オウンドメディアの運用は、自社だけでなく外部の制作会社にコンテンツ制作をお願いする(外注する)ケースも少なくありません。
ですが、記事制作をお願いしたものの「思い描いていたアウトプットと違う」「パートナーへ適切な指示ができているかわからない」と悩んだり不安を持ったりしたことがある人もいるのではないでしょうか。
特にオウンドメディアの担当者はライティングや編集未経験にも関わらず、記事の企画や内容をジャッジする編集長ポジションに就くこともめずらしくありません(オウンドメディアディレクターやコンテンツディレクター、といったポジションの方が記事の品質管理を担うケースもあります)。
そこで本記事では、主に編集プロダクションなどのコンテンツ制作パートナーとの適切な付き合い方の理解が深まるよう、はてなで公開中の「オウンドメディア制作パートナーとの付き合い方マニュアル」の内容を一部抜粋・編集し紹介します。
外部に記事制作をすでに発注している担当者はもちろん、コンテンツを内製だけで行うのが大変でパートナー開拓を進めている方もぜひ参考にしてみてください。
※本記事は前編/後編で公開します。記事制作の具体的な進め方を「企画」「構成案」「本制作」「公開」の4つのフェーズにわけ、フェーズ毎に解説します。「本制作」「公開」のポイントは、2024年11月8日(金)公開予定の後編記事で紹介予定です。
▼2024年11月8日 追記:後編記事が公開されました
記事(コンテンツ)制作の具体的な進め方
コンテンツ制作にはいくつかのフェーズがあり、それぞれで制作パートナーとのコミュニケーションポイントが存在します。このコミュニケーションを適切に行うことが、メディア運用の目的にかなう良質なコンテンツ制作には不可欠。
本記事では制作の流れを以下フェーズに分け、各フェーズでの制作パートナーとのコミュニケーションの仕方を解説していきます。
1. 企画
- 企画提案を受ける
- 提案にフィードバックする
- 企画にゴーサインを出す
2. 構成案
- 構成案をもらう
- 構成案にフィードバックする
3. 本制作
- 初稿をもらう
- 初稿にフィードバックする
- 修正稿をもらう
- 修正稿にフィードバックする
4. 公開
- CMSへの入稿
- ページリンクの設定
- 公開タイミングを共有
なお記事の形態・種類によっては企画段階で検索キーワードの選定・調査が入ってきたり、その作業比率・重要度が上がったりするなど、この通りにならないケースもあります。
本記事では、主に認知向上やエンゲージメントを高める役割を担うインタビューコンテンツや体験レポート、コラムなどの記事コンテンツ(はてなでは「企画記事」という種別にしています)を制作する場合を想定し解説していきます。
「企画案フォーマット」を定め、ポイントを意識しジャッジしよう
コンテンツ制作の第一歩は企画立案です。自社内で企画を考える場合もあれば、制作パートナーに企画を提案してもらうこともあるでしょう。ただ、企画のもらい方やジャッジの仕方が分からない・イメージがつかない状態のままフリーハンドで企画を提案してもらうのは双方ともにプラスになりません。
前提として制作パートナーには「どんな目的で運用し、どんなテーマ(軸)・コンセプトのオウンドメディアなのか」といった媒体説明は事前にしておく必要があります。その上で、メディアの運用目的にかなう企画を提案してもらうには、「企画案フォーマット」を定めるのが効果的です。
フォーマットを定めることで、メディアの運用目的からズレた企画が提案されることを低減し、提案された企画を検討しやすくなります。また、この企画案フォーマットは自社内で企画を考えるときにも活用できます。
企画案フォーマット基本の5項目
企画案のフォーマットとしては、以下の5項目を基本に考えるといいでしょう。
メディアの特性によって要素を増やすこともできますが、あまり必須項目が多いとパートナー側としては提案ハードルが上がると感じることも。そのため、まずはこの基本項目に沿って提案してもらうことから始めるのがおすすめです。
- 企画仮タイトル
- その企画が実際に記事になった場合の想定されるタイトル
→チェック時のポイント:その企画がどのような企画かは、タイトルにあらわれます。企画の大まかな方向性はここで確認する。仮タイトルからどんな企画かパッとイメージできない場合は、パートナー側も実は「記事イメージが定まっていない」可能性があります
- 企画概要
