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GA4のよくある質問7つ(寄稿:小川卓)

株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)です。

Google Analytlcs 4 (以下、「GA4」)に関するセミナーや勉強会などを行っていると、様々な質問を受けます。今までに1,000件以上の質問に回答してきました。

その中で、よく聞かれる質問と回答をピックアップいたしましたので、紹介いたします。ぜひ目を通していただき、GA4を正しく理解出来ているか確認してみましょう。

Q:GA4ではユーザーをどのように特定していますか?

A:GA4ではCookie(1st Party Cookie)を利用してユーザーの特定を行います。

1st Party Cookieを利用しているため「デバイスやブラウザが違えば別ユーザー扱いとなる」「昨今話題になっている3rd Party Cookieの仕様変更や利用停止などの影響を受けない」というのがポイントとなります。

サイトで会員IDを取得しており、IDをGA4に送っている場合は会員IDを利用してユーザーを特定することが可能です。デバイスやブラウザが違っても同じIDでログインしている限りは同一ユーザーとして認識されます。

なおユーザーを特定するCookieの有効期限は2年となっていますが、Chromeでは最大400日、Safariでは最大7日などブラウザ側の仕様によって2年間有効にならないケースもあります。



Q:GA4のレポートで「しきい値」が発生するとデータの精度が下がるらしいですが、どのような仕様なのでしょうか?

A:「しきい値」とはデータの件数が少ない時に、プライバシー保護の観点から該当データを表示されない仕様となっています。レポートでしきい値が発生しているかは、レポート丈夫に表示されるアイコンで確認できます。



しきい値が発生するデータ件数や条件などは公開されておらず、変更することも出来ません。

なお、しきい値が発生しても、件数が少ない該当行が表示されないだけであって、計測除外されているわけではないので合計の数値(例えば合計のページビュー数)などはしきい値が適用されたデータも加味されて算出されているので、正しく利用することは可能です。

しきい値が発生した場合の対策としては、

  1. 期間を変更する:期間の指定を長くすることで、該当件数を増やし除外されたデータが表示されることがあります
  2. URLパラメータの除外や細かすぎるデータをとらないようにすることで、データがまとまり表示されることがあります
  3. BigQueryにデータをアクスポートする:BigQueryのデータではしきい値は発生しません

などがあげられます。


Q:GA4のレポートで「サンプリング」が発生するとデータの精度が下がるらしいですが、どのような仕様なのでしょうか?

A:レポートや探索機能で表などを作成する時に、チェックしにいくデータが無償版では1,000万件、有償版では10億件を超えるとサンプリングが発生します。

サンプリングとは大規模なデータから一部のデータを抽出して集計・分析する方法になります。全量データを使わないのは、データの取得に時間がかかりすぎるためです。

サンプリングの条件を満たしたときには、アナリティクスのデータの一部のみを利用して(例えば20%)集計を行い、その後に5倍にして、100%のデータに戻します。サンプリングのパーセンテージが低ければ低いほどデータの精度は下がります。

サンプリングの発生有無とそのパーセンテージはレポート上のアイコンで確認できます。



なるべくサンプリングを発生させないためにできることは以下です。

  1. 期間を変更する:期間の指定を短くすることで、より少ないデータを利用するためサンプリングが発生しにくくなります。また発生してもより高いパーセンテージのデータが利用されます。
  2. URLパラメータの除外や細かすぎるデータを取得すると、データの種類数が増えてサンプリングが発生しやすくなります。不必要な計測項目の計測停止などを行いましょう。
  3. BigQuerにデータをアクスポートする:BigQueryのデータではサンプリングは発生しません


Q:GA4とサーチコンソールを連携すると、どのキーワードでコンバージョンしたのかわかりますか?

