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【フォーネスライフ/三井住友海上/LINEヤフー登壇】マーケティング戦略におけるオウンドメディアの役割と課題 - はてなマーケティングセミナーレポート

はてなでは、2024年6月20日(木)に、企業のWebマーケティング・広告・宣伝・広報ご担当者様を対象にした無料オンラインセミナー「マーケティング戦略におけるオウンドメディアの役割と課題」を開催しました。

ゲストにフォーネスライフ株式会社/三井住友海上火災保険株式会社/LINEヤフー株式会社のオウンドメディアご担当者様をお迎えし、マーケティング戦略におけるオウンドメディアの役割、KPIなどについて、テーマに沿ったトークセッション形式でご紹介いただきました。

この記事では、その一部をご紹介します。

登壇者紹介

  • 三井住友海上火災保険株式会社 CXマーケティング戦略部 CXアドクリエーションチーム 課長代理  野村美紗季氏
  • LINEヤフー株式会社 経営企画・事業開発統括本部 法人マーケティング本部 コンテンツマーケティングチーム・ナレッジマーケティングチーム リーダー 山田賢人氏
  • モデレーター:株式会社はてな 執行役員 コンテンツ本部長 大久保亮太

セッションレポート

1. オウンドメディアの役割

セミナーでは、トークテーマに沿ったセッションを展開しました。最初のテーマは、本セミナーのタイトルにもある「マーケティング戦略におけるオウンドメディアの役割」についてです。

みなさまにご説明いただいた内容を抜粋します。

lala a live(フォーネスライフ株式会社)

フォーネスライフ株式会社では、約7,000種類のタンパク質を分析して将来の疾病リスクや現在の体の状態を可視化し、「発症」の前に対策に役立てることのできる検査サービス「フォーネスビジュアス」を提供しています。

foneslife.com

認知症や心筋梗塞/脳卒中、肺がん、慢性腎不全などの将来の発症リスクを知ることができる画期的なサービスである一方で、サービスの特長や、結果をどのように活かして生活改善や対策につなげるのかといったことが伝わりづらいという問題がありました。その問題を解決し、サービスの認知拡大や理解促進、そしてオンラインマーケット(商品購入サイト)への送客を目的に、オウンドメディア「lala a live」を立ち上げました。

foneslife.com

マーケティング施策としては、テレビCMを中心とした大規模なプロモーションや、それに合わせた運用型広告なども実施しているなかで、フォーネスライフ塚田さんは「lala a live」の位置づけを「そうした施策に頼らずに、安定的な集客やコンバージョンが発生するチャネルにすることが目的でした」と説明します。

「フォーネスビジュアス」はユーザーの人生に大きな影響を与えうるヘルスケアや検査の領域の商材であることから、サイトの商品紹介ページでは誤解を生まずに端的に正しい説明をしていく必要があります。一方で、商品に関連する「堅苦しすぎない」、自由度の高いコンテンツ発信を通じて認知や興味のきっかけを作ることが「lala a live」の役割です。

「lala a live」のコンテンツについて塚田さんは「役割ごとに記事をHERO / 理解促進 / 検索からの流入 に分けて企画しています。著名人やインフルエンサーにご協力いただく記事によって集客し、サービスの理解を促進するコンテンツに遷移させ、そこから購入サイトでコンバージョンするといったジャーニーを想定しています。実際理想的なジャーニーでのコンバージョンも発生していて、それぞれの記事がしっかり役割を果たして効果につなげてくれていることを実感しています」と説明しました。

HEROコンテンツの例

理解促進コンテンツの例

くるまも(三井住友海上火災保険株式会社)

損害保険は、1998年に自動車保険等の主要商品について保険料率が自由化されるまで、どの会社でも同じ補償内容、同じ保険料率で販売していたという非常に規制が強い業界です。自由化以降は、全国の地域密着型の代理店をパートナーとして、プッシュ戦略で販売してきた自動車保険も、顧客のデジタルリテラシーの高まりや代理店を通さないダイレクト型保険のシェアの増加など、3Cが変化してきている状況です。

https://www.ms-ins.com/personal/car/gk/car01.html

三井住友海上 野村さんは「我々も、お客様や競合の変化に合わせて、変わっていかなくてはなりません。特に、これから保険を検討する若年層の認知を獲得をする必要があり、マーケティングミックスで保険の便益を訴求していくことが重要です」と説明します。

