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PRだけではなく採用にも影響 さくらインターネット×はてな「石狩DC見学ツアー」の波及効果

クラウドコンピューティングに最適化した「石狩データセンター」(北海道石狩市)を2011年に建設し、大きな話題となったさくらインターネット様。はてなでは、同施設の内部を見学できる「さくら石狩DC見学ツアー」を、さくらインターネット様とともに2012年から企画・運営しています。

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今回お話を伺うのは、広報宣伝室の室長を担当されている櫻井裕様。さくら石狩DC見学ツアーの裏側や、リアルイベントを継続してきたことで得た手応え、広告出稿時にインターネット媒体に期待することなどをお聞きしました。

■ “インターネットの向こう側”にいるお客様と会うために

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さくらインターネット株式会社 広報宣伝室 室長 櫻井裕様

__さくらインターネット様は、2011年に石狩データセンター(以下・石狩DC)を設立し、翌年からさくら石狩DC見学ツアーを実施されています。企画に至った経緯を教えてください。

櫻井様 さくらインターネット(以下・さくら)の広報宣伝室では、ミッションの1つに「お客様とより深く接点を持つ」というのを掲げています。当社はサーバービジネスなので、Web上ですべての契約が完結するサービスもあり、お客様と直接お会いすることなく年月が過ぎてしまうことが多々あります。中には10年近くご契約していただいているお客様もいるのですが、その方たちと実際にお会いしたことがあるかというと、あまりなかったというのが正直なところでした。

こうした背景から、マーケティングとしては、お客様との接点をどんどん増やしていかなければという思いがありました。ありがたいことに「さくらのファンです」という声はネット上でもよく見かけるようになり、いろいろな意見を出していただいています。ですが、社員がそういった方々と実際に接する機会がなかった。そこで、交流の場を自分たちで作っていこうと2011年に立ち上げたのが「さくらの夕べ」というユーザーイベントです。

東京や大阪など各地域でさくらの夕べを開催した後、石狩DCを設立しました。これは弊社におけるエポックメイキングで、シンボルと呼べるような設備です。いっそのこと、ここにお客様を連れて行こうと思い企画したのが「さくら石狩DC見学ツアー」(以下・DCツアー)でした。

集客は自分たちだけでも可能でしたが、やはりはてなユーザーは弊社と非常に親和性が高いというのが分かっていました。はてなユーザーであれば、石狩DCを楽しんでもらえるに違いない。それならもう記事広告の中で集客までお願いしようと思い、お声掛けしました。はてなさんに一任して、2015年でもう4年目になりますね。

__データセンターのように“裏側”を見せることは企業として少し不安になることもあると思うのですが、それをあえて見てもらおうという気持ちになったのはどういう背景があったんですか?

櫻井様 さくらに対するイメージは人それぞれだと思うのですが、安心感や親しみやすさというのは、弊社を選択してもらう上で非常に重要なポイントだと考えています。社員もいい方ばかりなんです(笑)。社員を見てもらうのはすごく自信があるので、お客様とどんどん会わせたいという気持ちはあります。それは設備も同じです。すごく真面目に取り組んでいるので、そこも含めて見てもらうことが、さくらとしてふさわしいんじゃないかと思います。説明を担当している社員の人間性や語り口をそのままを見てもらうことがさくらのイメージアップになると思いますし、必ずいい経験をして帰ってもらえる自信はありました。

__DCツアーを実施して、よかったと感じたことはありますか?

櫻井様 開催した当初は、DCツアーの感想を10〜20記事ほど書いていただけました。発言力の高いはてなユーザーさんをお連れしたということもあり、石狩DCのローンチにおけるプロモーションという意味ではかなり尽力していただいたと思っています。

最近の変化としては、「応募したけど行けなかった……」という声を聞く機会が増えました。選考で毎年200人近く落選しているということもありますし、実は応募者もほぼ毎年異なるんです。そう考えると、累計で600人ほどの落選者がいることになります。行けなかったという方が増えてきた実感はありますし、毎年たくさんの応募があるので、「当選したらすごい」というプレミア感のあるイベントになっているのを感じています。