- その企画がなにをどんな風に紹介するのか、だれが登場するのか、誰が書くのか、といった情報
- 登場人物の企画に対する適性なども記載される場合も
- エッセイか、情報紹介記事なのか、人物インタビューなのか、など記事の形態に関する情報も含まれる場合も
- その企画がなにをどんな風に紹介するのか、だれが登場するのか、誰が書くのか、といった情報
→チェック時のポイント:どのような切り口で記事化するかなどを合わせて確認する
- 著者や取材対象の候補案
- その企画に登場する人、著者、取材対象などのプロフィール情報
→チェック時のポイント:候補が日頃どのような活動をしているか、その企画にフィットしているか、SNSなどでファンはいるか、といった点を確認します
- ターゲットとなる読者
- その企画が、どんな属性(性別や年令、ライフステージなど)のユーザーをターゲットにしているかに関する情報
- 「〜〜に悩みを抱えている人」のように、ユーザーのインサイトを記載する場合も
- その企画が、どんな属性(性別や年令、ライフステージなど)のユーザーをターゲットにしているかに関する情報
→チェック時のポイント:その企画がどのような読者を狙ったものかがわかるため、その企画でターゲットが狙えるか、メディアの運用目的に適したターゲットになっているかを確認する
- 読後感(読者にどのような感想を期待するか)
- その企画(記事)に目を通した人に、どんな感想やアクションを期待するかに関する情報
→チェック時のポイント:その企画(記事)を読んだ人がどのような感想を持つか、どのような態度変容が期待できるかが記載されるため、メディアの運用目的に適した感想を読者が持ってくれるか、メディアや自社のエンゲージメントに貢献するか、といった点を確認する
企画をジャッジ / フィードバックする際、意識したい4つのポイント
パートナーからコンテンツの企画案が提供されたら、次にやるべきは、その企画が「あり」か「なし」なのかをジャッジし、パートナーに伝えることです。
もちろん、単純に「あり / なし」だけでなく、「ここをこうしたら、もっと良い企画になりそう」といった、フィードバックを伝えるべき場面もあるはずです。メディア運用担当者は、企画の良し悪しを見極め、適切なフィードバックを伝える必要がありますが、そのためには以下のポイントを意識するといいでしょう。
1. まだ具体化していない部分が大きいことを意識する
コンテンツはまだ、大枠が定まっている段階であり、具体的な内容は制作パートナーが調査や取材対象らとの打ち合わせを重ね、「これから徐々に」定まっていきます。
そのため、ここでは「もう少し内容を具体的にしてください」といったフィードバックは避け、あくまで「企画の方向性が適切かどうか」を判断するようにしましょう。「今回のメディアでは、◯◯な人にも楽しめる情報を届けたいので、再検討してください」など、所感を制作パートナーに伝えるといいでしょう。
2. ディテールではなく「方向性」をジャッジする
企画をチェックする際、指摘のしやすさからつい「細かな」部分にフォーカスしてフィードバックしてしまう、といったことはありませんか?
例えば「ペットと一緒に泊まれるホテル」を紹介する企画の場合、「どんなホテルを紹介するのか?」といったディテールに目がいきがちです。ですが、ポイント1にもあるように、詳細は企画が走り出した後、徐々に形になっていきます。
そのため、「あのホテルは紹介しないのですか?」といったディテールに対する指摘ではなく「メインターゲットが◯◯なので、露天風呂付き客室があるホテルなどを盛り込みたいです」といった方向性を示唆するフィードバックを伝えられるといいでしょう。
3. 個人的な興味関心を排除してジャッジする
企画のジャッジにはついつい個人的な興味関心や好き嫌いが介在しがちです。しかし、メディアに接してくれるユーザーは多様です。
自分の興味関心ではなく、「ターゲットとしているユーザーに有益なコンテンツになるか?」を基準に企画をジャッジするようにしましょう。
4. メディアのコンセプトやターゲットユーザーを意識する
ときに、企画の「あり / なし」に悩むこともあるはずです。その場合、つねに考えるべきは「そのメディアを通じて、ユーザーとどんな接点を構築するか」と「ターゲットとなるユーザーにとって有益なコンテンツになるか」です。