差別化しにくくコモディティ化した損害保険という商品の拡販にあたり、体験価値で勝負する方向にかじを切るため、三井住友海上はCXマーケティング戦略部を立ち上げ、高度なデータ分析力などを活かしたCX向上を目指しています。

野村さんは「CXマーケテイング戦略部は、昨年私が入社した際は30名ほどでしたが、現在は70名ほどに拡大しており、マーケティング全般を担っております。データに強いメンバーが多く在籍しており、PESOを活用したプロモーションをデータドリブンで行っていくという方針のもと、さまざまな施策が実行されています。そのなかで生まれた【くるまも】は、これまで代理店経由の契約が多く、若年層であるデジタルネイティブ世代へのアプローチができていないという課題を解決する役割を持っています。客観的なデータを元に施策実行の判断をしていくと前提ではあるものの、最初は保険契約というコンバージョンからは遠い、車のある生活の良さや楽しさが伝わるようなコンテンツを用意して、好意度形成や認知獲得を目指しているところです」と説明しました。

www.ms-ins.com

「くるまも」の立ち上げの戦略設計では、2年間を3つのフェーズに分けた成長イメージを作成しており、実際の資料をご紹介いただきました。

現在は第2フェーズから第3フェーズに差し掛かっているところで、現時点でブランド認知や好意度をデータで可視化するために実施した「ブランドリフト調査」ではポジティブな結果も出ています。

おなじみ(LINEヤフー株式会社)

LINEヤフー株式会社では、現在、「コミュニケーション」「広告」「販促」を軸に20を超える法人向けサービスを提供しています。

そのなかで、マーケティングにおける注力プロダクトは「LINE公式アカウント」「LINE広告」「Yahoo!広告」の3サービスが設定されています。

23年10月の会社統合により、旧LINE社・旧ヤフー社で運営していた3つのサイトも統合され「LINEヤフー for Business」がリリースされました。新規・既存のユーザーを問わず、各種法人向けサービスに必要なアカウント開設や管理画面ログインなどの主要導線となるポータルサイトです。

www.lycbiz.com

その「LINEヤフー for Business」に紐づく形で、プロダクトや役割別のオウンドメディアが複数展開されています。

それらのメディアの中から、本日は「LINE公式アカウント」の潜在層に向けた認知拡大・ユーザー獲得を目的に運営している「おなじみ」での取り組みを中心にご説明いただきました。

onaji.me

「おなじみ」のターゲットの設定についてLINEヤフー 山田さんは「LINE公式アカウントの幅広いターゲットのなかでも、導入率や利用率に課題のある中小企業の店舗や個人事業主の方をメインターゲットに設定しました」と説明しました。

また、そのターゲットへのアプローチとして、オウンドメディアというマーケティング手段を選択した背景にあった課題についても公開しました。

リリースから3年の変遷について、モデレーターの大久保から質問が出ると「事業の課題やそれに紐づく全体のマーケティング戦略が変化するたびに、オウンドメディアの戦略や目的も変化した」とのこと。

山田さんは「1年目はとにかくメディアの認知を取るためにPVやコンテンツの拡散を意識した記事の企画を優先していました。一定の結果が出た2年目以降からは事業貢献を考えはじめました。事業貢献については、紐づくサービスの課題や戦略によって都度方針やKPIを見直しています。」と説明します。

また、社内の合意形成については「潜在層への認知・興味・関心を目的にするマーケティング施策の中で、分かりやすいのはテレビCMやディスプレイ広告です。費用対効果さえ説明できれば、社内での理解は得られやすいと思います。一方、コンバージョンからは遠いと見られているオウンドメディアの場合、その戦略や目的はもちろんのこと、資産としてのコンテンツの価値、長期的な視点での費用対効果などについて、詳細に説明する必要がありました。」と説明します。