__応募フォームのコメント欄を見ていても、熱量がすごいですよね。質問や要望を書ける自由記入の項目があるのですが、みなさん長文を書いてくださっている。

櫻井様 みなさんのメッセージを集めただけで1つのコンテンツになりそうなくらいのボリュームがありますね。最初のころの応募は、エンジニア界隈でも有名な方や著名なはてなユーザーさんというのが多かったんですが、最近は一般層にも広がってきた印象があります。学生の参加者も最初はすごくテッキーな方が多かったけれど、今は「部活のみんなで応募しました」というケースが増えてきています。かつては20代が中心だった年齢層も、最近は30代が多い。SIerさんから「そろそろ僕も応募したいと思って……」とご応募いただくこともあり、裾野が広がってきているのを感じます。

■ DCツアーの継続が人材採用にもつながった

__DCツアーで印象に残っているエピソードはありますか?

櫻井様 大阪で開催したさくらの夕べの懇親会で、「DCツアーに落選して行けなかった」という学生さんと偶然お会いました。先ほどもお話した、部活で応募してくれた方です。さくらの夕べに行けばDCツアーを企画した人たちに会えるだろうと思ったらしく、そこに偶然私がいたんですね。話を聞いているうちに「じゃあ行っちゃう?」ということになり、彼らのためのDCツアーを企画しました。

彼らはパソコン部に所属していたので、学校の公式イベントとして顧問の先生も一緒にご参加いただき、実際のツアーと同じ内容を体験してもらいました。彼らはさくらのユーザーだったので、私たちの目的としてはまったくぶれていない。裾野が広がっているんだなと実感した出来事です。これは余談なのですが、その子たちは今、大阪でアルバイトとして働いてくれています(笑)。

__すごいですね!DCツアーがアルバイト採用にもつながっている。

櫻井様 今はむしろ、DCツアーの目的の1つは採用なんじゃないかという声まで出ています。今年の新卒社員でDCツアーを経験しているのは4人中3人。結果からすると、採用活動にもかなり効いています。

__最初はお客様と交流を図りたいというところから、何年か続けていると、いつのまにか採用にもつながるようになってきた。

櫻井様 そうですね。彼らの話を聞いていると、さくらの設備に感銘を受けたようです。案内した社員にもいい印象を持ってくれましたし、自分は普段さくらのサービスを使っている。それならば、自分がさくらに入ってこれらをさらによくしていけばいいんじゃないかという発想に至ったようです。私たちとしては理想的な関係ができていますし、そういう意味でも象徴的なイベントになっていると思います。

__DCツアーを始められた当初、採用につながることは想定されていましたか?

櫻井様 まったくなかったですね。お客様との接点を持つということしか見えてなかったですし、ここまで広がるとは思ってもいなかったです。嬉しい誤算ですね。私は飽きっぽい性格で継続することはあまりないんですが、このツアーに関しては辞める理由がないです。はてなの営業さんとお話をするときに「内容を変えますか?」という話題は出てくるんですが、「このままでよくない?」となる。

__社内での反応はいかがでしたか?

櫻井様 始めた当時は、ブログでの拡散が期待できたり、ソーシャルメディアで盛り上がったりといったことをゴールに置いていたので、それを達成できたという点では社内でも「よかったね」という声をいただきました。最近は、先ほどもお話したように採用にも効いてきているので、むしろ「回数を増やしてほしい」という要望があります。データセンターの中を見せることとか、それに伴う社員とお客様の交流の価値を疑う人間は、もう社内にはいません。

__回を追うごとに御社からもご参加者がどんどん増えてきて、会社としてのイベントになっているのだなという印象があります。

櫻井様 初回は私たちが「この社員に来てもらおう」と指名していたのですが、今は希望者を募るとおそらく抽選になります。採用に効くという点では「この部署に人材が欲しいから、ここの社員を戦略的に連れて行こう」というところまで発展してきている。かなり重要なイベントという位置付けです。

__会社の採用計画や事業計画にも組み込まれつつあるイベントになっているのでしょうか?

櫻井様 少なくとも、マーケティングアクションとしては「11月くらいにはてなさんとのDCツアーがあるよね」という話はしています。あとは、営業部でもお客様を石狩DCにお連れすることがあるのですが、よく「うちもはてなさんのDCツアーみたいなことをやりたいんだけど」とノウハウを聞かれます。DCツアーは社員に対してもやることがあるので、そのときも「あのDCツアーのようなことがやりたい」という声が上がります。ある種の代名詞になっていますね。

