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オウンドメディアのファンを増やす「シリーズ化コンテンツ」のススメ

オウンドメディアの「ファン」を増やすためにはてな編集部が考え、実践していることを、実例を交えながら紹介します。

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こんにちは。はてなの田坂です。プランナー兼編集者として、オウンドメディアを活用したマーケティング支援プロジェクトの企画立案や、コンテンツ制作を含むオウンドメディアの運用を行っております。

日々、企業のマーケティング課題の解決をお手伝いする中で、改めて気づいたことがあります。それは、オウンドメディア運用を検討または実施されている多くの企業が「自社のファンを増やす方法」に頭を悩ませているということです。

そこで今回は、メディアの「ファン」を増やすために私たちが考え、実践していることを、実例を交えながら紹介したいと思います。

どうすればオウンドメディアの「ファン」は増えるのか?

メディアのファンになってもらうためには、質が高いことはもちろん、読者にとって有益なコンテンツを作り「読者に『信頼』されること」、より多くの「ファンになる可能性がある潜在層」にコンテンツを届けて「メディアに何度も訪れてもらうこと」が重要となります。

こう考えた私が参考にしたのは「ラジオ」でした。

個人的な話で恐縮ですが、私はTBSラジオのヘビーリスナーで『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』や『東京ポッド許可局』など、さまざまな番組を長年拝聴しています。ラジオにハマった最初のきっかけは『爆笑問題カーボーイ』の「CD田中」という、かつて番組内で爆笑問題の田中裕二さんが話したセリフをCDの歌詞の一部分に無理やりくっつけて一つの作品にする長寿コーナーでした。このコーナーを聞くために毎週火曜25時の放送を楽しみにするようになり、次第に番組自体のファンとなりました。

私の場合は「ラジオ」でしたが、テレビ番組や雑誌などで定期的に発信されている個性的なコンテンツをきっかけに、その番組や雑誌自体のファンになるという体験をされたことがある方は多いかと思います。

私は、オウンドメディアの場合も読者がコンテンツの内容に惹かれ、その熱量から個性(キャラクター)を感じ取ってもらえれば、もう一度、欲を言えば何度でも訪問したくなるメディアが作れるはずだと考えています。

もちろん、「ファン」の定義は企業やメディアごとに異なりますし、オウンドメディアの目的である「コンテンツを通じて企業それぞれの課題解決につなげる」という視点も忘れてはいけません。

ファンを増やすコンテンツの作り方

ここからは、これまではてな編集部が「メディアのファンを増やす」ために手掛けた記事の中から、反響が大きかった記事の企画・制作方法について具体的に紹介します。

事例を取り上げるのは、私が過去に担当していた株式会社CyberOwlさまのオウンドメディア「マネ会」です。

弊社制作の記事は毎月4本、週に1本公開されるコラム枠の記事のみ。Webメディアとしては決して多くない記事本数です。そのため、立ち上げ時にまず考えたのが「少ない本数で、どうメディアに個性をつけ、ファンを増やすか」ということでした。

施策1:書き手の熱量がシリーズの個性につながった「趣味とお金」

ラジオ番組のファンになった自身の体験に紐付き生まれたのが、「趣味とお金」というシリーズです。

hikakujoho.com
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このシリーズは、趣味に生きる様々な熱量を持った人が著者となり、趣味を楽しむために掛かっているお金の話を執筆してもらうという、大変シンプルな企画です。「趣味とお金」という根本のテーマは同じですが、書き手は毎回変わります。これまでに記事化した「趣味」は、アイドル、2.5次元、コスプレ、V系バンド、カメラ、アイドルマスター、フィギュアスケートなど、多岐に渡ります。どの記事も、趣味が高じて大量のお金を投資した方々の、個性と言うべき熱いパトスが伝わる記事です。

このように毎回書き手が異なる企画は「書き手の発掘」が課題となります。弊社の場合は、以前ビジネスブログで公開した「はてなブロガーに記事の執筆を依頼する理由〜「好きなもの」を主観で語れる強さ〜」でも触れられている通り、特定の「何か」に情熱を注いでいたり、「好きなもの」に対して一所懸命だったりと、対象への「熱意」と「深度」を楽しむユーザーさまが多くいらっしゃり、コミュニティも存在します。

「個性ある書き手」と「読者に楽しんでもらえる企画テーマ」がそろえば長くシリーズが続けられるであろうという読み通り、「趣味とお金」は個性的な書き手による圧倒的な熱量と専門性の高さで注目を集めるようになりました。数値面でも、他の「マネ会」の記事に比べリピーターが多いという結果が出ています。

施策2:著者とテーマを固定した「お金✕工作」「お金✕本」シリーズ

また、マネ会では「趣味とお金」以外にも、著者とテーマを固定したシリーズも公開しています。

藤原麻里菜 カテゴリーの記事一覧 - マネ会

こちらは、もともと「工作」という分かりやすい個性(キャラクター)を持っていた方を起用し、そのインフルエンス力と読者に響く切り口の組み合わせで展開している「連載」です。

「お金✕工作」というテーマ以外は、基本的に著者におまかせしているため、個性がより色濃くでたシリーズとなっています。

Dain カテゴリーの記事一覧 - マネ会

上記では、圧倒的な読書量から生まれる説得力と、知識欲を刺激する書評ブログが読者に人気の著者に、「プライスレスな価値を見出す本」というテーマで全3本を執筆いただきました。

企画そのものは至ってシンプルですが、著者の個性である「本を選定する目」と「圧巻の文章力」を可能な限り生かしながら、コメントやSNSへのシェアといった読者の行動を自然と促せるような内容になるよう、毎回著者と相談しながら「参考になる」「議論ができる」といったテーマの本をご紹介いただいました。

