 3.5 May 12 Versionにて作成)
2つ目の記事の目的は、「読者の不安を解消し、現実に落とし込むこと」です。これにより、期待感を高めることが目的です。そのために記事をしっかり最後まで読んでもらうこと、そして検討をしてもらうことが重要になります。
さて実際に行こうと思ったら、実際にプランを組んで申し込むというステップになります。この部分に対応するのが3つ目の記事である「成果に繋がる記事」です。ここでは具体的に自社の旅行会社の特徴や魅力をしっかり伝えましょう。その内容が魅力的であれば、読者はこの旅行会社で申し込むことを具体的に検討してくれます。たとえばこんなタイトルになるかと思います。
「旅行会社にこだわる理由は?安心・充実のサービスがもたらす旅の魅力」
「他社との違いはどこに?旅行会社のこだわりと強みを解説」
「旅行会社が提供するお得な特典やサービスとは?魅力を比較してみよう!」
(Chat GPT 3.5 May 12 Versionにて作成)
3つ目の記事の目的は、コンバージョン(この場合は予約申し込み)に貢献することです。そのために記事から旅行会社やプランへの誘導をしっかり行い、成果により貢献している記事が良い記事となります。
3種類の記事を評価するためにGA4で行う分析
前回の記事で、最後に紹介したレポートを改めてみてみましょう。
上記のレポートが3種類の記事を評価する上でまず見るべきレポートとなります。
全部で8つの指標(数値)が記事ごとにありますが、記事種別ごとの優先順位が高い指標は以下のとおりです。
記事種別 | 指標の優先順位 |
集客 | アクティブユーザー数・新規ユーザー数 |
ニーズ具現化 | リピーター数・エンゲージメント率・平均セッション時間 |
成果 | 離脱数・コンバージョン・ユーザーコンバージョン率 |
集客目的であれば人を集めること、そして特に新規の人に見てもらうことが大切なので「アクティブユーザー数」「新規ユーザー数」が多い記事が良い記事になります。
ニーズ具現化に関しては少し興味を持っている人達を後押しするため「リピーター」を集め、その人にしっかり記事をよんでもらうため「エンゲージメント率」や「平均セッション時間」を確認しましょう。さらにカスタマイズしてGA4の設定を行えば、読了率やスクロール率を取得出来るのであわせて利用しましょう。
読了率やスクロール率の設定方法は筆者サイトの以下ページをご覧ください。
www.ga4.guide
中間成果としてメールマガジンの登録や資料ダウンロードのコンバージョンを用意出来る場合は、それらもこのニーズ具現化のタイミングで評価しておきましょう。
成果に関しては読んでもらった後に離脱をせず、申込みサイトやコンテンツに移動し完了してもらうことです。そのため離脱率は低いほうが望ましく(離脱するとコンバージョン出来ないため)貢献量を評価するためにコンバージョン、そして貢献効率を評価するためにコンバージョン率を確認します。
大切なのは、3種類の記事に分けていますが、実際にデータを見てみると、1つの記事が2つあるいは3つの役割を果たしている可能性があることです。そして全く役割を果たしていない(集客にも、閲覧にも、成果にもつながっていない)記事もあるかと思います。
以下のようなシートを作成して記事の評価を行うと良いでしょう。
※ 先程の探索レポートをダウンロードしExcelあるいはGoogle Sheetsで集計しましょう。
データを元に集客・ニーズ・成果に3つに分けています。
どの分類に属するかに関しては、それぞれの指標が平均値や中央値より高いといった観点で「ざっくり」つければOKです。ここでは大枠が分類できればOKです。
また自社サイトの記事数にもよりますが、アクティブユーザー数が多い上位数十%の記事を見るだけでも十分かと思います。分析精度の観点からも、読者が求めている内容の観点からも閲覧者が少なすぎる記事はいったんおいておきましょう。
分類をした上で大切になるのが、分類内で特徴が無いかを発見することです。
それぞれ3種類の記事タイプで見るべきポイントは以下のとおりです。
【集客】
- 記事カテゴリやタイトルの特徴を確認
- サーチコンソールなどを使って上位記事のキーワードを確認する(+現在の順位を確認)
- 記事の文量
- 記事の公開日や最終更新日
【ニーズ】
- 記事カテゴリやタイトルの特徴を確認
- サーチコンソールなどを使って上位記事のキーワードを確認する(+現在の順位を確認)
- 記事の文量
- 画像や見出しの利用量
【成果】
- 記事カテゴリやタイトルの特徴を確認
- サーチコンソールなどを使って上位記事のキーワードを確認する(+現在の順位を確認)
- どのような方法でコンバージョンへ誘導しているか
- コンバージョンへの誘導回数や掲載箇所
これらを見ていくと、それぞれの「特徴」が見えてくるはずです。特徴を参考に狙った記事を書いてみて、公開後にその成果を確認しましょう。そうすると、自分たちが出した仮説や特徴があっていたか?を検証することができます。
閲覧や回遊を改善するための方法は、以前「週刊はてなブログ」でも寄稿させていただきましたので、あわせてご覧ください。
まとめ
今回はオウンドメディアの記事を、GA4で数値を活用して3種類に分類して改善していくという内容を紹介いたしました。どの記事種別を優先すれば良いのか?と聞かれることもありますが、前回紹介した「集客→閲覧→誘導→成果」を左側から順番に行っていきましょうと説明した通り、今回も優先度としては「集客→ニーズ具現化→成果」となり、前回の内容と連動している事がわかるかと思います。
テクニックとしての改善TIPSは色々あれど、最終的に大切なのは上記を意識しながら、記事作りをしっかりと「運用」していくことです。毎月10本記事を書くことを目的にはしないでください。筆者であれば、10本記事を書く時間を以下のように分配します。
- 6本の新規記事を書く(そのうち3件集客・2件ニーズ・1件成果など明確に内訳を決める)
- 2本の記事を書く時間でデータを確認する
- 2本の記事を書く時間で既存の記事を4本修正あるいは追加する
といった具合です。
効率よく、そして読者と自社のニーズを満たせるようにオウンドメディアの運営にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
* *
今回、寄稿いただいた小川卓氏によるGoogleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。本勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報をおまとめいただいておりますので、ご希望の方は必要情報をお送りください。(はてなからオウンドメディアに関するセミナーや商品のご連絡をさせていただきますので、あらかじめご了承ください。)
【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード
GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
(個人情報の取り扱いについては、こちらをご確認ください。)
この記事に関連する資料はこちら!