2. オウンドメディアのKPIと成果

次のトークテーマは「KPIと成果」です。

1のテーマとも重複しますが、改めて各社のKPIをまとめた資料が以下になります。


lala a live(フォーネスライフ株式会社)

「lala a live」では、扱う商材の難しさも考慮して、まずはしっかり媒体力をつけることに注力するため、KPIでもPVを重視していたそうです。

塚田さんは「そもそもの数が足りないというのでは困りますので、最初はPV。そこから先ほどお話した、HERO / 理解促進 / 検索からの流入というそれぞれの記事のシナジーや成果が見られるように、商品ページへの遷移なども併せて見るようにしています」と説明します。

大久保から1年経過した今の成果について聞かれると「初年度であることを考慮するとPVはうまく行っていると言えます。検索からオウンドメディアの記事を読んでいただいた方が、遷移してコンバージョンする、という理想的なジャーニーでの成果も出てきています。今後はこの数をもっと育てていきたいと思います」と回答しました。

くるまも(三井住友海上火災保険株式会社)

「くるまも」でも、立ち上げから1年半というフェーズであるため、いまはPV/UUを重要に考えているとのこと。

大久保からテーマ1で共有された「メディア成長イメージ」と「認知度・好意度」の確認のために実施しているブランドリフト調査について詳細を質問されると、野村さんからは「第2フェーズでは、くるまもが三井住友海上のメディアであることの認知を獲得できているかを確認するとともに、今後のブランドへの影響を定点観測することを目的に、ブランリフト調査を実施しました」と説明がありました。

23年10月に実施したブランドリフト調査では、「くるまも」を読んだことがある回答者のうち、「くるまも」を三井住友海上が運営していると認知している人が45%、「くるまも」が三井住友海上のイメージをポジティブに変化させたと回答した人が24%という結果が出ています。

野村さんは「ほかにも、くるまも読者のうち、三井住友海上が自動車保険の会社だということをご存じの方が63%いらっしゃいました。別の調査データでは27.8%という数字が出ていましたので、非常に高いということがわかります」と事例を共有しました。

おなじみ(LINEヤフー株式会社)

「おなじみ」では、効果の可視化のためにアドベリフィケーションツールの「TRENDEMON」を導入し、間接貢献までも確認できる状態になっていると言います。

trendemon.jp

山田さんは「見たい数字があってもGA4ではカバーしきれないという課題があったので、2年前からTRENDEMONを導入しました。間接貢献も把握できるのはオウンドメディアの効果の可視化にとても有益です。クロスドメイン・クロスデバイスによるトラッキングで記事に接触したユーザーさんのその後の行動がトラッキングできます。最初の接触から1年後にコンバージョンするといったケースでも問題なく把握できています。」と説明。また、このような間接効果が取れるようになったことでよかった点としては「費用対効果の計算が精緻にできるようになったため、広告単価などと比較して判断できるようになったこと」「ポップアップやリコメンド機能が豊富で、すぐに施策が必要な際でもポップアップから特定記事への誘導を増やすなどの対応が可能になった」という2点を挙げました。

さいごに

トークセッションではほかにも運用課題や参加者からのQ&Aなどについて、みなさんそれぞれから事例や取り組み、Tipsなどを共有いただきました。

ご協力いただきましたフォーネスライフ株式会社 塚田様、三井住友海上火災保険株式会社 野村様、LINEヤフー株式会社 山田様、ありがとうございました。

今後も、オウンドメディアやコンテンツマーケティングに取り組む担当者様に向けた無料のセミナーを定期開催しています。本ビジネスブログで開催予定をご紹介してまいりますので、ぜひご覧ください。

また、はてなでは、今回ご紹介した「lala a live」「くるまも」「おなじみ」を含む企業に、オウンドメディアのトータル支援サービスを提供しています。

www.hatena.ne.jp

webtan.impress.co.jp

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