中でも、はてなブックマーク上で大きな反響を集めたのが以下の記事です。

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「一生モノの教養」という少し身構えてしまうテーマのため、読者により身近で“自分ごと化”してもらえるような記事にするため、また「お金」にまつわる媒体のため、著者と相談し「1万円」という“縛り”を設けました。

このような施策を打つ中で一番重要だと感じたのは、著者の個性(キャラクター)を生かすテーマ(企画)を設定することでした。書き手と企画がマッチすることで熱量の高い記事たちが生まれ、マネ会という媒体の「顔」になってくれました。

「ファンが増えるコンテンツ」をどう判断するか

いくらファンを増やすであろう企画が生まれても、でき上がった記事がきちんと読まれなければ元も子もありません。また、いくら自分たちが「これは質が高いコンテンツだ!」「ファンを増やすコンテンツだ!」と思っていても、それは自己評価でしかないため「読者の反応や記事の効果」を“判断”するための基準が重要となってきます。

はてなの編集部で、指標の一つとしているのが「はてなブックマーク」です。

はてなブックマークは、オンラインにブックマークした様々な情報を保存・公開できるソーシャルブックマークサービスです。詳しい情報は下記をご参照ください。

多数のユーザーがブックマークした記事は、独自のアルゴリズムで精査されたのち「いまインターネットで話題の記事」と判断され、はてなブックマークに掲載されます。いまインターネットで話題になっていることがひと目でわかるため、はてなブックマークは「ブックマークツール」としての機能だけではなく、情報感度の高いユーザーが集まる「コミュニティ」「メディア」といった一面も持ち合わせています。

はてなブックマークには、ブックマークした記事にコメントをつける機能があります。エントリーの感想やユーザー自身の考えなどが書き込まれることで、記事内容をベースにした活発な議論形成の場として発展していきます。

そのため「マネ会」では、ブックマークの獲得数でどれほどの人たちに届けられたのかを、付いたコメントの内容で記事の満足度を測っています。

「ファンを増やすコンテンツとなり得たかどうか」に関しては、コメントの内容から好意的な反応かどうかや、共感を得ることができたかなどを確認し、一つの判断基準としています。特にシリーズ化した記事は、毎回コメントの反応を参考にすることで、より長期的にファンを増やせるよう次の記事制作に生かしています。


「趣味とお金」のコメントの一例。読者の反応が一つの指標となる

もう一つの利点として、はてなブックマークにはTwitterとの連携機能があるため、記事内容に近いユーザーコミュニティにうまく情報を届けることができれば、各種SNSに伝播していく「流通の起点」となり、より多くの読者にコンテンツを届けることができます。詳しくは下記の記事ご参照ください。

business.hatenastaff.com

もちろん記事の効果分析は、Google Analyticsなど各種アクセス解析ツールを用いたり、読了率を確認したり、各種SNS上での反応やシェア数を確認したりと、複合的に判断すべきです。しかし、記事の質や読者の反応などを簡単に分析できるツールの一つとして、はてなブックマークはとても便利だと感じています。

シリーズ化を成功させるためのプラスアルファ

ここまで、ファンを増やすコンテンツ作りには、「個性」と「指標の用意」が有効であることを説明してきました。しかしはてなでは、これら以外にもコンテンツ制作する上で最低限守っているポイントがあります。その中から以下に2つほどご紹介します。

【1】どのくらいの読者やコミュニティが反応してくれるか

一つは「実現したい企画を楽しんでくれそうな読者の数や、コミュニティの厚さ」の予測です。まずは、テーマに興味がありそうなコミュニティがどれほどの規模かをリサーチします。さらに、どのような記事であれば共感を得られそうかといったコミュニティ・クラスタの傾向を認識・意識します。ある程度の人が属しているコミュニティ・クラスタに刺さる記事が生まれれば、各種SNSなどを通じて記事が広がる可能性が高まります。

はてなでは、社内の企画段階で「どの程度の読者数が想定できるか」「どのようなコミュニティ・クラスタがあるか」「どうしたら記事が届けれるか」などを細かく予測します。

hikakujoho.com

はてな編集部は、はてなブックマークやSNSを利用して常にインターネットユーザーの動向にアンテナを張っており、それぞれのコミュニティに対する知見を持っているスタッフも多いため、企画提案時に意見を出し合うことで内容がブラッシュアップしていきます。

【2】継続できそうか

シリーズ化を見越している場合は、「ネタ」と「書き手(※執筆者を毎回変える場合)」の潤沢さなどを考慮し、スタート前にある程度の継続予測を立てておく必要があります。また、基本的なことではありますが、シリーズを浸透させるためには定期的に記事を公開する安定した進行も重要です。

そして長く愛され、継続されるシリーズを作るために何より大事なのは、書き手や編集者など、携わる人々が負荷がなく楽しみながら制作できることです。


上記以外にもタイトルや画像の工夫など、細かいことを上げれば切りがないですが、「ファンを増やすためのシリーズ企画」を考えられているオウンドメディア担当者は、まずは上の2つを意識してみると良いと思います。

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オウンドメディアに限らずWebコンテンツの総数は増加の一途をたどっており、通りすがりの読者をファンにさせるには長距離走のように非常に辛抱強く、コツコツと記事を通してコミュニケーションしていくことが大切です。

ファンを増やす企画の考え方は多様にあり、今回ご紹介した方法は、その中のごく一部ですが、一人でもファンを増やすことにつながれば幸いです。

オウンドメディアのコンテンツ制作にお悩みの際は、下記のフォームよりお気軽にご相談くださいませ。