判断に迷ってしまうがゆえに、「ターゲットに有益かどうか分からないのでNG」と曖昧に返すのではなく、「この企画がターゲットに有益な情報になると考えた根拠を聞かせてください」といった、判断材料となるさらなる情報をリクエストしてみるといいでしょう。
構成案で「どんなコンテンツになるか」を確認しよう
企画を確認し「実施する」ことが決まった後は、「どのようなコンテンツになるか」を記した構成を確認するフェーズです。
コンテンツの構成を確認するためには、制作パートナーから「構成案」をもらうようにしましょう。
構成案のフォーマットは企画の性質に応じて変化しますが、はてなでは「企画仮タイトル」「企画概要」「著者や取材対象の候補案」「記事の構成」を提出するケースが多いです。
「企画仮タイトル」〜「著者や取材対象の候補案」までは企画案と同様のケースもありますが、著者や取材対象との打ち合わせなどを経てより詳細化している、アップデートしている場合もあるため、合わせて提出してもらうとよりイメージがつきやすくなります。
「記事の構成」は見出し案、見出し内にどのような情報が記載される予定か、などを箇条書きや概略的に記載されたものを指します。
構成案を確認するとき、意識しておきたいポイント
構成案は、いわゆる「コンテンツの設計図」ですが、メディア運営担当者はこの構成案を確認する際、どんなポイントを意識し、確認やフィードバックをするべきでしょうか。ここでは、以下のポイントを意識するといいでしょう。
1. メディアの運用目的に照らして、方向性やターゲットは適切か
企画案へのフィードバックの時と同様に、構成案に記載された情報がメディアの方向性やターゲットユーザーに適したものになっているか、期待するユーザーとの接点は構築できるか、という視点で確認しましょう。
2. ユーザー(読者)に伝えるべき情報がきちんと記載されているか
どのようなユーザーに情報を届けるかによって、コンテンツに掲載すべき情報は変わります。ユーザーにとって、構成案に記載された情報が必要十分がどうか、という観点で確認し、フィードバックできるといいでしょう。
たとえば、先程の「ペットと泊まれるホテルの紹介」企画でも、若い独身世代とファミリー層、どちらをターゲットにするかに応じて、紹介の仕方は異なるはずです。
3. コンテンツは「まだ変わる」可能性があることを認識する
構成案はあくまで「案」であり、この後の取材や執筆者の執筆作業の過程で、コンテンツをより良くしようと、構成案から変化する可能性があります。
こうした変化が起こりえることを認識した上で、構成案を確認できるといいでしょう。また、社内で構成案に対するコンセンサスを得る場合も、この「変化する可能性がある」という前提を伝えておくことで、その後の制作フローが猥雑になるリスクを軽減できます。
4.表現、表記に関わるレギュレーションと構成案を照らしあわせる
企業によっては、外向きのコンテンツに対して、「『仕事』ではなく『シゴト』と表記する」など、名詞の取り扱いや、文字の閉じ / 開き、画像の取り扱いなど、表現に関するレギュレーションを設定している場合があるでしょう。進行中のコンテンツが、こうしたレギュレーションにフィットしているかどうか、構成案の時点で確認しておくといいでしょう。
また、画像に関するレギュレーションは特に事前のチェックが重要です。撮影が終わった後にレギュレーションとの齟齬が発覚すると、再撮影が必要になるなど、修正に大きなコストが発生する場合があるためです。
こうした手戻りが発生しないよう、構成案の時点で制作パートナーに「撮影の際は他者が写り込まないように注意してください」などの共有をしておけるといいでしょう。
これらの点に注意しながら構成案を確認し、問題がなければ制作パートナーは取材や執筆などの本制作に入ります。
本制作に入り、原稿を確認するフェーズや公開までの間で意識すべき点については、後編記事にて紹介します。合わせてぜひご確認ください。
記事の後編は、11月8日公開予定です。
▼2024年11月8日 追記:後編記事が公開されました
はてなの記事制作支援について
はてなでは、ブログサービスやメディア運営のノウハウを活かし企業のオウンドメディアの記事制作支援を行っております。
読者から支持され、ソーシャルメディアなどでも広くシェアされるようなコンテンツを戦略的に企画・制作し、貴社のオウンドメディアを成功に導きます。
オウンドメディア立ち上げをお考えの担当者様や、運営中で記事制作にお悩みを抱えている担当者様は是非一度ご相談ください。