A:連携をしてもコンバージョンしたキーワードはわかりません。サーチコンソールとGA4で同一ユーザーを特定する機能が無いためです。一番近しいデータの出し方としては

  1. サーチコンソールで特定ページにランディングしたキーワードを調べる。例えばここではページAに、キーワード1,2,3でランディングしたいたとしましょう。
  2. GA4でGoogleからの検索流入に絞り、ランディングページのレポートを確認します(GA4の探索機能や、比較機能を使ってデータを絞り込みましょう)。該当するランディングページからコンバージョン(キーイベント)が発生していれば、キーワード1,2,3のいずれかがコンバージョンに貢献した可能性が高いという事がわかります。

以下、GA4側での確認画面です(セッションの参照元/メディアを google / organicに絞り込みランディングページのレポートを確認)




Q:流入元ごとの集計を行いたいのですが、様々な種類がありどれを利用すればよいかわかりません



A:上記の像の通り、流入元分類の1つである参照元/メディア1つとっても様々な種類があります。以下のように使い分けを行います。まずは2つの大きな分類から選びましょう。

  • アトリビューション配下のもの:コンバージョン(キーイベント)に繋がった流入元だけがが対象となります
  • トラフィックソース配下のもの:すべての流入が対象となります

選択後に、参照元/メディアの前についている文字列を見て利用を判定します。

  • 「セッションの」がついている場合は、訪問時の流入元が対象となります。
  • 「ユーザーの最初の」あるいは「最初のユーザーの」がついている場合は、訪問したユーザーの初回流入元が対象となります。
  • 「手動」がついている場合は、広告パラメータ(今回の場合はutm_sourceとutm_medium)にパラメータがついている時にのみ集計されます。
  • 「CM360」「ディスプレイ&ビデオ360」はGoogleのそれぞれのサービスを利用している場合のみ対象となります。

例えば「広告パラメータをつけた、セッション単位の流入元を見たい場合」に利用するのは「セッションの手動参照元/メディア」になります。

少し分かりづらい名称群ですが、パーツに分けてあげることで、どのディメンションを使えばよいかがわかります。



Q:GA4のランディングページで「(not set)」が発生しています。流入ページが無い訪問はあり得るのでしょうか?

A:はい、GA4の計測仕様上、ランディングページがnot setになることがあります。(not set)に関してはセッションのランディングページが存在しないケースです。例としてはサイト内でセッションが切れた後にpage_view以外のイベントのみが発生したセッションなどが該当します。具体的にはスクロールだけして離脱、ファイルダウンロードして離脱などが考えられます。



ページ内で様々なイベントを計測していると、より発生しやすくなりますので、不必要なデータ計測を行っていないかを確認しましょう。

またランディングページのレポートにおいて空白が存在する場合は、Topページとなります。ただし探索レポートでは正しくTopに割り当てられるので、探索レポートを利用するのが良いかもしれません(not setは探索レポートでも仕様上発生します)。




Q:ページごとの滞在時間はどこで見ればよいでしょうか?

A:ページごとの滞在時間は「レポート>エンゲージメント>ページとスクリーン」内にある「平均エンゲージメント時間」で確認することができます。



エンゲージメント時間はページがブラウザの前面に表示されていた時間をあらわしています。なおページごとの滞在時間は「レポート」画面でしか見ることが出来ず、探索レポートでは該当する指標が何故か用意されていません。

似たような指標はあるのですが、以下の通り意味が違うのでページ単位の表に利用しないようにしましょう。

  • 平均セッション継続時間(レポート・探索で利用可能)
    • サイトを訪れてから離脱するまでの平均時間
  • セッションあたりの平均エンゲージメント時間(レポート・探索で利用可能)
    • サイトを訪れてから離脱するまでに画面が前面に出ていた平均時間
  • ユーザーエンゲージメント(探索で利用可能)
    • サイトを訪れたユーザーで画面が前面に出ていた総時間


まとめ

GA4に関してよくある質問と回答を7個紹介いたしました。GA4は仕様変更なども多く、最新の情報キャッチアップがなかなか難しいです。筆者のGA4サイトに、公式ヘルプ等のリンク集を用意いたしましたので、ぜひ活用してみてください。
https://www.ga4.guide/glossary-help/link-list/


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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事もあわせてご覧ください。

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Google Analytics 4 でミスされやすい・誤解されやすい「設定」7選 - はてなビジネスブログ

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また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

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本勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報をおまとめいただいておりますので、ご希望の方は必要情報をお送りください。(はてなからオウンドメディアに関するセミナーや商品のご連絡をさせていただきますので、あらかじめご了承ください。)

【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード

GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
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著者名:小川卓 株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。