__商品だけでなく、体験ごとお客様に売って提供していこうという気持ちが伝わってきます。

櫻井様 最近のクラウドサービスって、自分が使っているサーバがどこにあるか分からないというのが当然ですよね。私たちの場合、石狩DCに行くと「あなたが使っているのはこのサーバーです」というのが言える。そういう意味でも、現地で見ていただくというのは悪いことではないですし、もっと身近に感じてもらいたいですね。

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■ 「拡散力×エンジニア」ならはてなを選ぶ

__広告を出稿される際に、他媒体とはてなで違いを感じることはありますか?

櫻井様 広告としてアクションをとるときは、まず自分たちが何をしたいかというのを念頭に置いて、その次に誰と組むかという判断をします。DCツアーに関しては、はてなさんにお願いするのが一番やりやすく、成功すると思いました。コストとの兼ね合いも当然出てくるので、こちらで企画してやれることと照らし合わせたときに動きやすい方々を選択させていただくというのが、弊社の基本的な媒体戦略になっています。

広告の出稿時に感じる違いという意味では、違うことを想定した上で出しているので、むしろ私たちとしてはウェルカムです。私たちがやりたいことを実現できるユニークさがその媒体にあれば、積極的に採用させてもらっています。私たちは広告代理店をはさまない出稿で、記事の企画や評価も自分たちでやっているので、ページビューや仕上がりに対して画一性を必要としていません。これは大事なポイントだと思っています。露出を買うというのが広告だったと思うのですが、今の私たちはコンテンツに投資しているという考え方です。それがはてなさんがいいときもあれば、自社媒体がいいときもある。

__広告企画における媒体ごとの属性を見分ける勘所は、どこにあると思いますか?

櫻井様 やはり、自分が目を通すことではないでしょうか。熟読しなくてもいいので、ある程度見て理解しておくところだと思います。私の場合、媒体資料の情報よりも、実際のコンテンツを見て読者層を判断しています。記事を読んでいて、媒体とそれに紐付く人というのが見えてくると、私たちのような規模感の会社は選択しやすくなる。私たちは媒体に乗らせてくださいというスタンスで、その媒体自体に特性がないと乗れないので、特性を出してほしいですね。

拡散を意識したいのであれば、はてなを選択します。さくらのような規模感の会社であれば、自分たちでこうした判断をしたほうが成功に導きやすいんじゃないかなと思います。PRだからこそ面白いコンテンツが作れると考えているので、私たちのコンテンツに関しては逆にPRと書いてほしいですね。「さくらインターネットの広告企画です」って書いてあるものだったら面白いものだろう、って思ってもらえたら勝ちだなと思っています。

__先ほど、自分たちのやりたいことを実現できるユニークさを持った媒体を選ぶ、というお話がありました。とすると、はてなのユニークさというのは、コミュニティを持っていることや拡散力があるという点なのでしょうか。

櫻井様 そうですね。あとは、やはりエンジニアで活躍されている方が多いので、エンジニアに露出したかったらはてなさん一択だな、と思います。ですが今後、石狩DCのことをもう少し決裁権のある人に届けたいということになれば、今は選択しなかったやり方を取っていくでしょうね。新しい施策を考えるのも大事ですが、はてなさんとのツアーは採用にもいい効果が出ている大切なイベントなので、おいそれと辞めるわけにはいかない。手を変え品を変え、継続することが大事なのかなと思っています。そういう意味では、やることは一緒ですが、今年のツアーは思い切って振り切るつもりです。

__では最後に、はてなを含めたインターネット媒体に期待していることを教えてください。

櫻井様 私たちは、既存・新規のお客様と深い信頼関係を作りたいと思って媒体戦略を組みます。その思いを満たしてくれるような、あるいは上回ってくれるようなユニークさを持つ媒体を頼りにしたいです。ユニークさというのは日々のコンテンツに表れますし、エッジが効けば効くほど私たちのような会社は安心してお預けできます。いいコンテンツを展開して楽しませてくれる媒体とご一緒したいですね。

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__ありがとうございました!

本年度のさくらインターネット×はてなの石狩DC見学ツアーは以下リンクより応募可能です。
(応募締切:2015年9月25日(金)まで)
hatenanews.com



採用活動にもつながるほど大きなイベントに成長している、さくらインターネット様のDCツアー。継続することの大切さや、媒体に求めるもの、櫻井様の“さくら愛”が伝わってくるインタビューでした。

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